第13回中国・四国ブロック青少年育成アドバイザー研究集会 愛媛大会が、松山市の道後で開催されました。
中国・四国各地から、育成アドバイザー約70名が集い9月8日と9日の2日間、基調講演や日頃の活動報告、分科会による指導力向上のための研修が行われました。
私は、都合で8日の1日のみの参加となりました。
基調講演は、松山東雲女子大学学長代行の塩崎千枝子先生(塩崎前官房長官の奥様だそうです)による「巣立ちへの道程-青少年の自立を考える-」の演題で行われました。
なぜ、現代の若者が自立できないのかの理由が順序立てて説明され、久しぶりにアカデミックな空気の中に身を置くことができたひとときでした。
現代の日本は「学校化社会」となっている。
今、日本の教育制度が何かといわれているが、実は日本の学校制度が良すぎて、社会までもが学校化されてしまい、本来日本社会が担う役割を果たさなくなってしまった。
学校化社会の中で学歴依存が進み、計画通り行く人生など本当は無いにもかかわらず、計画的で先の見える人生を選ぶようになった。
この流れの中で、核家族化や少子化が進行していった。
そして、学校化する社会とともに家族の役割が変化していった。
元々、家族というものは家を守り子孫を残すための形であった。
ところが、いつしか家族が社会性を失い、愛情のつながりで成り立っているのが家族であると錯覚するようになった。
その家族の実態は、母親しか育児の現場にいない母性愛に支配された濃密な家族になってしまった。
子どもを自立できる大人に育てなくてはならないのに、子離れできない母性による、親離れできない子供を作っていった。
「日本人の国民性全国調査 2004年」の、“最も大切なものは何か”の問いに対し、「家族」と応えた日本人が異常に多い。
この結果は、強い母性に支配された家族から、“巣立てない日本人像”を明確に証明している。
核家族で少子化で閉鎖的な家族の中で、母性を本物の愛と勘違いして育った若者たちにとって、愛は一方的に与えられるものだと思っている。
すぐの離婚の多いのも、パートナーに母性愛を期待するためだ。
今、自立できない親たちの世代がこようとしている。
自立できない親に、頑張れと言えない時代になってきた。
だから、地域の力で一杯「別れ」や「失敗」の体験をさせ、豊でたくましい心と体力のある地域の子どもを育てて欲しい。
自分の子どもや孫のためだけではなく、地域の人育てをして欲しい。
皆さんには、育ち合う“生涯学習社会”へ向け活動して欲しい。
「今の日本社会には“希望格差”が広がっている」との言葉には、自分を見つけられず、自分を信じられず、ひ弱で打たれ弱い若者の育ってきた社会の本質を言い当てているように思われたのでした。
社会が父親の役割を果たす時代なのだと言っていると、私は解釈をしています。
そのために、青少年育成アドバイザーはあるのだと勝手に頷いていたのでした。