総務教育常任委員会視察研修報告の最後は、東京都足立区での「行政事務の民間委託」についてです。
足立区は、面積53.2㎢、東京23区の中で大田区、世田谷区に次いで第3位の広さで、人口約67万人である。
足立区は、これまでに技能労務や保育士等の業務者を約2,500人削減し、民間に委託するなどして、行政改革の先進自治体といわれている。これまでの限られた範囲の中での取り組みはやり尽され、さらなる行政のスリム化という点においては、新たな効果があげられないという壁に直面していた。そのような中、平成18年市場化テスト法の制定で、新たな分野への可能性が広がったことで、事務作業の外部化にも踏み込んだ事業展開で取り組んでいる。
事業形態によって6分類し、新たな民間委託のターゲットを定めようとしている。【政策企画立案業務】 【公権力の行使・法規制事務】 【専門非定型業務】 【専門定型業務】 【単純非定型業務】 【単純定型業務】 に分類し、その内後者の2業務についてはすでに民間委託に着手済みだ。
新たなターゲットは、【専門定型業務】 である。そこで想定される業務として、『税関連補助業務』 『会計・出納』 『介護保険事務』 『国保事務』 『総務事務』 『児童手当事務』 『窓口事務』 が考えられる。その内、戸籍住民課の 『窓口事務』 は、平成26年1月から本格稼働しており、民間への移管率は10割となっている。また、『介護保険事務』 は、平成26年3月から一部移管し、平成29年には移管率10割にし本格稼働する計画で進められている。来年度より取り組む業務として、『国民保健業務』 と 『会計管理業務』 がある。いづれも平成27年度に5割移管し、平成28年度から本格稼働で移管率10割とすることとしている。以上の4業務の民間委託によって、単年度で約1億4千万円の削減効果があると試算している。
行政事務の民間委託のメリットとデメリットについては、メリットとして ①業務の可視化とコスト削減 ②窓口からの積極的な声かけによるサービスの向上 がある。デメリットとしては ①個人情報保護に対する疑念を問われる ②人事制度・人材育成の見直しが求められる(事業者への管理監督能力向上や、民間事業者間のノウハウの移転・継承) ③小規模自治体では効果が少ない などが考えられる。
これまでの取り組みから明らかになったことは、国からの法定受託事業に対しては、国がかなり関与してくることや、『介護保険事務』 等の民間主導で行われてきた行政サービスは、民間が行うことで苦情が激減しているなど、やってみてわかることが多くある。これからも、区政を取り巻く状況変化に飲み込まれることなく、変化をエネルギーにして課題を克服していかなければならない。
委託先である民間事業者が力を発揮できる市場環境と力のある事業者の存在や、三豊市のような小規模自治体で効果を生み出すための自治体間連携による規模確保等、課題は多くあることも理解できました。市政を取り巻く状況変化に飲み込まれることなく、新たな可能性を求め続けなければならないと、気づかされた研修でした。
以上で、平成26年度三豊市議会 「総務教育常任委員会 視察研修報告」 を終わります。