研究フォーラム2日目に行われた課題討議の報告をします。「地方議会のデジタル化の取り組み報告」が、コーディネーターを谷口尚子氏[慶應義塾大学大学院システムデザイン・マネージメント研究科教授]として、金澤克仁氏[取手市議会議長]、板津博之氏[可児市議会議長]、林晴信氏[西脇市議会議長]の事例報告者3名で行われました。
金澤氏 『ICT活用 いつでも・どこでも議会の機能を維持向上』の取り組みの報告があった。議員の3割近くが女性議員であったことから議会改革の土壌があった。さらに、議会事務局も含め議会愛が強かったため、デジタル化に向けての合意形成がスムーズに進んでいった。
取手市議会における議会運営のデジタル化・住民とのコミュニケーション強化の主な取り組みは、①オンライン事前説明:7日前招集告示。その3~4日後、オンラインで市長や部長が提出予定議案の詳細説明。そのことによって、議員は、議案の事前調査が活発になる。また、聞き逃し、聞き間違いなどがなくなり、議論の質向上に寄与 ②コロナ禍、学校休校により育児しつつ、介護しつつ、また、濃厚接触者により自宅待機でもオンライン委員会に出席し審査 ③医療従事者とは平日の夜間。市PTAとは土曜日の午前中など、情報を聞きたい相手に合わせて開催
誰もが政治参加しやすい社会を目指し、オンライン本会議を可能とするよう、多くの議会からも自治法改正の意見書をまとめて欲しい。
板津氏 『可児市議会の取り組みについて』の報告があった。コロナ禍における議会報告会の開催で議会グループウエアを導入した。Withコロナ時代における議会報告会の在り方として、議場において十分な座席間隔を確保し人数を限定して市民に参加してもらい、一部議員はオンライン会議システムを活用して参加。一歩進めて完全オンラインの議会報告会に着手した。
デジタル化による議会改革の方向性は、市民アンケートの結果を基に行っている。
林氏 『議会は住民自治のプラットフォーム!を目指してICTを何のために使う? 議会DXへの取り組み』の報告があった。議会DXへの取り組みは、防災訓練と一緒だ。シミュレーションしなければいざというときに使えない。
自治体DXは、行政も議会もDXしなければならない。自治体DXはデジタルによる、多機能化と効率化。議会DXはデジタルによる議会の効率化と、より多くの多様化した民意の集約化だ。それは、情報の共有・住民参加・議会の機能強化であり、人々の生活をより良いものへと変革し、住民の福祉の増進につなげていくためのものだ。
オンラインは時間と距離を超越する。そのためには広聴・広報の戦略が必要だ。
議会DXを、住民の福祉の増進と議会への信頼度upに活用するためには、議会の広聴・広報戦略に基づいたデジタル化の取り組みに向けて、走り出さなくてはならないことを痛感した事例報告でした。
以上で会派清風会の研修報告を終わります。