三豊市議会会派 啓明会 の視察研修を、4月25日(金)に6名の参加で実施しました。視察研修先は、愛媛県今治市大三島の「シシ活場しまなみイノシシ活用隊」と、西予市市役所及び 獣肉処理加工施設「ししの里せいよ」 です。視察の目的は、全国的にも大きな問題となっていて三豊市も同様の、有害鳥獣対策の取り組みの具体事例について学ぶことでした。
1か所目に訪問した「シシ活場しまなみイノシシ活用隊」は、大三島の柑橘生産・販売を営む渡邊秀典さんを中心とした15名程のメンバーによって活動しています。島内に生息するイノシシを解体・処理・加工・販売する地元住民のグループで、一切行政からの支援は受けていない(愛媛県の公募の支援事業は利用)民間事業者です。
食肉処理業の営業許可を取得し、3年ほど前から現状のような事業体制で取り組んでいます。解体処理等の作業所は、旧大三島町学校給食センター跡の施設を、今治市から月1万円で賃貸しており、冷蔵庫や作業台など旧式ですが既存設備を利用しています。可能な限り経費が掛からないように、自分たちで考えて工夫しています。
持ち込まれるイノシシは年間80~100頭で、買い取り価格は季節を問わず1頭(約50キロ)10,000円としています(補助金は別途)。大三島で一年間に捕獲される数は800頭ほどで、1割程度が持ち込まれていることとなります。
販売は、良質なものは渡邊さんがジビエ料理関係者のネットワークで知り合った都会のレストラン等へ冷蔵・冷凍で配送しています。また質の落ちるものは、ウインナーや空揚げ用として加工販売しています。売価は、季節や肉質の良しあしで2,400~4,000円/㎏の単価となります。
「始まったばかりでこれからだ」と渡邊さんは控えめに語っていましたが、「シシ活場しまなみイノシシ活用隊」は、渡邊さんたちの大三島のみかんを守り、ここにあるものは何でも活かしてやろうという、確かな郷土愛で生まれたのです。やっぱり行動する ‟人” が、ここにもいたのでした。
次に訪問した「ししの里せいよ」は、大三島とは対照的な施設でした。農作物に対する野生鳥獣による被害が3千万円/年であることから、西予市が平成22年に2,960万円余を投じて建設した、公共の獣肉処理加工施設です。運営・管理は(株)エフ・ビー・シーへ指定管理委託し、イノシシやニホンジカを解体処理して精肉加工するとともに、猪肉コロッケ等の加工品販売を行っています。
西予市のイノシシ捕獲は、平成23年に設立された『西予市有害鳥獣捕獲隊』(278名)が行っており、駆除期間(4/1~10/31)に1,445頭で、狩猟期間(11/15~3/15)と合わせると約1,800頭になります。「ししの里せいよ」での受け入れは、年間80頭ほどですが、その内ウリボウが6割おり、約50㎏まで育ててる一時飼育を行っています。
買上げ費は駆除期間が200円/㎏、狩猟期間が400円/㎏としています(補助金は別途)。売価は4,000~5,000円/㎏ほどで、市内の物産施設やインターネット等で販売しています。現在、【里のあばれん坊】の名で西予市のビジエブランドと位置づけて販売促進を図っています。
品質勝負であり、一度でも悪い商品を出すことでイノシシ肉の評価が落ちることが最も怖いことです。「イノシシ肉は美味いんですよ!」「事業としてやっていけますよ!」と品質と販売について熱く語ってくれた責任者の舟本さんがいてこそ、「ししの里せいよ」があるのです。やっぱり熱い ‟人” がここにもいたのでした。
刺激ある、内容の濃い日帰り研修でした。