三豊市議会会派清風会 福岡市・北九州市視察研修報告・3

2日目の課題討議は、「議員のなり手不足問題への取り組み報告が行われました。

 

コーディネーターを江藤俊昭氏(大正大学社会共生学部公共政策学科教授)に、3氏からの事例報告として辻弘之氏(登別市議会議長)、たぞえ麻友氏(一社 WOMAN SHIFT理事、目黒区議会議員)、永野慶一郎氏(枕崎市議会議長)から行われた。

江藤氏:なり手不足は、単に無投票というレベルに止まらず、多様化の欠如(年齢・性別・職業等)、投票率の低下、といった地域民主主義の問題。多様性が議会の価値そのものだからだ。議員のなり手不足問題を克服するための地方議会の手法として、いくつかの課題がある。「議員報酬を増額すれば・・・」「定数削減すれば・・・」「夜間議会にすれば・・・」「住民総会にすれば・・・」等がよく言われるが、誤解があるので注意すべきだ。

辻氏:[「なり手」を育てる地方議会の未来への種まき研究会~地方議員養成講座]の報告があった。報酬の多少よりも定数減の方が「なり手」不足の要因ではないか。報酬が安くても議員を辞めた後に民間での価値が認められる環境にしたい。

たぞえ氏:「若手女性議員のネットワーク&ママの議員インターン」の報告があった。ミッションは、届きづらい女性の声を政治につなぎ、一つずつ実現していくこと。WOMAN SHIFTでやっていること ●住所公開が怖い、旧姓使用ができない ●議会に女性が入っても声が届けられない ●20~40代の若手女性の声が拾いづらい 等を解消するためのワークショップ、ママの議員インターンに取り組んできた。議員の活動が楽しい、意義があると実感できるようにしたい。

永野氏:「議員のなり手不足問題への取り組み報告~無投票選挙の克服をめざした4年間の歩み~」の報告があった。無投票回避に向け報酬は現状維持で、定数減を決断し14名から12名にした。その結果、12に対して14の立候補があり、4名の女性議員が誕生した。県内でも最も女性議員比率が高い。現在の報酬額(275,000円)では議員を目指そうとは思わない現実があるが、顔の見える議会を目標に活動している。

 

「研究フォーラム㏌北九州」を受講して通して言えることは、わがまちの市議会の本質的な存在価値とは何かということです。人口、面積、財力、歴史、文化、風土、気質、そしてそこに住む人等、違いを上げれば枚挙にいとまがありません。それぞれの地方議会があっていいということです。多様性が議会の価値そのものなのですから。

以上で報告を終わります。

三豊市議会会派清風会 福岡市・北九州市視察研修報告・2

「第18回全国市議会議長会研究フォーラムin北九州」は、【統一地方選挙の検証と地方議会の課題】のテーマで、北九州市小倉区西日本総合展示場において開催されました。

 

1日目の基調講演が、「躍動的でワクワクする市議会に」と題して、片山善博大正大学教授兼地域構想研究所長からあった。

◯地方議会をめぐる現状とこれまでの地方議会改革を検証する ━ 二元代表制とはいえ、地方自治法を読み込むと議会が最上位である。決定する立場と執行する立場だと、当然決定する方が重用だ。ところが、現状どうみてもそうなっていない。

◯日本の地方議会に欠けていることは何か ━ ①議場という公開の場での真剣な議論がない。議案の審議がなされていないのでそのまま決定している。議案や予算案の修正をしていくことだ。 ②税率の議論がない、お金がなければ税率を上げればいいではないか。固定資産税1.4を上げればいいし、住民税だって上げたっていい。 ③住民の声が聞こえない。住民に参加してもらう議論の場を設ける。

◯現行の議会の権限を活用してもっと積極的に取り組むべきこと ━ ●もっと議案を丁寧に審議する:提案の裏を取る。本質をぼかして説明する場合があるため、当事者を直接議場に呼んで意見を聞く。市民の意見を聞く場を設けてはどうか。議会で予算に対するアンケートを取る。 ● 教育委員会にもっと目を配ってほしい。いじめ・不登校問題(教員のなり手不足:ブラック職場という情報が学生に広がっている)は教育委員会の責任だが、提案を承認したのは議会だ。任命には所信を聞いてはどうか。

以上のような意見と指摘、提案があり、議会の在り方に対する議員自らの姿勢を問い直す有意義な基調講演となりました。

 

続いてのパネルディスカッションは、「統一地方選の検証と地方議会の課題」をテーマに、谷隆徳氏(日本経済新聞編集委員)をコーディネーターとして、勢一智子氏(西南学院大学法学部教授)、辻陽氏(近畿大学法学部教授)、濱田真理氏(Stand by Women 代表、女性議員のハラスメント相談センター共同代表)、田仲常郎氏(北九州市議会議長)の4人のパネラーで行われた。

谷氏:統一地方選を振り返ると投票率は低下傾向が続き、過去最低だった。兼業300万円/年までならOKとなったが、社員の立候補を認め、議員から戻ってもそれを活かした生活をすることが可能な社会にすることもあってもいいのではないか。

勢一氏:問題関心として、地域社会の「鏡」としての地方議会となっているのか。議員構成が地域社会を映していないのではないか。学生は議員の選択肢がないという。政治に興味がないのは変化する社会課題が議論になっていないからではないか。

辻氏:多様な地方議会が求められるのではないか。人口規模に応じた執政制度の選択を可能にしてはどうか。人口規模が大きい自治体では、「専業化」できるがそうでない自治体は「兼業」しないと生活できない。政策立案できる人的・組織的整備が必要だ。議会費が同様又は減額したとしても、それを充実して予算措置してはどうか。

濱田氏:地方議員に対するハラスメントの現状は、男性より女性の方が受けた人が多い。相談体制や議会内のルール作りが重用で、ルールや基準を設けていない場合、対応が非常に困難になる。ハラスメント倫理条例等の制定を行い、ルール作りをしておくことが重用だ。秘書のような人がいない。議員に寄り添う人が必要だ。

田仲氏:北九州市議会の取り組みとして、市民に市議会を身近に感じてもらうため、市の抱える課題をテーマにした市民との意見交換会を行う。また、ドリームサミット(中学生議会)や平和のまちスタディーツアー(議会棟視察)を実施して、関心を持ってもらうように取り組んだ。

 

「研究フォーラムin北九州」の1日目の報告を終わります。

 

三豊市議会会派清風会 福岡市・北九州市視察研修報告・1

令和5年10月25日(水)と26日(木)に北九州市で開催された[第18回全国市議会議長会研究フォーラム㏌北九州]に参加するに合わせて、前日の24日(火)に福岡市にある福岡地区水道企業団が運営する「海の中道奈多海水淡水化センター(愛称:まみずピア)」の視察研修を行いました。

 

海水淡水化センター廣川所長はじめ職員の皆さんが丁寧に対応してくださった。

【海水淡水化事業の目的】 福岡都市圏は地域に一級河川がなくこれまで筑後川からの給水に頼っていた。だが、近年の少雨傾向もあり、渇水が頻発していることもあり、平成22年度を目標年次とする広域水道整備計画が策定され、海水淡水化事業が位置付けられた。筑後川水系に多くを依存する福岡都市圏の自助努力の一つとして、海水淡水化事業を行った。

【施設の概要】 事業費:408億円、維持管理費:18~20億円/年(電気代やRO膜 等)、取水方法:浸透取水方法(玄界灘=最大取水量103,000㎥/日)、海水淡水化方法:海水逆浸透方式(生産水量 最大50,000㎥/日)、放流方法:近隣の水処理センター処理水との混合放流(博多湾内)、供用開始:平成17年6月

現在、福岡市の必要水量は600,000㎥/日で、その内、水道企業団では まみずピア で生産した50,000㎥/日と、筑後川水系からの導水等を併せて250,000㎥/日をまかなっている。

 

三豊市では、詫間地区の工場用水確保が重要な課題となっており、海水淡水化プラントも具体的な検討技術であると確信した視察でした。

 

 

 

三豊市議会会派清風会 視察研修報告・3

視察研修報告3日目、最後の報告は千葉県いすみ市での「廃校跡地の利活用」についてです。

 

いすみ市は平成17年に夷隅町と他2町の3町合併により誕生した。現在人口43,000人余、面積157.50㎢で、太平洋に面する千葉県の南東部に位置している。内陸部では米や野菜の生産、畜産などが営まれており、また、親潮と黒潮が交わる良好な漁場があり、豊富な海の幸にも恵まれている。

「廃校跡地の利活用」の取り組みは、市HPによる空き公共施設情報の発信に加えて、国・県と連携し効果的なPRを実施してきた。文部科学省の【~未来につなごう~「みんなの廃校」プロジェクト】や千葉県の県HPの空き公共施設等活用可能施設一覧を活用するなど、企業誘致活動が進められた。また、県主催のイベント等において、市場ニーズの把握や参加企業への積極的なアプローチによる、利活用を検討する企業とのマッチング機会を創出した。千葉県商工労働部企業立地課が主催する『空き公共施設活用セミナー』で可能性を見極め、公募型プロポーザル方式による企業提案の募集を実施した。

企業への支援制度は ●立地奨励金 ●雇用促進奨励金 ●半島振興法に基づく固定資産税の不均一課税 ●過疎法に基づく固定資産税の課税免除 がある。

空き公共施設への企業進出実績は ①旧サンライズガーデンへ地域の仕事拠点となるコワーキングコミュニティの運営事業:年間賃料 111万円余 ②旧学校給食センターに食品会社のレトルト食品の製造拠点:売却額 7,900万円余 ③旧中川小学校へ液晶モニター関連製品の開発やカ亞タマーサポート、商品受注拠点:売却額 2,244万円

これからの案件として、旧千町(ちまち)小学校があり、利活用アイデアの募集中である。

いすみ市は、これまでに地道な移住政策に取り組んできたことで、市のイメージ向上につながっており、企業進出に大きくプラスになったとのことです。たゆまぬシティプロモーションの必要性を再認識するとともに、多様な誘致施策の展開が求められることも気づくことのできた研修でした。

 

以上で、会派視察研修報告を終わります。

三豊市議会会派清風会 視察研修報告・2

2日目の報告をします。

 

防衛省では、人事教育局衛生官総括班長の石関氏から「なぜ、いま 防衛力の抜本的強化が必要なのか~戦後、最も厳しく複雑な安全保障環境の中で、国民の命と平和な暮らしを守り抜くために~」の説明をいただいた。

我が国の安全保障・防衛の基本方針として、令和4年(2022)に国家安全保障戦略、国家防衛戦略、防衛力整備計画が新たに策定された。国家安全保障戦略は、政策の戦略的指針であり国家安全保障に関する最上位の文書だ。国家防衛戦略は、防衛省が基本をつくった防衛目標とそのアプローチ・手段を示した防衛の戦略的指針だ。防衛力整備計画は、おおむね10年後の自衛隊の体制、5か年の経費の総額・主要装備品の整備数など、中長期的な整備計画を示したものだ。2023年度~27年度の防衛力の抜本的強化のために、必要な5年間の支出額は43兆円程度と見込まれる。

国民の命と平和な暮らし、そして、我が国の領土・領海・領空を断固として守り抜くための手立てだ。相手の能力と新しい戦い方に着目した防衛力の抜本的強化を行うことで、我が国を断固として守り抜くという意思と、十分な能力があることを認識させ、相手に我が国を侵略する意思を持たせないことにつなげていかなくてはならない。

国家防衛の本質を再認識した研修でした。

 

文部科学省とこども家庭庁との情報交換会を国会議員会館で行った。

先ず、文部科学省初等中等教育局 修学支援・教材課・学校デジタル化プロジェクトチーム 中嶋氏から「GIGAスクール構想推進について」の説明をいただいた。

GIGAスクール構想の実現に向けて、目指すべき次世代の学校・教育現場とは5点ある。●学びにおける時間・距離などの制約を取り払う ●個別に最適で効果的な学びや支援 ●プロジェクト型学習を通じて創造性を育む ●校務の効率化 ●学びの知見の共有や生成 である。

学校のICT環境整備に係る地方財政措置として、◎平成30年に「教育のICT化に向けた環境整備5か年計画(平成30年度~令和4年度)」を策定し、単年度1,805億円の地方財政措置 ◎新たなICT環境整備方針の策定について、令和7年度に向けて検討を進めることとし、現計画期間を新たな方針までのつなぎとして令和6年度まで延長 となっている。

今後、GIGAスクール構想を踏まえた成果や課題等を検証し、引き続き教育のICT環境整備を進めていくため、令和7年度以降の新たな学校における方針の策定に向けた検討審議を行うために、「次期ICT環境整備方針の在り方ワーキンググループ」が設置された。

令和5年6月16日に『新しい資本主義のグランドデザイン及び実行計画が閣議決定された。”国策として推進するGIGAスクール構想の一人一台端末について、公教育の必須ツールとして更新を着実に進める” というものだ。

デジタル世界に生き抜くための欠かすことのできない必須スキルであることを知るほどに、我が国のデジタル化の遅れは未来に生きる子どもたちに対する大きな付けになりはしないかと危惧した研修でした。

 

続いて、こども家庭庁長官官房参事官(総括政策担当)付参事官補佐(計画担当)新田氏と万木(ゆるぎ)氏から「こども家庭庁の取り組みと こども政策の概要について」説明をいただいた。

こども家庭庁関連予算の基本姿勢は、1.こども政策は国の未来への投資であるため、安定財源を確実に確保する 2.複数年度で戦略的に考える 3.こどもの視点に立ち施策を立案する 4.縦割りの狭間に陥っていた問題に横断的に取り組む 5.支援を求めている者にしっかり届ける である。

令和5年6月16日に閣議決定された『経済財政運営と改革の基本方針2023では、新しい資本主義の加速の主要方針として、「少子化対策・こども政策の抜本強化」が示されている。

【若年人口が急激に減少する2023年代に入るまでが、状況を反転させることができるかどうかの重要な分岐点であり、ラストチャンスである。若い世代の所得を増やす、社会全体の構造や意識を変える、全てのこども・子育て世帯を切れ目なく支援するという3つの基本理念を踏まえ、抜本的な政策の強化を図る。具体的には、こども未来戦略方針に基づき、今後加速化プランの3年間の集中取り組み期間で、経済的支援強化や所得向上に向けて取り組む。そのために、全てのこども・子育て世帯を対象とする支援の拡充と、共働き・共育ての推進をする。こども・子育て予算倍増に向けては、加速化プランの効果の検証を行いながら、政策の内容・予算をさらに検討し、こども家庭庁予算で見て、2030年代初頭までに、国の予算又はこども1人当たりで見た国の予算の倍増を目指す。】

以上のような使命のもと、こども家庭庁は発足し始動しています。少子化対策・こども政策の抜本強化は、新しい資本主義の加速による国力の強化が大目標です。すなわち、全ては国の経済財政運営のためにあるのでしょう。

 

 

三豊市議会会派清風会 視察研修報告・1

清風会の視察研修に令和5年7月4日(火)~6日(木)の3日間参加しました。視察研修先は、1日目に都内の日本銀行・貨幣博物館と農林水産省、2日目に防衛省及び国会議員会館での省庁官僚との情報交換を行い、3日目に千葉県いすみ市における「廃校跡地の利活用」についてでした。

 

日本銀行・貨幣博物館では、政策委員会室国会渉外企画役 小坂田氏から、令和5年4月27日・28日に開かれた『金融政策決定会合』の「先行きの金融政策運営方針」の説明をいただいた。 ”経済・物価・金融情勢に応じて機動的に対応しつつ、粘り強く金融緩和を継続していくことで、2%の「物価安定の目標」を持続的・安定的に実現することを目指していく。そのためには、必要があれば躊躇なく追加的な金融緩和措置を講じる。” としている。続いて、金融研究所貨幣博物館館長 福山氏の案内で、「お金の歴史」について説明をいただいた。

農林水産省では、農村振興局農村政策部地域振興課 荒廃農地活用推進班の千田氏と菅野氏から、農山漁村振興交付金のうち、最適土地利用総合対策等の説明をいただいた。対策のポイント及び事業内容、事業イメージは別紙資料の通り。