会派「清風会」行政視察研修 報告(令和元年)・1

三豊市議会会派「清風会」の行政視察研修を、令和元年8月22日(木)~24日(土)の3日間、新潟県三条市と新潟県立大学で実施しました。

8月22日に、三条市役所栄庁舎において、「子ども・若者総合サポートシステムについて」を、23日・24日には新潟県立大学を会場とする、第11回生活保護問題議員研修会『地方から生活保護行政は変えられる! いのちを守る自治体に』に参加しました。

 

三条市は平成17年に、1市1町1村の3市町村合併により新「三条市」として誕生した。現在人口98000人弱、面積431.97㎢で、三条鍛冶の伝統を受け継ぎ金属加工を中心とする産業集積地である。近年では、伝統の技と最先端技術が調和する金属産業都市となっている。

「子ども・若者総合サポートシステムについて」

特筆すべきは、子育て支援に関する窓口の一本化を、組織機構の見直しにより、平成20年4月から『子育て支援課』を教育委員会に設置したことだ。その目的は、厚生労働省の福祉健康部と文部科学省の教育委員会で窓口が分散していて分かりにくかったことの解消と、就学前から義務教育への切れ目のないかかわりを確実なものとするためだ。

このような教育委員会に置かれた子育て支援の窓口の一本化には、市長の子育て支援に対する強い思いと、それを形にする当時文科省から出向していた教育部長の働きが大きい。

教育委員会『子育て支援課』は、幼児教育、家庭教育、妊婦、子ども医療、母子保健、子ども予防接種、児童福祉を担っており、保健所、幼稚園等の就学前施設の管理運営も担当している。ワンフロアーに義務教育を担当する学校教育課(平成25年度から小中一貫教育推進課となっている)があることで、日常的に連携できる効果は大きい。

【子ども・若者総合サポートシステム~ライフステージに応じた切れ目のない子育て支援~】は、子ども・若者という「三条市民」を、妊娠期から就労に至るまで、切れ目なく総合的に必要な支援と行うため、市がその情報を一元化し、関係機関が連携して個に応じた支援を継続的に行えるようにするシステムだ。発達障がい児、被虐待児、不登校・非行児、引きこもりの若者他支援が必要なもの市民からの情報・相談が、子育て支援課にある『子どもの育ちサポートセンター』に情報が集まるようになっている。関係機関が情報を共有し、代表者会議と実務者会議による検討会議を行っており、必要に応じて個別ケース検討開始も実施している。この一連の活動を「三条市子ども・若者総合サポート会議」として組織化している。

子ども・若者総合サポートシステムからの気づきとして、新たな課題が見つけられた。幼保小の連携において、引き継がれる子どもの中に発達障がいと思われるケースが増えており、保育(幼児教育)段階での早期の対応と継続支援が必要であることから、『三条っ子発達応援事業』が展開されることとなった。この事業の基本的考え方は、子どもの育ちや個性は一人ひとり異なり、発達の凸凹がある子どももおり、早期に子どもの育ちや個性に気付きそれぞれにあった支援がされ、意欲の向上により自信が持てることで、学校・社会に適応できるように導くことである。

事業の概要は、0歳児~義務教育終了までの子どもが、持てる力を十分発揮しながら成長することを目的として、保護者・保育所(園)・幼稚園・小学校・関係機関・行政が連携し、継続的に子どもの育ちを応援するというものだ。その内容は、気づき事業、相談事業、支援事業の3つを総合的に実施するために、気づき事業として「年中児発達参観」で子どもの様子を発達応援チームと保護者が共に確認し、相談事業や支援事業につなげることで、『早期療育事業』である【児童発達支援事業所(子ども発達ルーム:市直営)】において日常生活に導くことに取り組んでいる。

三条市の発達支援体系は、気づき~相談~支援のつながりが、子どもの育ちに対しその子に関わる全ての支援者が連携できる仕組みを構築しており、三豊市にも取り入れることの多いことに気付いた、有意義な研修であった。