第2回講座の翌日の平成28年10月30日(日)に、第3回講座が行われました。3回の集中講座の最終日となりました。
聖徳大学児童学部教授 鈴木由美先生による《チーム援助~日常に生かせるやさしい支援のあり方~》です。「チーム支援とは」について4つの点からお話をいただきました。
[学校心理学を理解する]
学校心理学とは、学校教育において一人ひとりの児童生徒が学習面、社会面、進路面、健康面における課題への取り組みの過程で出会う問題状況を解決するのを援助し、子どもが成長することを促進する「心理教育的援助サービス」の理論と実践を支える学問体系である。
3段階の心理教育的援助がある。【1次的援助サービス】すべての子どもが課題に取り組むうえでもつ基本的共通ニーズで、教師が担う。 【2次的援助サービス】学校生活で苦戦し始めた子ども(登校渋り、成績低下)に対する心理教育的援助サービスで、教師・保護者、スクールカウンセラーで当たる。 【3次的援助サービス】大きな援助ニーズを持つ子ども(不登校、非行、いじめ、LD 、ADHD)に対して、個別に計画提供される心理援助サービスで、教師・特別支援教育担当教員・スクールカウンセラー・保護者で取り組む。
心理教育的援助には ①学習面 ②心理・社会面 ③進路面 ④健康面 の4領域があり、3つの心理教育支援サービスがある。㋐特定の子ども・事例に対するチーム支援(状況の見立てを行う) ㋑学校レベルの援助サービスのコーディネーション(学校内外の援助資源を調整しながらチームを作成し、援助活動を調整する過程) ㋒学校における援助サービスマネージメント(学校の管理運営を管理職や教務主任・生徒指導で行う)
[援助チームとは何か]
援助ニーズの大きい子どもの学習面、心理・社会面、進路面、健康面における問題状況の解決を目指す複数の専門家と保護者のチームのこと。構成員は、担任・保護者・チームのコーディネーターで、少人数が望ましい。援助チームのタイプには3種類ある。①コア援助チーム(担任・保護者・コーディネーター) ②拡大援助チーム(管理職等が入る) ③ネットワーク型チーム(民生委員・児童相談所・警察等の関係機関が入る:例として新潟県長岡市が行っている、多動性の子を幼児期から成人になるまで一人のソーシャルワーカーが見守り続けるというモデルがある)
チーム支援を実践してきた中で気付いたことがある。行動には理由がある。しかしそれは原因ではないということだ。よい行動はほめ(声かけ)、悪いことは指摘しない(無視)ことで対応できることがある。
[援助シートとは]
援助シートには3種類ある。①援助チームシート(誰が、どこで、何をするのかを文書化しておく:援助案立案のプロセスを一つの表にする) ②援助資源チェックシート(問題解決に援助的な機能を持つ人的、物質的資源) ③アンケートシート(3種類ある:児童・生徒版、保護者版、保護者振り返り版)
援助シートの使い方は、一人ひとりの子どもの援助に使用したり、事例検討会、演習(ロールプレイ)に活用する。
[連携によるコラボレーション(協働)]
先ず、人とつながり知り合いを増やし役立て合うことだ。そして、いろいろな関係機関と連携できるよう、制度を活用する。そのうえで、互いに協力し合う人との関係ができる、共通アイテムやシステム活用をおこなう。特に小中生時には大切な取り組みだ。何よりも教師間のチームワークづくりが無くてはならないことだ。
終わりに、理論では理解できても実際に行うには勇気が必要かもしれない。子どもたちのために皆さんの一歩を応援したいと思っている。
何とか時間の都合をつけ、3講座すべてを受講することができました。今更ながら、現場の先生方の子どもたちを思う心と、やる気を感じました。その裏には、学校現場で子どもたちと日々接する先生方の大変さがあるからなのだろうとも感じたのでした。子ども、保護者、先生のすべてがよりよくなれるように支援していきます。
以上で、「教育カウンセラー養成講座 愛媛会場」における3回の講座の報告を終わります。