大震災から1年、卒業式の言葉

昨年の今日、平成23年3月11日に東日本大震災が発生して、津波による被害は言葉を失うほどの甚大なものでした。
今、私は、明日挙行される、三豊市立豊中中学校の卒業式の餞の言葉を書いています。
1年という時間が過ぎたにもかかわらず、未だ復興の道筋すら決まっていない現状に、絶望感さえ覚えています。
さすがに、震災に触れないわけにはいかないだろうと、色々と頭を暗夜ませています。
【お祝いの言葉】
ふとした風の流れに、春の匂いを感じる今日のよき日に、98名の皆さんの豊中中学校卒業証書授与式が挙行されるにあたり、お祝いの言葉を申し上げたいと思います。
ご卒業おめでとうございます。
皆さんは、これまでの3年間先生方の指導の下、勉強にクラブ活動、さらに社会体験活動など、様々な経験を通して、立派に成長されました。
皆さんの中には、それぞれの考えや置かれた環境によって今後の進路は様々でしょうが、本校でのかけがえのない経験と教訓を糧として、自分らしくしっかりと生きていただけるものと期待しています。
東日本大震災発生の日から一年となる昨日の3月11日は、この国に住む多くの人が自然の巨大な力に対して、自らのできることは何なのかを再び見つめ直す日となったのではないでしょうか。
私は、これまで幾度か、今日の皆さんと同じ卒業生である先輩の方々に、餞の言葉を贈る機会をいただいてきました。
今回は、考えさせられました。
生きるということは何か。
と言うことです。
私は、ある人の本でめぐり合った “人生とは「自分の言葉を探す旅」である” という言葉に、生きるということの大いなるロマンを感じました。
日々の生活の営みの中で、思いとは関係なく喜びや苦しみ、悲しみは押し寄せてきます。
人は、それを通して心の中に、生きる道しるべとして言葉を見つけていくのだろうと思うのです。
昨年行われた、東北のある中学校の卒業式の言葉です。
「自然の猛威の前には人間の力はあまりにも無力で、
私たちから大切なものを容赦なく奪っていきました。
天が与えた試練というには惨すぎるものでした。
辛くて、悔しくて、たまりません。
しかし、苦境にあっても天を恨まず
運命に耐え助け合って生きていくことが
これからの私たちの使命です。」
15の彼は、このような言葉を探しだしたのです。
皆さんと同じ若者にとって、あまりにも過酷な現実が言わせた言葉なのでしょう。
幸いにも私たちは、連続する日常の中で暮らすことができています。
今日、この時を持ってこの学び舎から巣立つ皆さんには、普通にある、当たり前の日々のありがたさ、かけがえのなさに感謝し、一人一人にとっての生きる道しるべとなる言葉を探し続けて欲しいと願っています。
結びになりますが、98名の皆さんが健康でたくましく成長され、夢が花開きますことを祈念し、そして、先生方、保護者の皆様への感謝の気持ちを込めますとともに、ご多幸をお祈りしてお祝いの言葉といたします。
思いや考えを伝えることは、とても難しいことです。
もっと難しいのは、伝えるべき自分の言葉を探すことです。
颯爽と旅に出ましょう。