地域経済を支える中小企業の経営環境が惨憺たる状況であることは、景気動向を示す調査でも明らかです。
ここにきて、営業歴30年を越える企業の倒産や廃業が増加していると言われています。
時代の大転換期に企業経営に携わる者たちにとって、「景気が悪いから」と言って、それが業績不振の理由にならないことは当然の認識でしょう。
それでも、つい「時代が悪い、環境が悪い」と愚痴を言いたくなるのも人情です。
4月6日(日)に行われたM社の経営指針発表会で、そんなこと言ってる場合ではないことを突きつけられたました。
この会社は創業140周年で設立53年目の老舗ですが、ともすれば過去の成功例に引きずられ守りに終始するところを、『経営は環境適応業』であるとして、新規事業や改善で安定経営を持続しています。
この原動力となっているのが、経営者だけではなく社員も含めた全員で、その年の方針や目標をまとめた経営指針なのです。
経営理念・経営方針・経営計画などからなり、会社の存在意義や目的、当年と将来の業績目標や個々の行動方針が書き込まれています。
いわば、企業の憲法でありルールブックのようなものです。
これを毎年作成し発表しているのです。
発表会の終了後に、 <目先を変えれば、自社のとるべき方向が見えてくる「ピンチはチャンス、中小企業の生き残り戦略」> のテーマで、四国ビジネスアシストの塚元社長の記念講演が行われました。
今、時代は大転換期にあり、日本の会社の99.7%を占める中小零細企業の実態は、80%は赤字に陥っている。
業績によって4ランクに分類できる。
Aはエクセレントカンパニー 10%
Bは黒字だが資金繰りに苦しい 10%
Cは粉飾に近い決算で黒字化しているが実質は赤字 10%
Dは全くの赤字 70%
それでは、業績の良い会社の共通点は、
① 経営者が諦めていない。苦しい現実にあっても、どんなに赤字であっても諦めなかった。社長が諦めない限り倒産は無い。‘みつわ石けん’が良い例で、17年間赤字だったが信念を曲げずに経営を続け、今再び花開いた。
② ステークホルダー(利害関係者)である、客・取引先・社員を大切にする。
③ 体系だったシステマティックな経営。理念・目的・ビジョンに従い、方針・目標・戦略・戦術へと展開している。
④ イノベーション力。0から考え、無から生み出す力。
⑤ マーケティング力。顧客と商品をいかに結びつけてるか。
などである。
この時代に生き残りをかけた、中小企業の打つべき手とは、
(1) 経営指針を持つ企業に習う、システマティックな経営。
(2) 経営戦略の策定。戦略はあれもこれもではなく、“あれかこれか”だ。経営は環境適応業だから、時代の変化・環境の変化に対し、進むべき方向性(市場分野・製品分野)を示す。
(3) SWOT分析で自社の現状分析を図る。内部環境の強みと弱み、外部環境の機会と脅威を分析。
(4) 市場(消費者)に対する接近法。誰に、何を、どのようにアプローチするのか。
(5) 社員教育の徹底を図る。教育は上からするべきで、企業力の差は幹部社員の力の差。
など、色々あるがどれだけ取り組めるのかが大きな開きになる。
まとめとして、ピンチはチャンスだ!
ものの考え方次第で手の打ち方と結果が全く異なる。
例として、「九州熊本県の黒川温泉」 「激安理髪店」 「ブックオフ」などがある。
社長は諦めることなく、先頭に立ち時代の変化と環境に適合した市場(誰に)とニーズ(何を)、強みや独自の能力(どのように)で立ち向かって欲しい。
地域経済活性化は、どのような逆境にあっても、夢を諦めない企業家精神を待った志ある経営者と企業があることを、地域の皆さんにに知っていただこうとする地道な行動から始まるのだと感じた、経営指針発表会と記念公演でした。