会派視察研修報告・3

最終日の三日目の視察先は、広島市にある「ひろしまNPOセンター」です。「もう一つの役場と小規模多機能自治について」の研修を行いました。

特定非営利法人 ひろしまNPOセンター は、それぞれの地域で様々な分野の課題に取り組むNPOに対し、自立・成長のための助言、援助、ネットワーク等の支援事業を行う中間支援組織です。主な役割として、企業や国、地方公共団体、各種研究機関との連携を図り、ヒト・モノ・カネ・情報を提供し、ともに地域課題の解決に取り組むものです。

代表理事である安藤周治さんは広島と島根をエリアに活動する、NPOひろしまね の理事長でもあり、地域で活動するNPOの活動の現状を踏まえ、「もう一つの役場(集落支援センター)」の役割と可能性について、説明をしてくださいました。

まちづくりとは、道路や橋を建設するのもそうだが、突き詰めれば暮らしの質を高めるということだ。広島県の山間部で活動する中で、1枚の写真に衝撃を受けた。お寺の屋根に穴が開いていた。誰も世話をする人がいなくなっていた。また、ある老人の言葉「誰が葬式を出してくれるのか、心配で死ねん」に住民の不安の心の声を聞いた。「もう一つの役場(集落支援センター)」の着手を決めた。

もう一つの役場&集落支援センター

合併したまちの行政の問題として、できなくなったのが住民に対する聞き取り調査だ。行政ができないことを「もう一つの役場」が取り組む必要がある。先ず、現場に立ち『あるく みる きく』から始めた。住民の「ここで暮らし続けたい」の思いを、地域として、自治会として、公民館として、「ここでどう生きていくのか」につなぎ、そのために、住民が自ら暮らす地域の経営を進める仕組みが、「もう一つの役場」である。

地域の土地利用の状況や自治会や字単位の人口年齢構成調査等、足元の現実を知るところから始めてはどうか。そこから問題点が見つかり、組織づくりに向かっていける。一つの問題点は、これまでの補助金制度は、それを活用する人材がいたが、今では活用する人がいなくなっている。形だけの住民自治をしてもオピニョンリーダーの育成ができなくなっていることだ。外からの人材(支援員)を迎え入れることも考えてはどうか。

「もう一つの役場」の新しい運営形態に、「ふるさと信託機構構想」がある。資料の通りで、可能性を感じている。三豊市の地域内分権政策の「まちづくり推進隊」制度は実に面白いと思う。私自身も、旧町へお金を渡してもいいのではないかと考えているところだった。

ふるさと信託

今回の研修で、3か所の地域活性化と再生に向けた取り組みを調査することができ、三豊市の取り組む「まちづくり推進隊」制度の先進性を確認することができました。これからの課題は、より住民生活に密着した社会インフラの維持管理や土地利用、日常生活支援、子育て支援等が、地域住民の全員参加で取り組むことができるのかどうかにかかっていると思います。その方向に、「もう一つの役場&集落支援センター(小規模多機能自治)」があるのだといえます。私の足元から実践あるのみです。

いずれも有意義な研修であったことを記して、報告を終わります。

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