民生常任委員会の行政視察研修報告・3

民生常任委員会の行政視察研修報告の3件目は、岡山県総社市の「障がい者千人雇用事業について」です。

 

総社市は、岡山市の西、倉敷市の北に位置し、歴史に培われた吉備文化と高梁川の恵みによる、豊かな自然環境にある住宅・学園都市だ。人口68,000人、面積212㎢で、三豊市とほぼ同じの規模であるが、人口は増加傾向にある。総社市のセールスポイントは、内陸部であることで津波・地震のリスクが低いことと、最も近い島根原発から約118㎞にあり、福島第一原発から仙台市や山形市への距離より遠いことで、日本一安心安全なまちであるということだ。障がい者にとっても安心して生活できるまちを目指している。

「障がい者千人雇用事業」は、平成22年新設の県立支援学校の誘致合戦で隣の倉敷市に敗れたことで、それならば、「支援学校を卒業した後の働く場所は総社市が担う」という強い決意で、片岡市長のトップダウンで始まった。

平成23年「障がい者千人雇用事業」を開始。『就労支援ルーム』を全国で2番目に設置。「障がい者千人雇用推進条例」を制定。

平成24年「障がい者千人雇用センター」を設置(マッチングと生活支援の拠点)。

平成26年『就労移行支援金制度』の創設(福祉的就労から一般就労へ移行し、半年以上経過した方に、10万円を支給する独自施策)。

「障がい者千人雇用事業」を開始した平成23年時点で、市内の障害者は約3,000人おり、その内、就労期年齢者が約1,200人いた。その中の180名程しか就労していなかった。それが、平成28年現在では950名に推移している。

「障がい者千人雇用事業」の運営は、【三本の矢】と例えられる「総社市役所」「ハローワーク総社」「障がい者千人雇用センター」の、密接な連携体制で行われている。連携による協働として、「ハローワーク総社」内に、『就労支援ルーム』を設置し、〔福祉から就労〕に向けてのワンストップで付き添い型の密接な支援を行っている。また、「障がい者千人雇用センター」は社協に委託しており、ハローワーク職員が常駐し、市民であるか否かを問わず、登録者に対してマッチングから生活までマンツーマンでサポートを行うとともに、企業など就労先へのアフターケアも担当している。

現在、総社市では障がい者と触れ合える地域を実現するために、市役所の中庭を有効活用し、障がい者が提供するランチスペースに開放している。また、福祉的就労から一般就労へ移行した方に、市独自施策として10万円を支給する事業や、市内コンビニの店頭に商品を置かせてもらうなど、工賃アップのためのアイデアを市が提供できるよう取り組んでいる。

これからの「障がい者千人雇用事業」が目指すものとは、生涯を通した支援によって、障がい者一人ひとり自立し、安心して地域で暮らせる社会の実現により、「全国屈指の福祉先駆都市」実現の礎となることだ。

 

研修を受けながら感じたのは、強力なリーダーシップの存在でした。トップダウンで始められた「障がい者千人雇用事業」は、橋本龍太郎元首相秘書官であった片岡市長の熱いおもいが形となった施策なのです。その証は、「障がい者千人雇用センター」入り口に掲げられた市長直筆の看板の、力強い筆致に見ることができます。発想の原点は、日本一安心安全なまちなのだから、障がい者にとっても住みやすいまちになるに違いないとの思いからなのだと想像できます。熱き郷土愛こそが事業推進の力となることを、またここでも感じた研修でした。

 

以上で、3回にわたっての民生常任委員会の行政視察研修報告を終わります。

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