会派啓明会 視察研修報告・Ⅱ-②

会派の視察研修 22日の2件目の講演の報告をします。

「消費税アップと地方財政の行方」 宮脇淳北海道大学大学院教授(前地方分権改革推進委員会事務局)

消費税アップは、地方交付税問題に大いに影響する。消費税増税の目的は、社会保障である年金や介護、医療、子育てに充当することとなっている。2015年10月に10%税率に引き上げる。その配分は、国が6.28%、地方分が3.72%(地方消費税2.2%、地方交付税分1.52%)で、社会保障施策に係る諸経費に使えることとなっている。増税額地方分は10兆円(地方消費税5.9兆円、地方交付税4.1兆円)となるが、地方の実態に合った柔軟な使い方ができるのかはっきりしていない。

消費税増税で行政コストの見直しが必要となる。上下水道や公立病院等の公営企業会計分の支出増加や、公共施設使用料や公共サービスのアウトソーシング等の委託料の見直しなどが考えられる。このことで、消費税引き上げの目的である社会保障改革と社会保障の安定との、せめぎあいの議論が避けられない。

地方財政計画との関係では、財務省と総務省の地方財政計画総額問題や、法人住民税の国税への移管で、自治体間調整が必要となり、自治体間の対立が生まれる可能性がある。

地域元気創造事業が設けられることとなっているが、政策誘導とも取れる成果指標型事業が含まれているため、地方財政の自由度をそぐのではないかと心配する。

終わりに、消費税増税分の社会保障目的税化による地方間配分問題が考えられる。65歳以上人口推移の調査では、今後、関東・中部・関西の高齢者は2030年以降も増加し続けるが、その他の地方は2020年代を境に減少に転じていく。このことから、高齢者人口が増加する都市部と減少する地方では、地方交付税配分において、自治体間格差が拡大する。さらに、地方都市においてもそれぞれに違いがあり、政策立案力による差が明確な時代となる。これからはもっと広範囲な地方全体の底上げが欠かせなくなる。その対策の考え方の一つに 【連担(れんたん:シティー・リージョン)】がある。それぞれの自治体がその地域の中で役割分担し協力体制をつくっていこうというものだ。消費税増税が、財政健全化なのか社会保障に向かうのか、地方交付税が地方財政に大きく関係するため、動きを見定めつつ地域ごとのしっかりとして政策を立案していかなくてはならない。

 

22日に受講した2件目の講演の報告を終わります。

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