三豊市議会民生常任委員会の行政視察研修の報告をします。
九州に大災害をもたらした前例のない猛烈な豪雨の最中である平成29年7月4日(火)~6日(木)に、被災地の惨状に思いをはせながらの研修となりました。今回の研修で訪問したのは、岡山県新見市、鳥取県境港市、山口県周南市の3か所です。
最初に訪問した、岡山県新見市における「哲西認定こども園について」の報告をします。
新見市は、岡山県の最西北端に位置する中国山地にあり、鳥取県と広島県に接している。人口30,000人余、面積793.29㎢で、岡山県の11.2%を占めているが、ほぼ全域が山間地であるため、耕地はわずか5.8%程だ。平成17年に新見市と大佐町、神郷町、哲多町、哲西町の1市4町が合併し、新たな新見市となった。
旧哲西町であった哲西地域は、人口2,500人弱で65歳以上人口は1,100人余で、高齢化率44%をこえる過疎と高齢化の進行している地域だ。
哲西認定こども園は、新市となった2年後の平成19年に、県内2番目となる認定こども園として設置された。平成25年に施設の老朽化や立地の悪さから、移転の要望があり、合併後新見市の哲西支局となっている旧役場であった複合施設を、96,000千円の総事業費で改築し、平成27年に現在の場所へ移転している。
この複合施設は、「きらめき広場・哲西」といい、旧哲西町の総合整備計画により、総事業費21億75,000千円余で平成13年に完成したものだ。この中に設置された施設は、新見市哲西支局他、生涯学習センター、文化ホール、図書館、保健福祉センター、内科診療所、歯科診療所、ATM(農協)がある。そして、隣接地にある道の駅「鯉が窪」と一体化することで、保健・医療・福祉・文化・教育・行政に止まらず、食事や買い物、くつろぎの機能を併せ持った、地域拠点施設となっている。
哲西認定こども園の施設概要は、延床面積867.77㎡、定員0歳児~5歳児の50名。その他、調理室(51.44㎡)、屋外遊戯場(740.00㎡)、相談室、多目的室等を備えている。
移設後の園児及び保護者、地域の反応は、「きらめき広場・哲西」内にある子育て広場で地域の子どもたちと一緒に遊んだり、支局職員や診療所の実習中の学生などと交流する機会が多くなった。図書館の絵本等を身近に借りることができるようになった。支局、図書館、診療所、文化ホール、子育て広場等の住民サービスが集約されたことで、保護者にとっても安心で便利であるとともに、乳幼児から高齢者までが集うことができ、地域活性化の拠点となったことを喜んでいる。 *この地域は伝統的に、住民による自主的な生涯学習や地域活動が活発であったため、公民館の設置はない
哲西町の先人たちの先を見る力量に感心しています。目の当たりにした診療所の活況に、この施設が地域住民の生活の支柱になっていることを実感したからです。遊休施設の有効利活用には、その地域の置かれた現状と将来への展望を見据えた、複合的な熟慮が欠かせないことを再認識したとともに、少子高齢・人口減少社会に、地域拠点とともにある認定こども園は、かくあるべしを学んだ研修でした。