令和2年第1回定例会代表質問

2年間の議長任期が終わり、久しぶりの質問になりました。三豊市議会の会派「清風会」を代表して、施政方針に対して8件の質問をしました。

 

施政方針に沿って、山下市長の政策の取り組みと考え方が市民の皆さんに伝わるよう質問する。

1件目 「市長の政治姿勢について」

問 山下市政となってはや2年が過ぎ、後半の2年が始まる。一昨年に策定した第2次総合計画における本市のまちの将来像は、「One MITOYO~心つながる豊かさ実感都市~」だ。施政方針では、豊かさを実感してもらうために、従来の常識や前例にとらわれない思い切った方法をとらなければならないとあるが、豊かさ実感都市の実現に向けた政治姿勢と決意を問う。

答 市長に就任して2年が経過した。これまで、市のため、市民のためにを最優先として、職員と一丸となって取り組んできた。縮小する地域を前提としたまちづくりをするのではなく、チャレンジできて夢をかなえることができ、このまちに来れば幸せに暮らしていける三豊をつくっていく。今後も、「One MITOYO」の実現は非常に厳しい道のりだが、可能性を切り開くまちづくり、期待感と幸福の中で人が育つ三豊をつくっていく。

 

2件目 「財政課題について」

問 令和2年度予算案は、合併以来2番目の一般会計予算規模となっている。普通交付税の合併特例措置の段階的減少や合併特例債の発行可能期限が迫るなど、三豊市財政の極めて重要かつ深刻な局面を迎えている。先ず、第2次総合計画の重点プロジェクトである「攻め」の施策への配分を重視した編成内容について。次に、合併後2番目に大きい予算規模となった一般会計予算額が、将来的財政的見通しの中でどのような意味合いと位置づけになるのか。最後に、合併特例債の発行期限までの計画的取り組みについて。3点について問う。

答 「攻め」の施策は、人口減少を緩やかにするために、移住定住、子育て支援や教育環境の整備などの施策に加え、地域や産業の担い手の育成や確保に積極的に取り組む。さらに、AIやICTの活用など、先端技術の研究も進め、特に将来を見据えた地域コミュニティーにかかわることに積極配分している。2点目の財政の見通しについては、公共施設の老朽化対策は避けて通れない。引き続き、中長期的な見通しの中で、計画的に進めていく。本市は交付税に大きく依存し、財政力も低いので、独自施策の原資を模索するため、寄付の獲得や外部資源の積極活用、民間投資の誘導を進める。特に寄付は交付税制度の外にある仕組みなので、重点的に取り組む。新たに、自治体クラウドファンディングにも取り組んでいく。合併特例債は、有利とはいえ借金であるため、将来の財政負担が制御可能な水準にあることを確認した上で、将来世代も必要となる事業を厳選して活用していく。

 

3件目 「AIベンチャーと自治体広域連携システムについて」

問 みとよAI社会推進機構MAIZMが開設され、東大松尾研究室の起業支援を受け、香川高専詫間キャンパス初のAIベンチャーが立ち上がったと聞くが、現状と今後の見通しを問う。また、AI活用による自治体広域連携も視野にあるとも聞いている。4市3町の自治体広域連携システムの今後の方向性を問う。

答 MAIZMが支援した高専生ベンチャー企業は、AIを活用しあおり運転を検知するシステムの開発に取り組んでいる。起業した学生は、スマートフォン用のアプリやゲームを開発するスキルを持ち、全国高専プログラミングコンテストで詫間キャンパスが最優秀賞を受賞した時のリーダーで、MAIZMや松尾研究室の支援を得て起業にチャレンジした。今後の見通しは、起業マインドを育成するような講座も開催することで、起業に向けての相談が増えることを期待している。次に、広域自治体連携システムの今後の方向性は、丸亀市以西の4市3町で構成された人工知能活用推進協議会が設置され、地方自治体として共通の地域課題や行政課題の解決に向けた協議を開始している。広域協議会のメリットを生かし、複数自治体が保有する行政データをもとにした、広域連携による施策展開も検討していく。

 

4件目 「学校再編整備について」

問 学校再編整備基本方針に基づき、豊中地区で説明会を進めているが、現状と今後の意見集約をどのように行っていくのかを聞くとともに、市全域の再編構想の考えを問う。

答 これまでに、自治会長代表、保護者会代表、公民館分館長に豊中町内の小学校の現状や将来児童数予測を説明し、再編に向けての協議を開始することについて理解をいただき、地元説明会を数回にわたり開催した。また、保育所、幼稚園、小学校の保護者を対象にアンケート調査をした。丁寧な説明、周知を続けるとともに、学校再編地域協議会の設立に向けて準備を進めているところだ。今後は、地域協議会や住民とともに、子どもたちに望ましい学校とは何かという点を第一に、建設的に誠意をもって協議を進めていく。市全域の再編構想は、10年を契機に見直しを行うとされているが、答申から8年が経過し、学校を取り巻く環境は大きく変化しており、中学校でも再編整備を考えなければならない状況になっている。新たに再編整備検討委員会を設け、十分検討していただくことが必要だと考えている。

 

5件目 「三豊市子育て世代包括支援センターの体制強化について」

問 重点施策である、妊娠期から子育て期にわたるまでの継続した支援を行うための、子育て世代包括支援センターの体制強化をどのように進めていくのかを問う。また、既に市民の自主活動として子ども食堂や子どもの居場所づくり、発達障害等の勉強会や相談会などとの、今後の連携について問う。

答 子育て支援課内に子育て世代包括支援センター「なないろ」を開設し、妊娠期から就学までのきめ細かい子育て支援を始めている。令和2年度からは対象年齢を18歳までに拡充し、早期から支援が行えるよう相談窓口をワンストップ化し、情報を一元管理することで、18歳まで子どもたちを一貫して見守り寄り添う、三豊市独自の体制を構築する。また、多機能型子ども支援センター整備に向け、子ども支援センター機能等検討委員会(仮称)を設置し、子育て支援センター機能と発達支援センター機能を併せ持つ機能等の検討を始める。次に、子ども食堂や子どもの居場所づくりを自主的に行う団体への支援については、三豊市社会福祉協議会に業務委託するとともに、市と協働での支援体制を充実し、地域で子供を見守ることができるよう、地域と連携しながら、子どもや家庭の支援につなげていく。発達障害支援については、個別の相談体制をさらに充実させ、医療機関等での適切な支援につなげる。また、現在19か所の巡回支援を25か所に増やすとともに、市による巡回相談支援を小学校5校でスタートする。そして、発達支援のさらなる充実のため、ケースマネージメントや発達障害支援について、民間事業者や専門家への業務委託や連携も検討していく。

 

6件目 「MaaSと多極分散型ネットワークのまちづくりについて」

問 豊かさを実感できるまちの条件の一つに、好きな時に好きなように好きなところへ行ける、があると考えている。市長は、地方公共交通計画策定に取り組むとともに、民間事業者とも連携し、本格的に着手していこうとしているが、3点について質問する。1点目は、MaaSに向けての実証実験、民間企業との連携等、その方法や実践について。2点目は、多極分散型ネットワークのまちづくりの考え方と、その目指すべき政策目的は何かについて。3点目は、スマート社会、5G社会にも対応する取り組みにもチャレンジするとのことだが、どのように関連するのか。

答 現在、地方公共交通計画の策定に取り組むとともに、引き続き民間事業者とも連携していく。令和元年度は複数の民間企業と次世代モビリティーサービスに関する協定に基づき、福祉介護や観光、市民生活などの各分野における課題解決に向け連携を図ってきた。実証実験は、安全で環境に優しい新しいモビリティーの実証運行を行ってきた。令和2年度も、より市民に身近で利用しやすいモビリティーサービスのあり方が明らかにできるよう、民間事業者の各分野における専門的な知見をいただき取り組みを進めていく。2点目は、広い市内で市民が住みたい場所に住み、不便なく豊かな生活を送ることができる地域コミュニティーの再構築と、MaaSという概念の移動サービスでつながることで、新たな人流をつくり、行きたいときに行きたいところへ行ける社会の実現を目指す。市民の移動とは、地域経済の活性化にも直結するとの認識で取り組む。3点目は、5Gの普及で家電、車など、あらゆるものがつながる本格的なIoT時代が到来する。本市もこの通信社会の進化に乗り、ローカル5Gなどの導入に積極的に取り組む。これからの先進技術、通信技術を活用して地域の課題解決を図り、市民の安全安心、利便性向上を実現するのがスマート社会の概念だ。society5.0時代に即したまちを目指し、さらには循環社会の構築、再生可能エネルギー、脱炭素化なども含め、持続発展するまちを創造していく。

 

7件目 「補助金に頼らない地域や住民主体の取り組みについて」

問 施政方針では、「補助金に頼らない地域や市民主体の取り組みが三豊を元気にしてくれる」とあり、民間投資をしてくれるフィールド、魅力をつくっていくことが、豊かさを実感できるまちづくりだともしている。市民自らによって取り組む新しい公共とは、どのような形であり、それをどのように取り組んでいくのかを問う。また、地域ができること、地域が捨てることなど、思い切った決断による行財政運営も必要であるとの考えだが、どのように取り組むのかを問う。

答 ボランティア活動が市内各地域で続けられている一方で、移住してきた人や市内の若者世代が中心となって、クラウドファンディングなどの手法で資金を得る、新たなビジネスへのチャレンジが始まっている。世代を超えた多様で活発な市民活動が外に向けて発信されることで、さらに新たな人や投資を呼び込むきっかけとなっている。可能性を切り開くことのできるまちとしてのポテンシャルをアピールしていく。また、これまで行政が担っていた公共サービスは、地域の住民やNPO、企業等が提供する、地域主体のまちづくりを進めていきたい。2点目は、限られた資源を有効に活用し持続するまちの中で、現在の活動水準を維持発展させるためにも、決断や判断を強いられる場面では、未来を見据えた思考で取り組んでいきたいと考えている。

 

8件目 「港湾施設の機能強化について」

問 国際港である詫間港について、市民から請願書が提出され、議会において幾度となく協議をしてきた。その中で、県に対して要望するべきことをまとめ、要望書を提出した経緯がある。機能強化を含め県と協議をしていくとしているが、どのように取り組んでいくのかを問う。

答 港湾施設の機能強化は、その前提として詫間港の活性化が必要不可欠だと考える。企業に詫間港を利用してもらうために何が必要か、民間を巻き込むことが重要であり、コンテナー貨物以外で新たな利用方法を考えることが必要だ。様々な活性化方法について企業と香川県とともに協議を進めているところだ。活性化のための方針が決定すれば、国・県とともに協議をしながら、港湾整備に取りかかることも可能と思う。令和2年度は、県と市で設置している詫間港の活性化方策検討会を開催し、幅広く活性化方策について協議、検討をしていく。また、詫間港の耐震強化岸壁の整備、貯木場の有効活用に関しても、県・国との協議を前向きに進めるとともに、接続する県道の整備についても引き続き県に要望していく。

 

以上で、令和2年第1回定例会における、三豊市議会会派「清風会」の代表質問の報告を終わります。