三豊市議会議員選挙が終わった翌々日の1月28日(火)に、「香川県市議会議長会議員研修会」が、県内8市の市議会議員を対象に開催されました。講師は、元朝日新聞編集委員で法政大学法学部教授の 萩谷順(はぎたにじゅん) 先生で、『激動する国際情勢と政治・経済の行方』と題して、混沌とする今という時代に日本が世界の中で置かれている状況や、この国の現状とあるべき方向をお話しいただきました。
今、消費税の増税が大きな政治課題となっている。日本の社会保障費と福祉費の総額は、110兆円だ。その内60兆円が国民負担であり、50兆円は借金で賄っている。すべてを国民負担に委ねるためには、消費税は30%となる。この税金をここに投入することそのものが、日本経済の活性化につながる。
さて、先進国病のパラドックスがある。 ①豊かな人3割と豊かでない人7割いるとする②民主主義国家の本質は「多数の支配」である③社会福祉国家と民主主義がともに成熟すると破局の道を進むことになる というものだ。そうならないために、今、切望されることは、 *社会福祉の負担と給付のバランスをとる *財政再建し経済の成長を実現する *ねじれ国会解消とアベノミクスはチャンス *日本の再生は同じ先進国病に悩む先進国のモデルになりうる *社会福祉を可能にしたのは「経済成長」 である。日本経済の再生とは国民がもっと稼げるようにすることである。そのためには、稼げる産業に労働者(資源)を移すことだ。具体策として、解雇規制の緩和を進めることだ。日本が国際社会の中で置かれている現況で、経済成長するためには、ドイツの成功例に習い「雇用の流動化」と「TPPへの加盟」だ。
それでは、地方の活性化をいかに進めるのかだが、ポイントは3点ある。 1.日本経済の再生なくして地方の活性化はない 2.激動する東アジアでの安全保障なくしてアベノミクスの成功はない 3.孫子の代に豊かで安心して暮らせる日本を引き継ぐことができるのか まさに今年は正念場の年となる。国際社会から見た構図は、東アジアの安定があってこその日本経済の再生であり、その結果地方の活性化があるというものだ。東アジアの安定は、日本自らの手で確保しなくてはならない時代になった。なぜなら、アメリカは諸国の問題にかかわっていられなくなったことと、中国は自国のシーレーンを守るために国際常識から逸脱して海洋進出していることだ。日本と中国という経済大国の衝突が世界大戦につながっていく恐れがある。ところが日本人はいまだに「巻き込まれ論」の中にあり、実は戦争の主役になりうる可能性があることに気付いていない。そうならないための方策が日米の情報共有であり、日米同盟こそが、その抑止力になるのだ。
経済成長のストップ→少子高齢化→社会保障・福祉支出の増大→税金で賄えなくなる→国債発行で膨大な借金の山→破局・・・ とならないために、今打つ手は限られている。それが着実に進められるか否かが、地方の活性化に大きく影響をきたす時代となっている。
茫漠と感じてはいましたが、地方議員としての視野と視点の置き方の重要さを再認識させられた、厚みのある講演でした。ミスター リベラルアーツ にお会いできたことを心から感謝いたします。議員活動に活かしていきます。