日本自治創造学会での研修を終え一か月になります。いまだに全ての報告を終えていません。8件目の講演報告をします。
「教育委員会改革と首長・議員の役割」 村上祐介東京大学大学院准教授
2011年に発生した滋賀県大津市いじめによる自殺事件を発端に、教育委員会の責任の不明確さが大きな問題となり、教育委員会改革の必要性が強く言われてきた。そこで、地方教育行政法改正が検討されてきた。
改正案の概要は、
(1)現行の教育委員長と教育長を一本化した新『教育長』を創設し、首長が議会の同意を得て直接任命・罷免する。新『教育長』の任期は3年に短縮する。
(2)首長と教育委員会で構成される総合教育会議を新設する。総合教育会議は首長が主宰し、大綱の策定、重点とするべきものと緊急の場合の措置を協議・調整する。
(3)首長は、総合教育会議で教育委員会と協議を行い、教育基本法に基づき教育の振興に関する施策の大綱を策定する。
(4)児童生徒等の生命または身体への被害の拡大や発生を防止する緊急の必要がある場合に、文部科学大臣が教育委員会に対して指示ができることを明確化するため、基本法の 是正の支持 を見直す。
そこで、首長・議員の役割と期待したいことが3点ある。
(1)首長と教育長・教育委員会との円滑な連携・協力による教育行政運営 総合教育会議では、首長は自らがビジョンを示し議論を活発に行いつつ、首長・教育長・教育委員の連携・協力を進展させる場とすることで、適切な支援を基礎とした教育行政が行われることが望める。その結果、有権者や子どもにとって実りある地域教育が実現できる可能性がこれまで以上に高まる。
(2)議会による教育行政への適切なチェック機能の強化 教育長・教育委員の人事同意の際に、候補者が議会で所信表明と質疑応答を行うなどして、丁寧な審査を行うこと。また、大綱的方針や職務執行に対するチェック機能が強化できる。
(3)喫緊の教育課題(家庭教育費負担、教師の過重負担など)への対応 家庭の教育費負担や子どもの貧困、教員の長時間労働と過重負担といった問題の改善が、教育の質の向上につながることもあり、政治の役割が重要となる。
平成27年4月1日から始まる。首長・議会の皆さんに期待している。
議会の教育に対する関わりがこれまで以上に直接的になることで、役割と責任の重要さに気付くことができました。地方自治体ではなかなか見つけ出せなかった新たな道の模索ができることに、動くかもしれないという期待感を感じることができました。サァー、はじめましょう。
8件目の講演の報告を終わります。