三豊市議会会派清風会 視察研修報告・3

3件目の視察研修は、衆議院会館会議室での総務省自治財政局財務調査課課長補佐 梅本祐子氏からの「地方財政の現状等について」です。

 

我が国の内政を担っているのは地方公共団体で、政府支出に占める地方財政のウエートは56%となっている。地方交付税は、所得税・法人税の33.1%、酒税の50%、消費税の19.5%、地方法人税の全額 が当てられており、種類は、普通交付税94%、特別交付税6% となっている。

令和6年度地方財政計画のポイントとなる新事業予算は次の通りだ。

【こども・子育て政策に係る地方単独事業(ソフト)】 ◯地方団体が地域の実情に応じてきめ細かに独自のこども・子育て政策(ソフト)を実施できるよう、地方財政計画の一般行政経費を1,000億円増額し、普通交付税で措置 ◯普通交付税算定に当たり、新たな算定費目「こども子育て費」を創設

【こども・子育て支援事業債の創設】 ◯地方団体が「こども未来戦略」に基づく取り組みに合わせた環境改善(ハード)を速やかに実施できるよう、新たに「こども・子育て支援事業費」を計上し創設 (令和10年度まで5年間8「こども・子育て支援加速化プラン」の実施期間)

【物価高への対応】 ◯光熱費の高騰や自治体サービス・施設管理の委託料の増加を踏まえ、一般行政経費に700億円を計上 ◯建設費の上昇を踏まえ、庁舎移転事業と公立病院の建設費における建築単価の上限を引き上げ

【地域脱炭素の一層の推進】 ◯脱炭素化推進事業債について、再生エネルギーの地産地消を推進するため、地域内消費を目的とする場合を対象に追加 ◯過疎対策事業債において「脱炭素化推進特別分」を創設

【消防・防災力の一層の強化】 ◯消防の広域化、連携・協力による、消防・防災力の強化のため「緊急防災・減災事業費」の対象を拡充するとともに特別交付税措置を拡充

【地域の経済循環の促進、地方への人の流れの創出・拡大】 ◯地域の経済循環の促進のため、ローカル10,000プロジェクトの地方単独事業に対する特別交付税措置を創設 ◯地方への人の流れの創出・拡大を加速するため、「地域活性化企業人」制度に社員の副業型を追加するとともに、地域おこし協力隊に係る特別交付税措置を拡充

【地方公務員の人材育成・確保の推進】 ◯地方団体において、少子高齢化、デジタル社会の進展等により複雑化・多様化する行政課題に対応できる人材を育成するとともに、配置が困難な専門人材を都道府県が確保するため、地方交付税措置を創設・拡充

経済財政運営と改革の基本方針2024(地方一般財源総額)から、主要分野ごとの基本方針と重要課題として、地方行財政基盤の強化がある。地方の安定的な財政運営に必要となる一般財源の総額について、2024年度地方財政計画の水準を下回らないよう実質的に同水準を確保して、地域における賃金と物価の好循環の実現を支える地方行財政基盤の持続性を確保・強化する。

 

国の地方財政の概要と、常に変化する経済や自然環境・災害に対応する財政措置の情報は、今後の三豊市の事業展開の参考になりました。

以上で、会派視察研修の報告を終わります。

 

 

三豊市議会会派清風会 視察研修報告・2

2件目の視察研修先である長野県の(株)Growth Seeding Bloom は、代表取締役 松葉陽祐氏が農業DXを駆使して栽培から販売までを一人で運営する農業事業者です。当法人を視察先に選んだのは、先端技術をどのように利用して事業継続しているのか、本人の体温を感じながら農業に対する考え方と、その手法を自らの耳目で体感したかったからです。

 

経営理念は「誰もがみんな安心して Happyと笑顔になれる未来を創る!」で、そのためのビジョンは「農で『幸創・こうさく』する。」としている。事業内容は、◯小麦栽培 ◯大豆栽培 ◯さつまいも栽培 ◯シャインマスカット栽培 ◯水稲栽培 ◯農産物直売、加工販売 に取り組んでいる。現在の主力作物は「ハナチカラ」という硬質小麦で、全17ha作付けし反当たり収穫は430Kgの実績がある。今後もっと増収するための栽培方法を研究中である。

東京出身のサラーリーマンで農業経験のない松葉氏がなぜ所縁のないこの地に移住してまで農業をしたかったのか。一定の成功を収めていたサラリーマン生活であったが「とにかく社長になりたい」と思いが強くなる中、雇用、過疎、遊休農地、住環境等の地域課題(こまりごと)の解決に取り組むという目的が明確になってきたからだ。

松葉氏は農作物の栽培から販売までを一人で行っている。大規模栽培することでJAの先の卸業者と直接取引できるようになった。農業機器等の導入は、国の担い手補助金を活用した。先般、長野県名物の おやき の会社をM&Aした。原料作物と最終商品の製造に着手し、経営の安定を目指している。

先端技術をフル活用するとともに地域の5つの福祉事業所と連携することで、事業展開の可能性が広がった。福祉事業所からは、販売方法等で助言があったり多様な作業に対して、施設利用者の適性を引き出してくれたりする支援員の力は経営に大いに貢献している。

最後に、行政に言いたいことは「新規就農者」の本気度の見極めをしっかりしてほしいことだ。助成金があるから安易に制度を利用されると、まじめな就農者にまで風評被害が及んでしまうからだ。もう一つは、食に対する消費者教育を推進してほしいということだ。正直な農業者が評価されるようにならないと、日本の安全・安心な農業と食は心もとない。

今後の目標は、農家を守るために販売を強力に展開していくことだ。自分で値段をつけ、お客さんに商品の良さを直接伝えることができることによって、農業の活力が持続できるからだ。

 

まさに今、私が実践しているモリンガ栽培と商品化によるエンドユーザーの声を聞く経営に、確信を得ることができました。「少子・高齢社会」「健康」「環境」が現代を象徴するキーワードだと思います。日本の地方ができる課題解決は、耕作放棄地対策を根幹業務として、農業をいかに活性化することより他ないと考えています。「やって見せねば人は動かない」どこかで聞いた言葉ですが、それをだれがやるのか?私がやります!

 

以上で2件目の報告を終わります。

三豊市議会会派清風会 視察研修報告・1

令和6年7月2日(火)から4日(木)の3日間の日程で行われた、三豊市議会会派清風会の視察研修報告をします。研修先は、富山県立山町の交流ステーションと長野県の民間農業事業所、東京都議員会館での勉強会でした。

 

1件目の視察研修先である富山県立山町「元気交流ステーション『みらいぶ』」は、【高齢者も、赤ちゃんも、だれもがみんな、快適に安心して利用できるように。】を目的に、立山町社会福祉協議会など保健福祉の総合的な機能を集約し、立山図書館や交流センターなど暮らしに役立つ公共施設と富山地方鉄道五百石駅が一体となった福祉施設だ。

以前から分散していた保健福祉機能を集約する保健福祉センター構想があった。人口減少が著しい中で立山線の廃線の危機があり、現町長になりその存続を掲げて駅との一体建設が実現した。

総事業費は19億円で、まちづくり交付金(現:都市再生整備計画事業)等を活用し、設計から2年ほどの超短期間で2012年5月に竣工した。駅舎に関する建設費及び維持管理費は町が負担し、冨山地方鉄道の費用負担はゼロで、光熱費等の経費負担のみとしている。行政エリアの管理は、地元事業者でつくる「商業協同組合」が5,000万円/年 で指定管理者となっている。

施設内容は、1~3階が交流ゾーンで駅改札口や図書館などの各スペースにつながっている。1・2階は図書館ゾーンで「改札口を抜けるとそこは図書館だった。」で表現されるような配置とされ、一般書・児童書がそろっている。3階は保健・福祉ゾーンで、子どもを持つお母さんお父さんの悩みから介護の相談など、保健福祉で気になること・知りたいことにワンストップで対応できる。

 

『みらいぶ』のある富山地方鉄道五百石駅は800人/日の利用があり、多くは高校生で時間待ちが自分の居場所づくりとなっています。また、電車・バスの結節点の機能が向上したことで、人の流れが変わったとのことです。三豊市では、高校生が主要な利用者であるJR四国高瀬駅(1,1000人/日)の改修計画が進められようとしています。駅舎そのものの建設計画に加え駅前の民間活力導入による最適活用の検討の必要性を強く感じた研修でした。

以上で1件目の報告を終わります。