総務常任委員会 行政視察研修報告(平成30年)・1

三豊市議会総務常任委員会の行政視察研修が、平成30年7月2日(月)から4日(水)の3日間の日程で実施されました。視察研修先は、山口県長門市の地域商社「ながと物産合同会社・センザキッチン」と、佐賀県佐賀市の佐賀大学農学部内にある「(株)オプティム佐賀本店」、山口県周南市における「周南市公共施設再配置について」の3件でした。

 

1件目の、地域商社「ながと物産合同会社・センザキッチン」のある長門市は、平成17年に長門市と3町が合併し、人口35,000人、面積357㎢の、新長門市として誕生している。山口県北西部に位置する日本海に面し、海岸線は浸食地形であることから、天然の良港となっている。古くから漁業の町として栄えてきた。魚介のアラ等を飼料として活用することで、養鶏業も盛んであり、全国的にも珍しい養鶏業専門の専門農協がある。

ながと物産合同会社は、市が掲げる「ながと成長戦略行動計画」の重点目標の一つである『ながとブランド』の大都市圏展開の使命を担い、2014年5月29日に設立された。合同会社設立には、長門大津農業協同組合、深川養鶏農業協同組合、山口県漁業協同組合及び長門市の4者が、200万円づつ出資し、地域商社として活動することとなった。

ながと物産は、農業、水産業といった枠組みを超えて『ながとブランド』を大都市圏に展開するための司令塔に位置付けられるため、よそ者視点が重要な要素であるとの考え、執行責任者(COO)は、全国からの公募とした。多くの応募者の中から山本桂司が選ばれ、2014年10月に着任し、活動を開始し3年半ほどが過ぎたところだ。

ながと物産は、生産者のための出荷調整から発送、販路開拓や商品企画を行う。●代わりに営業活動をし、これまでと違う販路を提供する ●買い手の要望を持ち帰る ●品質や数量・栽培内容に応じて価格が違うので、良いものは高く買い取る ●相場関係なく、シーズン通して一定の価格で継続的に契約する ●コスト計算やパッケージなどもコーディネートする このような営業方針で「代わりに売ってきます、ただし、しっかり作ってくださいね!」で実績を挙げながら生産者の心をつかんでいった。

研修場所である道の駅「センザキッチン」は、市が平成17年から総事業費14億円を投入し建設してきた。施設の営業内容と運営は、大きく3つに分かれる。 ①農林水産物等直売所とテナントは、今回の研修の講師である山本COOが経営する「ながと物産」 ②観光案内所は「長門市観光コンベンション協会」 ③長門市おもちゃ美術館は、NPO法人「人と木」 がそれぞれ指定管理者として運営している。

まがと物産は、市から指定管理料ゼロ。収益源はテナント料や販売手数料であり、「市からの赤字補填を受けない代わりに、収益を出せば社内で分配できる仕組み」で、働く人のやる気を引き出す経営形態している。経営の上で山本COOがやりたくないことが7つある。 ●道の駅同士のみの比較や連携 ●施設運営だけのビジネスモデル ●公共性に準じた万人受けする要素の展開 ●管理人と店子の関係性 ●指定管理料の投入 ●運営者の意思が反映されない施設整備 ●形骸化された情報発信機能  それに対して、こうありたいと願っていることは、「物産館でもない 直売著でもない モノやサービスを提供するだけでない センザキッチンは、お客様のライフスタイルを ほんのすこしでも豊かにしていきたい そんなことささいな思いを 達成する場所」

地域商社「ながと物産」の経営と、道の駅「センザキッチン」の施設運営を通して、山本COOの考える地域に必要な要素とは ◎設けた金で‟地域への再投資”を行う事業 ◎自治体の枠に固執せず経済圏や文化圏など広域で枠を捉える ◎組織外で‟属人的な動き”ができる集まり ◎関わる人たちが将来的に相互に利益供与が可能な仕組み このような考え方で地域商社「ながと物産」と「センザキッチン」を展開している。

 

三豊市には、道の駅「たからだの里」があります。すでに「センザキッチン」にあたる農林水産物等直売所が、実績を上げ定着しています。この施設を起点にし「ながと物産合同会社」にあたる「瀬戸内うどんカンパニー」との連携により、山本COOが展開してきた「ながと物産合同会社」とプロセスを逆にした、‟瀬戸内みとよブランド”の大都市圏に向けた販売戦略構築が、現実味を帯びてきたと実感しています。

やっぱり、よそ者・若者・ばか者の「振り切る勇気」を実行できる 【人】 なのです。三豊市には、山本COOに優るとも劣らない北川CUOがいます。私たちは見守り応援します。わが三豊市の誇る地域商社「瀬戸内うどんカンパニー」が企画運営する「うどんハウス」のオープン(H30年/7月)とともに、ますます大きな可能性を感じた研修でした。