会派清風会視察研修報告(東北編)・2

会派研修の2件目は、岩手県盛岡市で開催された「第19回全国市議会議長会研究フォーラムin盛岡」の参加です。

大会テーマは「主権者教育の新たな展開」で、10月9日(水)と10日(木)の2日間の日程で行われました。

 

パネルディスカッションは、「地方議会の課題と主権者教育」をテーマに、コーディネーターを井柳美紀氏(静岡大学人文社会科学部法学科教授)が、パネリストに土山希美枝氏(法政大学法学部教授) 越智大貴(一般社団法人WONDER EDUCATION代表理事) 渡辺嘉久(読売新聞東京本社社会教育ネットワーク事務局) 遠藤政幸(盛岡市議会議長)で行われた。

コーディネーターから、全国都道府県・市・町村議会議長会で決議した『地方議会に関する地方自治法改正を踏まえた主権者教育の推進に関する決議』に基づく、主権者教育の推進の課題と方向性について示された。地方議会の課題として●投票率の低下 ●無投票当選の増加 ●議員の性別や年齢構成の偏り がある。推進の方向性は ◯議会に対する関心を高め、理解を深める主権者教育を一層推進する ◯出前講座や模擬議会など、議会自らが主体的に行う主権者教育の取り組みに対する支援を講ずる

パネリスト4名から ●「誰がための主権者教育か」を見つめ直すことが大切であり、議会が主権者教育をするべきか疑問がある ●政治や選挙・よのなかをおもしろく学びあい・みんなで創るシティズンシップ教育・主権者教育の研究実践と場づくり ●何が投票を促すのか。「政治とつながる」とは?「政治」は「未来」「政治とつながる」=「未来とつながる」「政治を考える」=「未来を考える」⇒「自分の未来を創造する」 ●盛岡市議会における高校生議会の開催によって市政の課題について意見交換し提言をまとめた。また、市議会が大学に「おでかけ」し、学生と意見交換を行う事業

 

課題討議は、「主権者教育の取り組み報告」として、コーディネーターに河村和徳氏(東北大学大学院情報科学研究科准教授)、事例報告者に白鳥敏明氏(伊那市議会前議長) 諸岡覚氏(四日市市議会議員:第83代議長) 服部香代氏(山鹿市議会議長)で行われた。

コーディネーターから、地方議会と主権者教育には総合学習的な発想が役に立つ。地域の課題を発見し、それを議論し、改善策を提言するサイクルが「政治」であるならば、地域の課題の棚卸をおこない、政策の進捗状況を調べることだ。

事例報告者から ●伊那市議会の事例として、若い世代、特に高校生に議会に関心を高めてもらうために、高校生の議会傍聴、高校生との意見交換等の企画を決定し実施した。成果として ①高校生からの意見・提案 ②意見交換に参加した高校生による請願の提出 ③高校生からの要望を執行部へ ●四日市市議会の事例として、「ワイ!ワイ!GIKAI」と名付けて高校・大学に出向いて出前型意見交換会や、生徒と議員の選挙ポスター作り、高校生議会等の実施 ●山鹿市議会の事例としては、なぜ小学校でのシティズンシップ教室に取り組んだのか。議論して最終的に意見を集約していく経験を子どもの時から経験しておくことが大事。企画から実施に至る検討と模擬投票の実践で大きな波及効果

 

「議会改革をしても投票率は上がらなかった」という四日市市議会の報告は、議会本来の在り方を考えさせられました。市民不在の改革では意味がないということであり、当たり前のことですが市民のための議会でなければならないということです。その取り組みは、それぞれの議会と市民との関わりによって形作られていくものなのだと感じた研究フォーラムでした。