前回までの総務教育常任委員会視察研修報告に替わり、今回からは、10月24日(月)から26日(水)までの3日間の日程で行った、三豊市民クラブの会派視察研修報告をします。
10月24日は東京で開催された、全国自治体病院経営都市議会協議会 「第7回地域医療政策セミナー」 に、25日は宮城県登米市での東日本大震災に伴う対応を、26日は仙台市で開催された(財)日本自治創造学会 「大震災を越えてー地域の復興と自治の再生ー」 に参加する、視察研修を行いました。
地域医療セミナーでは、秋田県横手市立大森病院院長 小野剛先生と、福井県おおい町国民健康保険名田庄診療所所長 中村伸一先生の講演がありました。
今回の報告は、市立大森病院の小野院長のお話です。
「地域密着型の病院を目指して~市立大森病院の取り組み~」 と題して、地方の自治体病院の役割と新たな試みの報告がありました。
平成17年の1市7町村の合併により横手市の病院事業は、急性期の市立横手病院(246床)とケアミックスの市立大森病院(150床)の二つになりました。
いづれも地方公営企業法全部適用しています。
小野院長の市立大森病院は、健康医療福祉総合施設 『健康の丘 おおもり』 にあります。
この病院を ”地域包括医療・ケア” の中心施設として、「健康福祉センター」 「特別養護老人ホーム」「介護老人保健施設」 「デイサービスセンター」 「グループホーム」などの8施設で、健康の丘全体の定員は約600名となっています。
【“地域包括医療・ケア” とは、治療(キュア)のみならず保健サービス(健康づくり)、在宅ケア、リハビリテーション、福祉・介護サービスのすべてを包含するもので、施設ケアと在宅ケアの連携及び住民参加のもとに、地域ぐるみの生活・ノーマライゼーションを視野に入れた全人的医療・ケア】(資料転記)のことです。
この考えの実践は、 「夕暮れ診療」 や 「女性専用外来」 の開設、訪問診療、訪問看護、訪問リハビリテーション、予防医療への対応などで、国保診療施設の理念にもとづき、保険・医療・福祉・介護の連携による地域に密着した信頼される病院づくりを行っています。
これからの日本が抱える問題は、
・75歳以上の高齢者増
・独居老人増
・認知症の高齢者増
・2030年まで40万人死亡者増による看取り先の確保難
があります。
これらを見据えた小野先生の描く地域医療の未来像は、CureからCareへ移行した、ケアミックスによる “地域包括医療・ケア” です。
・「治す医療」から「支える医療」へ
・「入院中心の医療」から「在宅中心の医療」への転換
・「支える医療」の充実とともに、「治す医療」と「支える医療」の連携を深めることが重要
これの実現に向けて日々取り組んでいます。
明確な方向性を示すためには、確かな思いが必要です。
地域密着型の病院を目指すという鮮明な目標に向かって、新たな地域医療の展開を実践していることがよく理解できました。
地方や地域に限らずいえることがあります。
そこには、情熱を持って諦めずに取り組み続ける人がいるということです。
医療技術や制度をどの方向に進化させていこうとするのも、それをどのように扱うのかも、結局人なのです。