議会と執行部によるごみ処理施設視察研修・2

2日目の訪問は、愛知県豊明市の 『豊明市沓掛堆肥センター』 です。
豊明市は、名古屋市の南東に隣接し、現在、人口69,000人、28,000世帯ほど、面積は三豊市の1/10位の23.18平方キロで、名古屋大都市圏の近郊住宅都市として発展してきました。
豊明市の生ごみの堆肥化への取り組みは、ごみ減量を目的とした市民有志活動による、EMボカシを使った堆肥づくりから始まりました。
この活動を発展させ、平成11年度より、市の施策として可燃ごみの減量を目的とした 「生ごみ堆肥化事業」 に着手し、 「有機循環都市とよあけ」 を目指しています。
『豊明市沓掛堆肥化センター』 は、有機循環システムの核となる堆肥化施設として、平成17年に、総事業費約1億3,000万円で建設されました。
処理能力 : 3.0t/日
堆肥化方法 : 微好気堆積発酵処理
工程 : 生ごみに副資材の 「モミガラ」 「牛糞堆肥」 「戻し堆肥」 を混合した物を、床面から送風して発酵促進させ、3.5ヶ月間一次発酵を行う。その後、2ヶ月間二次発酵し、1ヶ月熟成させ、完熟堆肥とする。
現在、8,000世帯の生ごみ300t/年から、95t/年の堆肥生産をおこなっています。
生産された完熟堆肥は、 【とよあけEco堆肥】 のブランドで、市民農園や農地の土壌改良剤として販売されており、 【生ごみ→堆肥→土づくり→農産物→料理→生ごみ→・・・】 の有機循環推進事業の様々な取り組みの中でも、評価も良好で積極的に活用されています。
1袋 : 20リットル入り約6kgで200円/袋
軽トラック : 1車(バラ)約1㎥で2,000円/車
年間売り上げは185万円ほど。
当施設の生産業務は、現在は障害者授産施設の社会福祉法人に委託されています。
委託費 : 年間総額1,400万円で、内訳は施設管理費900万円、収集運搬500万円 
障害者の働く場としての役割も担っている。
対象地域8,000世帯の生ごみ収集方法は2種類あり、戸建住宅は “生分解性プラスチック専用袋出し”(生ごみ堆肥化の工程で水と二酸化炭素に分解される) で、また、団地は “バケツ出し” で、いづれも市民の力で精度の高い分別収集が実践されています。
尚、対象地域以外の20,000世帯の可燃ごみ収集方法は、生ごみを含む可燃ごみとして、近隣自治体と共同運営する焼却施設で、焼却処理をおこなっています。
古来からある普通に行われていた、ローテクともいえる微生物の力による発酵を利用した、ごみ処理施設の原型がここにありました。
脱臭設備はあるものの、この世に生まれてきたものが、土に返る時の懐かし匂いがしています。
『豊明市沓掛堆肥センター』 は、市民生活と伴にある施設なのです。
前日に訪問した、ハイテクの粋を結集したともいえる施設とは、明らかに対極にあります。
今回の研修を通して、誰もが納得をし受け入れるごみ処理方式とは一体何なのかを考えさせられた、決断を前にして、原点に思いを巡らせることのできた貴重な2日間でした。