民生常任委員会の行政視察研修報告の最後は、山口県周南市における「もやいネットセンター推進事業について」です。
周南市は、平成15年に徳山市、新南陽市、熊毛町、鹿野町の2市2町合併により誕生した。山口県の東南部に位置し、人口147,000人程、面積656.29㎢で、北は中国山地から南は瀬戸内海を臨んでいる。北部にかけ丘陵地が広がる農山村地帯であり、海岸線に沿って古くから大規模コンビナートがあり、国内有数の大企業の工場地帯として発展してきた。
もやいネットセンター推進事業は、平成25年に『もやいネットセンター』を地域福祉課内に設置したことから始まる。そのミッションは、 ”共に「支え」「つなぎ」「守る」をモットーに、高齢者をはじめ全ての人を「支え」、必要に応じて、関係者や関係機関と「つなぎ」、高齢者等を「守る」、様々な活動を支援” とした。この取り組みを、平成28年から、相談内容を各課につなぐ総合相談の役割と、高齢者の見守りの役割へと発展させ、福祉の《総合相談窓口》としてスタートした。
『もやいネットセンター』の業務体制は、保健師・社会福祉士等の専門職4人を含む7人だ。相談は24時間電話対応することにあわせて、平日の日中はセンターで、平日の夜間及び土・日・祝日の終日は、民間事業者委託している。相談実績は、平成25年の『もやいネットセンター』設置時には1,450件/年程であったのが、平成28年度では2,200件/年を超えており、増加傾向にある。
もやいネットセンター推進事業は、3つの業務によって展開されている。
【もやいネット支援事業者】 平成25年に登録事業者数目標を100件としており、現在67件が登録している。電気・ガス等のライフライン事業者や地域巡回事業者に加え、年を追うごとに人が多く利用し集まりやすい事業者や、交通運輸関係事業者の参加が増えている。
【もやい徘徊SOSネットワーク】 もやいネットセンターへ徘徊情報の提供があった際、ネットワークの参加者に情報提供し、捜索への協力を依頼。 ①「しゅうなんメールサービス」への登録者は、約8,600人 ②「事前登録制度」に行方不明になる可能性のある人の登録は、46人
【もやいネット地区ステーション(地域の見守り支え合い拠点)】 社会福祉協議会にあり、31地区、「地域コーディネーター」37人が配置されており、訪問活動等を展開している。「地域コーディネーター」の役割は、地域の見守り支え合いネットワーク活動の調整役として、”安否確認” ”生活課題を早期発見、関係機関に円滑につなぎ早期対応” ”孤独感の防止” のため活動している。
もやいネットセンターを中心とした周南市の相談支援体制は、●もやいネットセンター(福祉総合相談窓口) ●いきいきサポート地域包括支援センター(地域の身近な総合相談窓口) ●31地区のもやいネット地区ステーション(地域の見守り支え合い拠点 の3層体制の連携強化とともに、民生委員・児童委員や福祉員などの地域の見守り関係者や、警察・消防・医療福祉施設など、地域のつながりが点から面となるような体制構築を目指している。
周南市の高齢者の現状は、65歳以上の一人暮らしが6,700人、75歳以上の二人暮らしが2,000世帯であり、より一層のきめ細やかな体制づくりを急いでいるようです。本年度より、周南市が全国に向けて発信するシティプロモ―ション「周南市(しゅうニャンし)」に便乗し、ネコをモチーフにした【もやいネット支援事業者 高齢者の見守り活動 に協力しています】マークを支援事業者の営業車に表示してもらうというユニークな手法で、見守り活動を日常的に推進していく取り組みを始めています。
周南市のもやいネットセンター推進事業は、これまでの5年間計画的に取り組まれてきました。高齢者をはじめ全ての人が安心して暮らせるよう、ネコが路地裏に入っていくごとく、市内の隅々まで目が届き支援の手が差し伸べられるような活動を目指していることを、確認することができたともに、制度をつくることにとどまらず、実効性のある活動に展開するなど、見習うべき点の多い研修でした。
以上で、民生常任委員会行政視察研修報告(平成29年)を終わります。