「教育カウンセラー養成講座 愛媛会場」第2回講座が、平成28年10月29日(土)に愛媛県松山市総合コミュニティセンターで開催されました。10月23日(日)の第1回講座の報告は、10月24日付のこの場でお伝えしました。今回は、第2回講座の報告をします。
新見公立短期大学幼児教育科教授 住本克彦先生による《対話のある授業~「いのちを育てる関わり方」指導者に必要なカウンセリング能力とは~》です。
指導者に必要なカウンセリング能力の基本紹介 と 「対話のある授業」(いのちの教育) について話す。
「対話のある授業」で基本的なことは、『あらかじめ話す時間を決めておく』とか、『聞き取りやすい声の大きさか』といった双方向のやり取りをすることから始まる。そのうえで、①学習心理学知見 ②教科教育学知見 ③授業構成・展開スキル ④支え合う学習集団(ワンネス:一体感、ウイネス:身内意識、アイネス:自己主張)の力をつけることだ。また、タイムリーな話題を取り入れ、分かる授業、おもしろい授業、ためになる授業を実践することで、自尊感情の醸成に努力してほしい。問題行動のある子どもたちのその背景を知れば、解決の手立てが見つかる。「愛がすべてを開く」と信じて、対話のある授業で自尊感情を育んで欲しい。
指導者として不登校の子どもたちから学んだことがある。①受け止めてくれる人の存在の必要性 ②好きなことに没頭することの大切さ ③人生は思い通りにならないから軌道修正できる ということだ。また、荒れている学校の原因の背景に発達障害がある。根底に「認めてほしい」「ほめてほしい」の欲求がある。誕生日に祝ってもらえない人の自殺者が1.5倍多いという調査結果があるように、かけがえのない人の存在は不可欠だ。
絵本は最高の教材となる。指導者として、なぜこの絵本を紹介するのかを話すことで、指導者自身の『自己開示』となる。また、『自己主張』も必要だ。その一つに泣くことがある。思いっきり泣くことで『自己開示』できる。絵本を題材に対話を始めてみる。絵本によって子ども目線に合わすことが可能になる。
河合隼男先生の言葉に「いい言葉が心を強くする」がある。死と向き合う人に、ぜひ伝えてほしい言葉がある。「今日お前が無駄に過ごした一日は、昨日死んだ誰かが死ぬほど生きたかった明日なんだ」 死にたいという人は、本当は死にたくないのだ。3点に留意して対処してほしい。死にたくないから誰かに止めてほしい。つながることのできる人を思い出してもらう。命の電話の連絡先を必ず伝える。
NPO日本教育カウンセラー協会会長 國分康孝先生からのメッセージを伝える。指導者に必要なカウンセリング能力として、「カウンセリング心理学」の立場から、心得てほしいことがある。①見切りをよくする。訣別の決心をつける ②トレードマークを明確に持つ。多才な人ほど人の誘いに沿って損をする ③柔軟性があること。「~ねばならない」にしばられない ④マイベストを尽くして、その瞬間を楽しむ。プロセス主義で行く である。
次に、大切なのは、感情のコントロールをし感情的にならない対話を心がけることだ。①一呼吸置く ②話し合いの目的を忘れない ③リラックスを心がける ④好かれようと思わない ⑤要求水準を下げてみる ⑥言葉はもともと深読みすればきりがない。どこかで切り上げる 教育カウンセラーにも人権はあるのだから、困ったときに相談できるスーパーバイザーを持っておくとよい。
最後に、命を大切にする子とはどのような子なのかをお話しする。●人のおかげで大きくなれたと感じている子 ●得意なことがある子(他者との関係による自尊感情) ●良いところがあると思える子 ●努力すると報われると思える子(報われるとは限らないが、努力しないと報われない) ●チャレンジする子(夢を持てる子・未来志向性)などに気付いている子だ。
今回の講座の中で、何か一つでも参考にしていたでければよいと願っている。
住本克彦先生は、私の大学時代の下宿の先輩です。まさに40年ぶりの再会を果たすことができました。終わりの言葉で、涙ながらに私の参加を喜んでくれました。自らが泣くことで自己開示し、私に感激の思いを伝えて下さしました。ありがとうございました。