10月5日(日)、ワインで有名な長野県塩尻市で開催された、政策研究を目的に設立されている「東京財団」の研修会に参加してきました。
テーマは、「分権時代の地方議会改革━改革派首長からの提言━」です。
これまで、多くの改革派首長が登場し地方自治体改革に挑戦してきた効果が、幾分か伺えるようになってきています。
ところが、彼等が引退するとその勢いが急速に弱まり、足踏み状態となっているようです。
地方自治体改革が、なぜ期待するように進まないのかの考察が、今回の研修テーマです。
予定では、橋本大二郎前高知県知事の参加も計画されていましたが、いつ火蓋が切られてもおかしくない衆議院選挙活動のために、欠席となっていました。
信州大学教授の又坂常人先生をコメンテーターとして、愛知県犬山市前市長の石田芳弘氏と佐賀市前市長の木下敏之氏のお二人から、改革派首長としての体験・研究発表が行われました。
改革派首長が引退すると、その勢いが弱まったのはなぜか?
水戸黄門的な改革では、地方自治体組織全体には浸透せず広がらない。
先進事例として、北海道栗山町では議会基本条例を制定し、①住民参加を進めること ②説明する責任のこと ③首長が議員に質問できること などを明記している。
この条例の目的は、議員の意識改革とこれまでの首長偏重の自治制度改革にある。
地方自治体改革は、首長だけでできるものではなく、地方議会全体が力を高める必要がある。
そのための提言として(一部抜粋)
提言1:そもそも「議員とは何か?」ということを議員も住民もゼロから考えよう。
議会の多くは、執行権に不当に介入し存在意義を誇示することに注力するあまり、住民の意思を吸い上げて全体の利益を実現しようという姿勢にかけている。
住民が自治の意識を高め、議会とは何か、議員とは何かという基本的なことを問い直すことが重要だ。
提言2:まずは、議会の権能を最大限活用しよう。
個別の議員としての活動ではなく、地方自治法にある議会の権能を積極的に最大限活用することからはじめ、議会としての住民対話の機会を増やし、議員間での議論を実質的なものへと変えていかなければならない。
提言3:自治の制度(ガバナンス・システム)は、地方自治体が選択できるようにしよう。日本国憲法で困難と思われている一元代表制も選択できるようにしよう。
国が定めた全国均一の制度をやめ、自治体が主体的に財政状況や将来展望を考え、財源を可能な限り自力で確保し、決定した事項に責任を負うなどのガバナンス・システムを機能させることが自治の本質だ。
自治制度とは、自治の制度だ。すなわち、全国均一の制度によって、“形式美”を整えたとしても、自らを治める目的を達成する制度になっていなければ、本末転倒だ。
本来、自治体がどのような方法で市長や議員を選ぶかというのは、その自治体が決めることだ。
分権時代に言われる地方自治体の呼び方として、“地方の行政体”から“地方自治体”へ、そして今言われているのが“地方政府”です。
首長だけに地方自治体改革を期待しているだけではなく、議会自らの改革が急務です。
議会が政策を予算化することで議会が政治をし、首長が執行するのです。
このような政治をする議会があって、初めて地方政府が現実のものとなる様な気がしています。