三豊市議会会派清風会の視察研修報告の3件目は、最後の訪問先である青森県おいらせ町にある観光農園「アグリの里おいらせ」の取り組みについてです。
観光農園「アグリの里おいらせ」の経営及び運営は、<株式会社アグリの里おいらせ>と<社会福祉法人誠友会>の2法人連携で行われている。高齢者福祉と障がい者継続支援の2つの事業を手掛ける苫米地(とまべち)義之氏が、高齢者も障がい者も、地域に暮らす誰もが活躍できる場をつくることで地域を元気にしたいとの思いで、10年ほど前に開園した。
2法人連携による経営は、国・県の補助金制度を最大限活用するために有効だ。公的助成金を事業拡大に活用できるのは、この国の求める社会づくりの実践を行っているところにある。それは、”「アグリの里おいらせ」の想い”をまとめた言葉で表されている。 《観光農園アグリの里おいらせは「農業・地域・福祉・観光」を繋ぎ合わせた事業を通して、子どもからお年寄りまで、障害の有無にかかわらず「共に学び、共に活躍、交流、体験」できる場を創造します。》 に集約されている。
事業の目的は ●観光農園全体が障がい者の働く場であり実践、体験の場であること ●行政、民間団体、地域との連携、協働による人材育成の支援をすること ●「食と農」を通して食文化の伝承、生きがい、健康づくりを推進すること ●就労の場につながるよう農業と福祉の新たな担い手の人材育成に取り組むこと ●地域との協働、連携により地域の活性化を目指すこと によって、地域を元気にし誰もが活躍できる社会の実現を目指すことだ。
「アグリの里おいらせ」の沿革と概要は資料の通で、就労継続支援事業所では、現在、A型15名、B型44名を雇用している。
これまで、農業、観光、地域、福祉をつなぎ合わせた事業展開を行ってきた。そのキーワードは『新・珍・楽・懐』+『食・農・福・医』によって、地域や団体との連携を行ってきた。その結果、年間入り込み数は順調に推移し43万人を超える集客となっており、事業目的の事業化によって”「アグリの里おいらせ」の想い”は現実のものとなっている。
今後の展開と展望については三つある。一つは、地域全体における農と福祉の連携強化だ。二つは、障がい者の新たな就労の場の創出だ。そして三つは、誰でも「活躍・交流・体験」できる道の駅構想だ。農・福・地域・観光・教育の連携による、官民福学連携で交流・情報発信の拠点づくりを考えている。それが新たな観光拠点施設となるからだ。
おいらせ町のある地域は、青森県の中でも降雪の少ない地域で、ハウスによる施設栽培に適した場所です。イチゴ栽培に始まり、マンゴーやバナナ、パッションフルーツ、ドラゴンフルーツなど、北の国に南の国をつくったのです。その発想の根底には、三沢市の米軍基地の需要の可能性もしたたかに狙っていたのではないでしょうか。その意外性に人は引き付けられているのだと思います。苫米地さんは、若かりし頃全国に放浪の旅に出かけることで、人が生活し生きることの本質を感性として身に着けたのだと思います。「若い者には旅をさせろ」とは言い古された言葉ですが、地域を支え再興する人材を輩出する地域とは、そのような空気感なのでしょう。
「すばらしい研修でした」をいつまで繰り返すのか。自らが住むこのまちで、自らが実践しなければ、何も始まらないことを反省しつつ、苫米地さんの発想と実践力に感嘆しきりの研修でした。