「人の世に 熱と光を」を合言葉に、第58回全国人権・同和教育研究大会が、お隣の県愛媛県松山市で12月2日と3日盛大に開催され、教育民生常任委員長である私も参加させていただきました。
開会にあたり加戸愛媛県知事と中村松山市長の歓迎の挨拶があり、県と市を挙げた取り組みであることが充分に伝わると共に、お二方のお話の上手なことに思わず時を忘れたのでした。我に返ったとき、知らず知らずの内に、私たちの県のその立場にある方々のそれと比べている自分がありました。
こんな言葉と、こんなメッセージの波に追われる県民・市民は、ビッグウエーブに乗った伝説のサーファーのように幸せなのだろうなと思ってしまったのでした。
開会全大会が終わり、九つの分科会とその中で分けられた31の分散会に別れ、教育研究会が始まりました。
私は、社会教育部会の「人権確立をめざす文化創造」を分科会テーマとする第9分科会の中の、第1分散会に参加しました。
この分科会は、文化をキーワードとして、「部落問題をはじめとするあらゆる人権問題の解決をめざす文化創造・活動をどのようにすすめているか」を、研究することを求めていました。
二日間を通じ、三つの活動の報告がされました。
一日目は一件で、愛媛県西条市の プロジェクト2008 の池田さんの「人権劇」に取り組め仲間たちの活動の報告でした。
二日目は二件あり、一件目は、島根県江津市の教育委員会人権教育課の二又さんの、竹細工名人たちとの交流で学んだ「誇りうる伝統工芸とともに! ~師匠と言われる人たち~」の報告でした。
二件目は、大阪府豊中市豊中人権まちづくりセンター保育所の八木さんの、人形劇を創ってゆく中で気づいた「差別はおかしいと感じ 仲間と共に立ち向かう力を持てる子に!おとなに!」の報告でした。
いずれの報告も飾りや偽りのない、思いのたこもった心に染み入るものでした。
報告者の誰もが共通に語っていたのは、 「誰かを変えようという肩に力の入った取り組みから、ある時に、自分の中にある差別の心に気づく。実は自分を変えるためにあったのだ」 ということでした。
被差別の現実に学び、厳しい出会いを経験し、明るい明日のあることを伝えてゆきたい、ということであり、更にこの取り組みに、若者が参加してゆく中で、楽しいだけではなく思いを共有したいと思うようになったとの体験談は、「文化」の持つ力を感じたのでした。
今回初めての経験の研究大会は、新たな気づきの大切さを思い起こさせてくれました。
「差別は、ほうっておくと無くなりません。しかし、無くそうと努力すればなくなると信じています。」との発言は、私にとって日々の一つ一つの言動に、連動スパークする不思議な衝撃と共感でした。
部落差別の「現実」と、「真実」を伝えることによって、思いが本当に伝わることを体験し、着実に取り組み続けることの重要さを感じたのでした。