手嶋龍一先生の講演

香川県市議会議長会議員研修会が、1月28日(水)に今大人気の外交ジャーナリストである手嶋龍一氏をお招きし、高松国際ホテルで県内8市の市議会議員参加の下開催されました。元NHK政治記者でありワシントン特派員としてアメリカに赴任し、冷戦の終焉に立ち会っています。独立後は執筆活動やコメンテーターとして、慶應義塾大学大学院教授として後進の指導にも積極的に取り組んでいます。講演は 『動乱の時代をどう生き抜くか~中国の台頭と日米同盟~』 で、最新ニュースであるイスラム国の人質事件の背景や、東アジアの政局と日米同盟との関係等、幅広いお話をいただきました。

 

強力な警察国家であるはずのフランスで発生したイスラム国による新聞社襲撃テロは、表現の自由の危機とともに、アルカイダとイスラム国が繋がっているという事実に、世界中は大きな衝撃を受けた。

原油価格の下落は、市場の需給バランスを越えた力で価格が動くという、天下動乱の兆しだ。OPECがシェールガスに対抗するために生産調整しているのだという表向きの理由が言われているが、原油価格下落によってイスラム国の収益源を止めるためであり、OPECが生産調整を断念せざるを得なかったことにある。

アメリカ経済は原油安で好況が続いている上に、シェールガス革命によってパイプラインがひかれ、全土にインフラが進んでいる。エネルギーコストは日本の1/5であり、経済基盤が強いアメリカには、日本のような少子高齢化はない。

東アジアは世界経済の推進エンジンであり、アジア半球が世界を動かすだろう。尖閣諸島は東アジア政局の要だ。日米同盟において、尖閣諸島での有事は集団的自衛権が適用されることは明確だ。しかし、オバマ政権の敗北で東アジア重視戦略にも陰りがあり、日米同盟に遠心力が働いている。

国際関係を考えるときに忘れてはいけない有名な言葉に、「インテリジェンスに同盟なし」 がある。

【インテリジェンス】とは━膨大な複雑な一般情報を意味する。インフォメーションの海から、事態の本質を示す原石を選り抜き真贋を確かめ、精緻な分析を加え紡ぎだした情報のエッセンスをいう。

【武器としてのインテリジェンス】とは━組織の舵を委ねられたリーダーが、組織の命運をかけた決断を下すに当たって、重大な決断の拠り所となるよう選り抜かれた情報こそ、インテリジェンスである。

日本では、インテリジェンス(極秘情報)とインフォメーション(一般情報)は、ともに ‟情報” と翻訳されている。インテリジェンス文化なき経済大国ニッポンだが、インテリジェンスは自衛のために自らが構築していかなくてはならない。日本には対外情報機関がない。ニッポンは強い牙もなく長い耳も持っていない。

国は、今回のイスラム国人質事件で対外情報機関の設置に動き始めた。形ができても人材が育たなければ役に立たない。人を育てるには気の遠くなるようなエネルギーと半世紀にも及ぶ膨大な時間が必要だ。これが世界におかれた日本の現実だ。選挙で選ばれる議員の皆さんには、我こそが中心であるという気概で【インテリジェンス】を駆使して、勝ち抜いて活躍して頂くことを願っている。

 

複雑な世界情勢を分かりやすく解説していただく中で、世界は【インテリジェンス】で動いていることを知り、日本が世界の中で【インテリジェンス】無き危うい国であることを気付かされました。全ては手嶋龍一先生の【インテリジェンス】のなせる技なのです。貴重な講演、ありがとうございました。

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