令和5年三豊市議会第4回定例会における一般質問報告をします。
「市民病院と地域産業(資源)の連携について」
質問 三豊市立みとよ市民病院は開院から1年半が過ぎた。今、国では、2024年度以降の医療・介護・障がい者支援のトリプル同時報酬改定が議論されている。自治体病院であるみとよ市民病院も、その都度、経営状態に少なからず影響を被る。市民病院が報酬額の増減により経営状態が翻弄されることのない独自の収益事業を、市の産業施策と連携して構想することで、なくてはならない自治体病院であることの存在感を示すべきときが来たと思う。
市民病院の存在価値を見つめ直すべきだと気づいたのは、次の理由による。「自治体病院経営において、総務省は一般会計を入れた後の経営収支の黒字を重視しており、税金投入ゼロを求めているわけではない」ということだ。それは、地方の自治体病院が都市と地方の税の格差を埋める再配分機能を有しており、住民の命を守る病院をつくり、医療者を雇用して、医療を提供することができるため、ほかの公共施設より意義が大きいからだ。さらに、病院や福祉施設は将来を見込める産業であり、産業振興の観点からも考えるべきである。
かといって、病院維持のためにルール分の税金を増やすことは、財政からしても納得のいくものではない。そうならないために、そこに病院があることの存在価値を活用した市民病院と地域産業(資源)の連携による経済活性化が図られ、そこで得られた収益が病院の経営支援に向けられるような取り組みができないかということだ。市民とともにある『みんな』の市民病院を核とした地域産業(資源)の連携による地域経済活性化と市民病院の健全経営に向けた取り組みの考えを問う。
次に、三豊市だからこそできる産業(資源)を活かした事業展開の検討をしてはどうか。3点について提案する。 ①地域観光資源やゲストハウス、スポーツ施設等を活かした医療ツーリズムの可能性。これまでの医療ツーリズムは、高度医療を求めた海外からの富裕層中心のものであるが、今後は、求める需要が一般化することによる健診と観光を兼ねた家族ぐるみの医療ツーリズムのマーケットの可能性があると考えられる。 ②摂食障害嚥下食をはじめとする薬用作物を取り入れた、薬膳の医療・介護食等の開発と提供。教育機関や民間事業者の協力による、患者の病状に応じた食材、メニュー開発を、薬用作物栽培を主要施策として推進する、このまちだからこそできる薬膳メニュー開発が考えられる。 ③ベーシックインフラ活用による、治療後の日常生活を支える事業展開。市はベーシックインフラ構築に向け、市民への直接サービスの展開に着手しているが、病院の【治す医療】はもとより、治療を終えた利用者が日常の生活に戻ってからの【支える医療】があれば、楽しい食事が実現するものと考える。
以上の3っの視点から、医療機関の存在価値を最大限に活用した地域活性化と産業政策の考えを問う。
答弁 みとよ市民病院は、地域に根差した病院として、市民の生命と健康を守るため、職員は患者の立場に立った病院運営に努めている。この地域になくてはならない病院として、退院後の支援や事業者との連携を考えていく時期に来ていると認識している。
市民病院を核とした地域産業の連携による地域経済活性化と市民病院の健全経営に向けた取り組みの可能性については
①医療ツーリズムは、今後、求める需要が一般化することになれば、観光などの周辺産業にも貢献するなど、経済的な効果も期待できると考える。現在、ふるさと納税の返礼品を活用した人間ドックを提案し、募集を進めているところだ。ほかの地域からの健診の受け入れをすることで、本市の認知度を高め、交流人口の拡大につながることから、先進事例を調査研究するとともに、関係機関と連携を図る。
②高齢者や障がい者の摂食嚥下障害の問題は、医療機関や介護施設だけでの支援では限界がある。食の支援には、本市の地域資源である農産物や魚介類、フルーツ、薬用作物などを活用し、教育機関や異業種連携により医療・介護食の開発を進めていく必要があると認識している。健常者が食べてもおいしい嚥下食が開発できれば、退院後も家族で同じものを食べることができ、在宅でのQOL(クオリティー・オブ・ライフ)の生活の質が向上すると考えられるため、先進事例を調査研究していく。薬用作物の取り組みは、市民病院では本市の総合政策アドバイザー監修のレシピを取り入れた健康食を薬膳料理として、1泊の人間ドック受診者に提供しており、食の重要性を再認識していただいている。このようなレシピを地域の事業者と共有することで、市民の健康増進と地域資源の活用を進めていく。
③今年度、三豊ベーシックインフラ整備事業として、地域の健康社員食堂という取り組みを実施している。市民病院と連携しながら、企業の従業員だけでなく、治療を終えた患者に拡大していくことは、市民全体の健康維持向上の観点から十分検討すべきであり、展開可能性のあるものだと考える。また、日常生活に戻ってからの支える医療は、宝山湖ボールパークの芝生広場や父母ヶ浜の砂地などの観光資源を活用し、退院後のリハビリや精神的な癒しの提案などを、関係機関と検討していく。
今回の提案により、みとよ市民病院の存在価値を高めるとともに、事業者との連携により地域活性化を進めていきたいと考えている。
以上で一般質問の報告を終わります。