知恵とアイデアで、志布志市の環境政策は推進されています。
平成23年11月25日(金)、鹿児島県大隈半島の太平洋に面する位置にあるこのまちで、ごみ処理問題調査特別委員会の視察研修をおこないました。
三豊市では次期ごみ処理施設を、民設民営によるトンネルコンポスト方式とすることを決定して、現在、この条件にかなう、民間事業者からの公募を行っています。
詳細は、三豊市HPと11月13日のこの場でも報告をしていますので、ご確認ください。
従来の地方自治体の施設建設及び運営は、公設公営や公設民営が主流でした。
今回の三豊市の取り組みは、建設運営のすべてを民間に託そうとするものです。
この試みに対して、想像できる問題は予測されます。
その民間企業が倒産したらどうするのか? や、 実質独占状態となることで処理費用の値上げを要求されたりはしないか? などです。
だからといって、新たな取り組みに踏み込む時の、やってみて初めて見えるリスクに目を背けて、これまでのような高額な処理経費を漫然と受け入れることでよいのでしょうか。
むしろ、この方が楽なのでしょうが、あえて、財政や地方の独自性を考えるとき、新たな可能性を求めてチャレンジすることは、尊い価値があるのだろうと考えています。
志布志市は、平成18年に3町が合併して誕生しました。
合併以前からごみ焼却施設がなく、平成2年に事務組合を設立してすべてのごみを埋め立て処分していました。
平成16年度で、その処分場が一杯になるとのことで、合併前に参加町協議で新たなごみ処理施設の方式を検討することとなりました。
その結果、焼却施設建設には建設費約70億円、ランニングコスト約5億円/年が必要と試算されたため、徹底したごみの分別による埋め立てごみの削減を選択しました。
「混ぜればごみ!、分ければ資源!」
「面倒くさいのススメ」 を、住民とともに推進したのです。
現在の志布志市の分別収集は29品目に分かれ、大きく4つに分類されています。
① 資源ごみは、水洗いし乾かしたものを指定の資源回収袋に名前を書いて、資源ごみステーションに出します。
② 生ごみは、10件ほどに1ケバケツを支給し、週3回回収しています。
基本は、自分でコンポストや生ごみ処理機で処理をすることが第1で、できない人が利用する仕組みになっています。
③ 粗大ごみは、電話予約で個別収集し手作業で解体し、RPF化しています。
④ 一般ごみは、週1回収集し、直接埋め立てしています。
この市民と協力した取り組みによって、志布志市の埋め立てごみの量は、平成10年14,000t/年あったのが、生ごみ分別収集開始の平成16年を契機に10,000t/年となり、その内リサイクルごみが7,000~7,500t/年ほど、埋め立てごみは2,500t/年ほどとなり、なんと埋め立てごみは80%の削減となり、驚異的な削減に成功しました。
この結果、平成16年度で一杯になる予定だった処分場が、あと50年以上は利用可能となりました。
また、生ごみが持ち込まれなくなったおかげで、処分場の衛生面も改善されています。
このような取り組みによって、ごみ処理に要する経費に大きなメリットが生まれています。
ごみの総量10,000t/年に対し、再資源化された量が7,500t/年で、再資源化率75%で全国第2位となっています。
全国平均は20%ほどであることから、すばらしい成果を達成しています。
また、一人当たりのごみ処理費用は6,313円であり、全国平均の半分以下で、浮いた経費は教育や福祉に回すことができ、市民に還元されています。
バケツ回収された生ごみは、民間企業である(有)そおリサイクルセンターに処理委託されています。
そおリサイクルセンターでは、家庭生ごみと事業系生ごみに、草木剪定枝のチップを1対4の割合で混ぜるとともに、消臭発酵促進剤として蓬から抽出した液体を混入して、堆肥化しています。
処理単価は、生ごみ10.5円/Kg、草木剪定枝4.2円/Kgで、この価格決定は毎年度企業の決算書を公開し、それを基に市(関係自治体も含む)と企業が話し合って決定しています。
これまで行政が行うことが当然と考えられていた公共サービスが、民間に移行されるためには、行政と市民、そして民間のお互いの信頼なくしては成立しないのでしょう。
行政が民間に近寄り、民間が公共に踏み込むためには、市民を含めた行政と民間の伴に地域を考え地域に寄りそう協働の意識が欠かせないことを示しています。
民設民営によるごみ処理を行っている志布志市は、知恵とアイデアを持って、熱い気持ちで足で稼いで政策を実現しています。
行政や市民、民間企業の関係など、政策実現に向けて意識変革を実践しており、可能性を目の当たりにすることのできた研修でした。