3回目になりますが、会派研究報告をします。
③ 17日(月)の初日の講演で3人目に登場したのが、東京大学教授の御厨貴氏です。
「日本政治の課題と展望~何が問われているか」 の演題で行われました。
日本の現状の政治を歴史の中で見れば、どのように見えるのかを話したい。
日本では近代において、過去大きな変革が2回あった。
一つは明治維新であり、もう一つは戦後の占領改革だ。
明治維新は、先ず 「廃藩置県」 を断行した。
藩主たち、にとっては天地がひっくり返るような大事であったが、なぜ可能だったのか。
薩長の軍事力が背景にあってこそのことだった。
それでも、形になるまで4年くらいの期間はかかった。
戦後占領改革は、吉田内閣の安定多数確保が大きな力となってできあがった。
この時も、おおよし4年位は必要だった。
歴史から見れば、2009年の民主党による政権交代から始まった現状の政治改革は、2013年に行われるであろう衆参同時選挙で決着するであろう。
現政権の問題点の話をする。
民主党・鳩山政権は、判断がぶれることがよく分かるはどに政策決定プロセスは明快だが、鳩山首相は、政治家の命でもある言葉が軽い。
これが原因で何が起こっているのかというと、国民の政治に対する不信感の増大、官僚の政権に対する “戸惑い” “失望” “あきらめ” だ。
民主党は政策も政局も決められない。
これを打開するには、党内のとことんの政権闘争より他になく、それをすることでエネルギーが収斂され、決定力が根付くのだ。
戦後、日本の政権政党であった自民党の底流にあったものは、戦後からの脱却であった。
いくつかの政権がそれを狙ったが、それは達成されてこなかった。
皮肉にも、2009年の衆院選の大敗によって自民党政権が崩壊したことで、結果として消極的な戦後政治からの脱却、となったのではないかと見える。
東大で、学生たちと接している中で感じることがある。
今の若者の考え方として、 「こんな国にしたのは大人のあなた達のせいだ。自分たちの責任でもなく問題でもない。」 との風潮がある。
それは、歴史を教えられていない結果として表れているように思える。
今の若者は、学校教育でも教えられていないから、戦後の歴史を知らない。
だから、日本は “危ない”。
地方分権し、地域主権改革が進められる中、ここに集まった地方議員の皆さんは、地方自治を担う責任として、歴史を学ぶことの重要さを再認識して欲しい。
簡単にまとめましたが、示唆に富むお話の数々でした。
渦中では気づかず見落としてしまいそうなことを、歴史を知ることでその大河の一部分として客観視することができるのです。
この立ち位置によって、不確かな将来の予測が可能となるのだという、政治活動と政策決定の原点に気づいた講演でした。