総務教育常任委員会視察研修報告の3件目は、東京都港区での「小中一貫教育の取り組み」についてです。
港区は、面積20.34㎢、東京23区の中で12番目の広さで、人口237,000人である。
港区では、幼稚園・小学校・中学校を通した12年間において、中学校区を単位とする10のブロック(アカデミー)ごとにカリキュラムを組み、地域にあった幼・小中一貫教育を推進している。この取り組みは、「小1プロブレム」や「中1ギャップ」といわれるように、小学校入学時に授業中に歩き回ったり、中学校入学時にかけ算や九九等ができなかったりすることや、生活習慣が身についていない等により、不登校や問題行動を起こす子どもが増えてきたことが、大きな要因として始められた。
平成22年4月、小中一貫教育校『お台場学園』を開校するとともに、地域の特色を踏まえた教育活動や幼・小中の子どもの交流活動、教員による【MINATOカリキュラム】を活用した指導方法の研究や、学習指導上の連携を図ってきた。今後平成27年4月、区内で2校目となる小中一貫教育校『白金の丘学園』の開港に合わせ、平成27年度から全アカデミーで、幼児期の3年間と小中の9年間がつながった、12年間と見通した指導方針で小中一貫教育を進めていくこととしている。
港区のアカデミーの形態は10にアカデミーを置き、その内2校区は〔施設一体型〕で、他の8校区は〔カリキュラム連携校〕で構成されている。
〔施設一体型〕 『お台場アカデミー(お台場学園)』━中:1校、小:1校 『朝日アカデミー(白金の丘学園)』━中:1校、小:1校、幼:1園
〔カリキュラム連携校〕 『御成門アカデミー』━中:1、小:1 『赤坂アカデミー』━中:1、小:1、幼:1 『港南アカデミー』━中:1、小:2、幼:2 『高陵アカデミー』━中:1、小:2、幼:1 『三田アカデミー』━中:1、小:3、幼:1 『高松アカデミー』━中:1、小:2、幼:2 『六本木アカデミー』━中:1、小:3、幼:1
アカデミーが機能するための方策がある。その一つとして、子どもたちの学びが良好な環境の中でつながっていくために、カリキュラムがまとめられている。 ●小学校入学前教育カリキュラム<小1プロブレムを発生させないために、当たり前のことができるよう、家庭でも教育できるようまとめたもの> ●MINATOカリキュラム<教員が小・中の学ぶ内容を知り、つながっていることを知って授業に取り組むことができるためのもの> また、マンネリやいじめ回避のため、学校選択希望性を導入している。
今後の課題として、3てあげられる。1点は、中学校教員の小学校への出前授業のため、負担増がある。今後小学校教員の部活動指導が考えられる。2点は、免許状の違いへの対応として、兼務発令が考えられる。3点は、小中の教員間の打ち合わせ・準備・移動時間の確保は、ICT等の環境整備が考えられる。
平成27年度から全区での展開に関心が尽きません。三豊市においても、〔カリキュラム連携校〕の形態は導入しやすいものではないかと思われます。三豊市教育協議会の中でも、幼・小中連携教育の考えをより前向きに取り入れ、一歩踏み込んでみるのも一手ではないかと気づかせていただいた研修でした。