「第18回全国市議会議長会研究フォーラムin北九州」は、【統一地方選挙の検証と地方議会の課題】のテーマで、北九州市小倉区西日本総合展示場において開催されました。
1日目の基調講演が、「躍動的でワクワクする市議会に」と題して、片山善博大正大学教授兼地域構想研究所長からあった。
◯地方議会をめぐる現状とこれまでの地方議会改革を検証する ━ 二元代表制とはいえ、地方自治法を読み込むと議会が最上位である。決定する立場と執行する立場だと、当然決定する方が重用だ。ところが、現状どうみてもそうなっていない。
◯日本の地方議会に欠けていることは何か ━ ①議場という公開の場での真剣な議論がない。議案の審議がなされていないのでそのまま決定している。議案や予算案の修正をしていくことだ。 ②税率の議論がない、お金がなければ税率を上げればいいではないか。固定資産税1.4を上げればいいし、住民税だって上げたっていい。 ③住民の声が聞こえない。住民に参加してもらう議論の場を設ける。
◯現行の議会の権限を活用してもっと積極的に取り組むべきこと ━ ●もっと議案を丁寧に審議する:提案の裏を取る。本質をぼかして説明する場合があるため、当事者を直接議場に呼んで意見を聞く。市民の意見を聞く場を設けてはどうか。議会で予算に対するアンケートを取る。 ● 教育委員会にもっと目を配ってほしい。いじめ・不登校問題(教員のなり手不足:ブラック職場という情報が学生に広がっている)は教育委員会の責任だが、提案を承認したのは議会だ。任命には所信を聞いてはどうか。
以上のような意見と指摘、提案があり、議会の在り方に対する議員自らの姿勢を問い直す有意義な基調講演となりました。
続いてのパネルディスカッションは、「統一地方選の検証と地方議会の課題」をテーマに、谷隆徳氏(日本経済新聞編集委員)をコーディネーターとして、勢一智子氏(西南学院大学法学部教授)、辻陽氏(近畿大学法学部教授)、濱田真理氏(Stand by Women 代表、女性議員のハラスメント相談センター共同代表)、田仲常郎氏(北九州市議会議長)の4人のパネラーで行われた。
谷氏:統一地方選を振り返ると投票率は低下傾向が続き、過去最低だった。兼業300万円/年までならOKとなったが、社員の立候補を認め、議員から戻ってもそれを活かした生活をすることが可能な社会にすることもあってもいいのではないか。
勢一氏:問題関心として、地域社会の「鏡」としての地方議会となっているのか。議員構成が地域社会を映していないのではないか。学生は議員の選択肢がないという。政治に興味がないのは変化する社会課題が議論になっていないからではないか。
辻氏:多様な地方議会が求められるのではないか。人口規模に応じた執政制度の選択を可能にしてはどうか。人口規模が大きい自治体では、「専業化」できるがそうでない自治体は「兼業」しないと生活できない。政策立案できる人的・組織的整備が必要だ。議会費が同様又は減額したとしても、それを充実して予算措置してはどうか。
濱田氏:地方議員に対するハラスメントの現状は、男性より女性の方が受けた人が多い。相談体制や議会内のルール作りが重用で、ルールや基準を設けていない場合、対応が非常に困難になる。ハラスメント倫理条例等の制定を行い、ルール作りをしておくことが重用だ。秘書のような人がいない。議員に寄り添う人が必要だ。
田仲氏:北九州市議会の取り組みとして、市民に市議会を身近に感じてもらうため、市の抱える課題をテーマにした市民との意見交換会を行う。また、ドリームサミット(中学生議会)や平和のまちスタディーツアー(議会棟視察)を実施して、関心を持ってもらうように取り組んだ。
「研究フォーラムin北九州」の1日目の報告を終わります。