真庭市での研修課題の二つ目は、 「『バイオマスタウン真庭』の取り組み」 です。
三豊市と同様にバイオマスタウンである真庭市は、早くからバイオマスタウン構想のもと、 『バイオマスタウン真庭』 実現に向け積極的に取り組んできました。
真庭地域は、山林が市の面積の約8割を占め、林業・木材産業の集散地であることから、構想の中心にあるのは木質バイオマスです。
『バイオマスタウン真庭』 へのさきがけは、平成5年創設の木質バイオマスを活用した新産業創出を、地域づくり・まちづくりとして捉えた 「21世紀の真庭」 の活動です。
平成13年には、木質資源活用産業クラスター構想が策定され、平成15年には、 「真庭フォーラム 『バイオマス・マニワ宣言』」 が採択されました。
平成18年の 「真庭市バイオマス利活用計画」 策定で、 『バイオマスタウン真庭』 の第1ステージがスタートしました。
この中の事業は、
*木質バイオエタノール製造実証プラント(三井造船のプラントを誘致)
*NEDO委託事業(林地残材、樹皮などの未利用資源の燃料化事業)
*バイオマスのマテリアル活用 (木片コンクリート製品)
*バイオマスのエネルギー活用① (バイオマス発電)
*バイオマスのエネルギー活用② (木質ペレット)
*バイオマスのエネルギー活用③ (バイオディーゼル燃料)
*バイオマスツアー真庭 (産業と観光を結びつけたツアーによる情報発信)
*理解醸成事業 (バイオマスとは何かということから地域資源に対する理解を深める)
などが実施されています。
これまでの実績に基づいて 『バイオマスタウン真庭』 の第2ステージが始まっています。
一定の基盤が整備されたことで、今は付加価値の高い事業に取り組み、バイオマス産業の創出を重点施策として推進しています。
*真庭市バイオマスリファイナリー事業推進協議会の設立 (バイオマスを原料にして、複数の工程で効率的に利用することに取り組む)
*「真庭バイオマスラボ」 開設 (バイオマスリファイナリーの共同研究、人材育成、産業創出の拠点として、岡山県との共同設置)
他、経済産業省中国経済産業局の 『バイオマス・ファインケミカルズ・リファイナリー・システム構築事業』 や、県の 『森と人が共生するSMART工場モデル実証事業』 を手がけています。
また、地域関係団体・企業対象や大学生対象の人材育成講座の開催、 「国内クレジット認証」 の活用を契機に、県内企業との “未来につなぐ真庭の森づくり協定” の締結ができています。
真庭市の目指す新産業の未来像は、 持続的に成長し続ける地域産業の創造です。
その形は、
・未来価値への投資産業
・地球環境貢献型事業
・地域課題解決型産業
・地域人材排出型事業
の方向性を見定めています。
これらの持続した取り組みが、市民とつくる 「資源循環型の産業と暮らし」 の実現につながって行くのだということです。
『バイオマスタウン三豊』 構想は、竹資源を軸に組まれています。
全国的にも竹資源をバイオマスとして事業展開した、成功事例は見当たりません。
今、三豊市がバイオマスタウン推進室で事業化しようと模索する竹資源の利活用検証事業は、今年度地元企業での本ライン製造を控えています。
竹が産業資源として原料となり製品化され、大量伐採大量処分できるかどうかの瀬戸際に立っています。
東日本災害以降、国の補助事業が不透明となり、予算の見通しが定かでない状況にあって、真庭市がこれまで取り組んできたような事業展開はほとんど考えられません。
三豊市の産業基盤に合致した竹資源バイオマス事業が、三豊市の新産業として報告できるよう、後押しをしていかなければならないと、改めて思った研修でした。