ごみ処理問題調査特別委員会視察研修の2日目は、新潟県上越市の 「上越バイオマス循環事業協同組合」 を訪問して、いくつかある設備の中でも主に 『生ごみバイオガス化処理施設』 について研修をおこないました。
この施設は、上越市からの行政の資金は全く入っておらず、上越マテリアルという民間企業の関連会社として設立されています。
設立のきっかけは、上越市がバイオマスタウンの認定を受けたことで、その補助金制度の適用を民間企業が受ることによって、上越21万市民のごみ処理を担う施設として市有地に建設されました。
経営理念は
“地域で発生するバイオマス資源を地域で循環利用します。
また、循環型社会の構築・地域の活性化・地球温暖化の防止に貢献します。”
として、2のバイオマス処理設備と2のバイオマス燃料製造設備の、4のバイオマス資源化設備を管理運営しています。
処理設備として
1) 生ごみ処理の 「バイオガス化設備」
2) 下水汚泥処理の 「汚泥乾燥設備」
製造設備として
3) 未利用間伐材等処理の 「木質ペレット製造設備」
4) 廃食油処理の 「BDF設備」
からなっています。
それぞれの処理・製造能力は、
1) 生ごみ :42.2t/日
2) 下水汚泥 :52.1t/日
3) ペレット :7.5t/日
4) BDF :115L/日
となっています。
これらの4設備を併せ持った施設は他にない、先進的なバイオマス資源化施設となっています。
また、ごみ処理施設に付き物の臭気対策は、完璧に施されており、特筆できます。
本体建設工事費は約26憶40,000千円で、公共施設であれば4~5倍の工事費が必要とされると思えるほどの施設内容となっていて、実用的であり経済的にも配慮されつくられており、民間の活力を目の当たりにした思いです。
稼働開始からこれまでに設備償却などの負担のために、2期連続の赤字決算となっていますが、 「バイオガス化設備」 においては黒字化の目途をたてています。
現在、上越市から受け入れている家庭生ごみは、トン当たり27,500円で不採算単価ですが、企業努力によって家庭生ごみの収集対象世帯を50,000世帯に伸ばすことによって、現状の事業系生ごみとの比率が5:5であるのを、家庭生ごみを増やし7:5として近い将来採算ベースに乗せるとの計画です。
また、現状メタンガスを燃焼処分していますが、蒸気タービンによる発電設備を建設中で、より効率的な形態を整えつつあります。
「バイオガス設備」 から発生する排水処理の問題や、メタンガスの処理、堆肥の処理など、上越市という地域環境ではさほど問題とはならない部分を、三豊市の風土や地域環境にいかに調和させるのかは、
ごみ処理施設の技術と場所検討についての重大な課題であると、確かな問題認識となった研修でした。