総務教育常任委員会行政視察研修 報告・2

総務教育常任委員会行政視察研修の2件目の報告は、8月20日(木)午前中に訪問した長野県千曲市における「信州千曲ブランドについて」です。

 

千曲市は、平成15年9月1日に更埴市、戸倉町、上山田町の3市町合併により誕生した。長野県の北部、北信地方の千曲川中流域に位置しており、人口約6万人、面積119.79㎢で、明治期より善光寺詣での精進落としの場として、戸倉上山田温泉があるなど、名湯の地といわれてきた。また、江戸期には宇和島藩との交流で杏が栽培されてきた。千曲ブランドにも杏を素材とした商品が生まれている。

千曲ブランドの立ち上げの発端は、市の名前が「千曲市(ちくまし)」と読まれず知名度が低いことから、「千曲ブランド」をつくることで広く認知してもらうために始められた。平成20年に産学官連携・千曲ブランド推進担当課が設置され、21年に産業振興課に統合され、係りとなり「千曲ブランド」推進の体制となった。

ブランド認定を検討するにあたり次のような点が課題として分かった。千曲市の産品には ①市内には、水が豊富であるため食品会社が多い ②農産物については、JAがすでにブランド名を持っている ③工業製品は、多種多様でブランド化してもメリットがない ④地元の食品会社ではあるが、何を作っているのかわからない といったこともあり、先ず、分かりやすい加工食品に絞ってブランドを立ち上げることとした。市内業者に呼びかけ、応募があった業者を対象に認定の条件もゆるくし、とりあえず作業を進めた。

このような動きの中、農業・商業・工業・観光団体並びに公共団体等による「信州千曲ブランド推進協議会」が、平成21年7月に設立された。「信州千曲ブランド」の認定制度は、先ず、加工食品に絞り地元の皆さんに知ってもらうことから消費拡大を目指すこととした。認定対象要件は、●市内で製造される加工食品または市内で生産された原料を使用する加工食品 ●千曲市内に本店又は主な事業所を有するものが、自社商品として市販しているもの ●使用する原材料は市内又は国内で生産されたものをしようすること などだ。認定の審査は、ブランド認定審査会(5名)においておこない、認定期間は2年で、統一の認定マークを表示している。

第1回の認定は、平成22年2月に22業者80品目。平成23年2月に13業者28品目が加わり、合計29業者108品目となった。認定期間満了の平成24年2月に32業者120品目を認定した。その後の平成26年2月は、33業者126品目を認定している。現在平成28年2月の認定作業に向け準備中である。

ブランドの立ち上げは行政主導で行われてきたが、平成22年に「信州千曲ブランド認定業者の会」が設立され、ブランド展開にあたって民間の力が大きな推進力となってきている。これまでの5年間、市内域を超えた3回の千曲川地域ブランドフェアの開催や首都圏他各地でのイベント等への参加で、活発なPR活動の実績を重ねてきた。

これまでの取り組みに関する反省及び課題は、●「信州千曲ブランド」の認知度は市内ではある程度浸透したようだが、まだまだ商品購入につながっていない ●売り上げに業者間の差が出ている ●認定業者の会を中心に共同出店をすることで、一体感と盛り上がりが感じられる ●市内向けと市外向け、お土産と家庭用等が違うため、商品のグループ化の検討 ●セット商品の開発 ●消費者を飽きさせない新商品の開発やデザインの見直し ●多品種であるため消費者から分かりにくいとの意見があり、認定商品の区別化による販促活動の強化 などが挙げられている。

 

行政がいくら旗を振ったところで、商品を産み出すのは民間事業者です。「千曲市」と「信州千曲ブランド」の認知度向上のため、これこそがこのまちの顔だといえる、儲かる産業への支援集中も必要なことであるのであろうことと、足元をしっかり見据えることの重要さを、わがまち三豊市の現状を重ね合わせ痛感した研修でした。

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