民生常任委員会視察研修報告・1―①

三豊市議会民生常任委員会の視察研修が、7月18日(水)~20日(金)の3日間の日程で行われました。
訪問したのは、18日 長野県岡谷市、19日 同じく佐久市、20日 横浜市にある私立の認定幼保園でした。
視察研修報告の1回目は、岡谷市の 「統合新病院の実現に向けた取り組みについて」 です。
岡谷市は、長野県のほぼ真ん中に位置し、諏訪湖のほとりにある人口53,000人ほど、面積85K㎡の自然環境に恵まれたまちです。
明治期から、豊かな水資源で製糸業都市として発展してきました。
戦後は、精密工業都市となり東洋のスイスと呼ばれました。
現代は、精密加工技術等を駆使した先端テクノロジーで、諏訪地域の中核都市として発展しています。
[統合新病院の実現に向けた取り組みについて]
岡谷市には、明治43年組合立平野製糸共同病院として創設された 『市立岡谷病院』 と、 『健康保険岡谷塩嶺病院』 がありました。
この2病院を、平成18年に公営企業法全部適用病院として経営統合し、現在は、平成22年の施設集約により 『岡谷市民病院(総合病院)』 となっています。
【統合の経緯】
(平成15年度)
岡谷市病院運営会議と病院懇話会を設置
(平成16年度)
統合に向け病院基本構想策定業務にかかり、公立病院の統合(新病院建設)と機能分担の推進が示された
(平成17年度)
病院統合基本計画策定業務にあたり、病院統合準備部会を設置
(平成18年度)
市立岡谷病院と健康保険岡谷塩嶺病院を経営統合し、病院事業管理者を置き 『岡谷市病院事業』 として運営開始
(平成19年度~21年度)
岡谷市病院改革プランの策定にかかり、早期に2施設を1施設に集約することを決定
*改革の3つの視点
①経営の効率化として、医療機能は維持しつつ施設を集約し、重複部門の人員削減による経費抑制を図る
②再編ネットワークとして、市内診療所や医療圏内の病院との連携を図り、連携と役割分担を推進するとともに、「県内医療の再編ネットワーク化に係る計画・構想」を踏まえ検討する
③経営形態の見直しとして、地方公営企業法全部適用から、企業感覚による病院経営に向け、地方独立行政法人化への移行についてけんとうする
*施設集約の方針
機能を市立岡谷病院施設に集約し、収まりきらない部分(療養病床、緩和ケア病床)は塩嶺病院の施設を活用する
*集約の手続きと手順
市議会において「岡谷市民病院」という名称の事業組織に統一することを決定するとともに、入院患者移送及び機器設置をし、第1期工事を完了した
(平成22年度)
集約新病院での診療を開始し、「岡谷市民病院」が誕生した
“思いやり” を新しい基本理念と定め、地域の人々に信頼され親しまれる病院を目指している
【新病院建設の状況】
施設集約により、統合病院としての機能は飛躍的に充実した。
一方、施設の老朽化と現代の医療環境にそぐわないなどの課題があり、平成27年5月開院を目指して、新病院建設基本構想及び新病院建設基本設計を基に、新病院建設計画が進められている。
■新病院建設基本構想の策定
平成22年2月に、新病院建設基本構想策定委員会を設置し、その中で構想案が取りまとめられ、パブリックコメントを経て、市議会新病院建設特別委員会で了承された。
平成23年3月に、岡谷市新病院建設基本構想が策定された。
■新病院建設基本設計
平成23年度、プロポーザルによる最適者候補者を選考し、基本設計業務を開始。
住民説明会を経て、基本設計が完成した。
■新病院建設実施設計
平成25年度当初からの着工予定で、平成24年度実施設計業務を開始している。
地上6階、地下1階、延べ床面積22,424㎡、病床数295床で、「ユニバーサルデザイン」 「地球環境への配慮」 「災害対策」 の対応がされている。
総事業費(上限)約90億円を見込み、財源の8割を企業債を充当(合併していないため)。
岡谷市では、機能統合から新病院建設に向けて、計画的かつ着実に事業を推進しています。
地域医療あり方検討委員会の答申を受けた三豊市にとって、今後の取り組みの参考となると感じるとともに、「願わくば、完成した新・岡谷市民病院を視察するために最訪問したい」 と思うほど、羨望の念が強く沸いてきた研修でした。