公共施設再配置特別委員会 視察研修 報告Ⅱ

2件目の視察研修は静岡県焼津市です。

 

焼津市は、平成20年に1町を編入し人口約137,000人、面積70.30㎢となっている。かつては、遠洋漁業の基地として全国有数の水揚げを誇っていたが、現在は都市化が進み『第6次焼津市総合計画』のもと、市民や事業者、行政が相互協力・連携し「より魅力あるまちづくり」を進めている。

焼津市の公共施設マネージメントの取り組みに至る経緯は、平成20年度ころ厳しい財政状況の中施設の老朽化が進行し、少子高齢化や人口減少等の社会環境の変化への対応が求められるなど、公共施設を取り巻く環境は厳しいものとなっていた。庁内においては、公共施設のデータが一元化されておらず、所管部署ごとによる分散管理体制となっていることが、企画担当・行政改革担当・建築担当部門では課題認識されていた。

このような状況の中、平成20年に耐震対策計画を策定していた当時の担当者が、市有施設の抱える課題に気づいた。●市有施設の老朽化 ●厳しい財政状況 ●一元化されたデータの不在 ●所管部署ごとに分散管理体制 ●社会情勢、ニーズの変化への対応 このような課題解決に向けた取り組みはないのか?子や孫の世代にそのまま引き継ぐのか?というものだった。

公共施設マネジメントを始める際に留意したことは ①施設所管課と資産経営課が共に考える仕組みづくり ②管理の徹底 ③経営的な視点の導入 であった。具体的な進め方は、総合的かつ計画的に管理するための大方針として、『公共施設管理計画』を策定し、体制構築、評価、個別方針、実践 とすることとした。

推進環境の整備は、縦割り構造を発想の転換により、横断的な複合化・多目的利用等データを一元化し、横断的な企画・運営・管理と効率的な財産移管の実施を行うことから始めた。そのうえで、財政担当・公共建築担当・公共施設マネジメント担当の連携による推進体制の強化を行った。

組織体制は、トップマネジメント(首長のリーダーシップ)により庁内検討組織の推進体制の整備が行われた。市長を議長とする「行政経営会議」を最終政策等決定会議と位置づけ、その下に行政経営部担当副市長を本部長とする「公共施設マネジメント対策本部」を置き、次に行政経営部長を委員長とする「公共施設マネジメント検討委員会」を、そして個別施設計画アクションプランの検討をする「個別施設計画アクションプランに基づく個別、専門部会」を配し構築した。

「個別施設計画アクションプランに基づく再編実績として  【統合・集約等】では ●新庁舎の再編(現地での建て替え) ●和田公民館の再編(隣接する小学校校舎との複合化) ●放課後児童クラブの再編(民間施設活用による増設) 他がある。  【維持管理・運営】では ●文化施設の管理運営に関する改善方針 ●図書館、公民館、体育館等のあり方及び改善の方針による、事業収益増や経費削減等の実績がある。

 

焼津市がこれまでの実績を上げるには、市民の大小様々な意見や要望に対して、地道に対応し、積み重ねてきた成果なのだろうと思います。当時の担当職員の危機感に応え、市のトップである市長のリーダーシップにより、全庁内上げた組織としての公共施設マネジメントの取り組みに向け、大きく展開していったことを理解することができました。行政の、現実を見極め未来を見通す感性と理性の重要性を強く感じる研修となりました。