平成26年度議会閉会中の総務教育常任委員会(第2回)

急ぎの案件が発生したとのことで、6月議会を前にして慌ただしく閉会中の総務教育常任委員会が、5月26日(月)に開催されました。協議及び報告された案件は次の通りです。

【総務部】

●「本庁及び6支所の宿日直の見直しについて」 宿日直業務廃止にともなう、本年10月1日からのカギ管理等について案が示されました。業務廃止により、教育委員会事務局の入っている豊中支所の自動扉開閉装置改修費用が、本年度のみ90万円余発生しそうだとのことですが、これまでの年間維持管理費36,259千円が8,600千円に削減される見込みであるとのことです。

●「陣山工業団地法面対策工事について」 本年3月14日に発生した伊予灘の地震で、状態が急激に悪化したため、当初予算1億4千万円の範囲で早期着工するとの報告がありました。

【教育委員会】

●「学校訪問について」 国では教育制度改革の議論が喧しくなっており、教育委員会の在り方が問い直されている現状の中、議会として義務教育現場の実態を知る必要があることから、常任委員会として教育委員会の学校訪問と同行して、市立の幼小中学校を訪問することとしました。1年をかけ、6月29日の三野津中学校をはじめに全9か所訪問する予定です。

●「財田小学校の基本計画案について」 内部で検討が続けられていた財田新設小学校の基本計画が提案されました。

●「学校給食の異物混入について」 高瀬町給食センター調理の給食に異物混入したことに対する、原因説明と改善策が報告されるとともに、三野町給食センターの件についての概要報告がされました。

●「上高瀬小学校補強工事(耐震)について」 新耐震基準以降の建築であるが、耐震強度が著しく悪いことが判明していました。新耐震基準以前の建築物件を優先して耐震工事をしてきましたがほぼ完了したため、本年度補正予算提案することで、上高瀬小学校の耐震補強事業を進めたい意向である、との報告がありました。

【政策部】

●「住宅リフォーム補助金の経過報告について」 住宅リフォーム(一般)分について、予算の120件分を大幅に超えた200件余の申し込みがあってため、5月末日をもって受付を締め切ります。当面、住宅リフォーム(空き家バンク)分と若者定住促進・地域活性化分で対応したいとの報告がありました。

 

色々出てくるものです。是是非非で取り組みます。

 

会派啓明会 視察研修報告・Ⅰ-②

視察研修報告の2件目は、 〔自治体総合フェア 2014〕 の自治体トピックセミナー:地域包括ケアシステムセミナーの2件目です。

【講演Ⅱ】 「横須賀市における在宅療養連携の取り組み~最期まで住み慣れた場所で~」 横須賀市健康部地域医療推進課 課長補佐 川名理惠子氏

横須賀市は、面積100㎢ 人口約41万人の中核都市です。高齢化率約27%で年間死亡者数約4,500人で、人口ピラミッドからの予測で、10年後には5,300人程に増加するとされています。平成25年に実施した、介護認定を受けていない65歳以上の市民1,000人余を対象としたアンケートでは、60%が自宅での療養を望んでいる結果となっていますが、現状は死亡場所が自宅であるのが20%となっています。また、これまでの10年間の死亡場所別死亡数の推移では、病院での看取りは増えていないのに対し、自宅は1.8倍に増加しています。

これらのことから、●在宅での療養や看取りを希望する市民は多い ●在宅での看取りが増加すると予想される ●在宅での看取れる体制を作らなければならない  の課題が見えてきたのです。その目指す方向は、「住み慣れた我が家で療養したいという方が、在宅での療養・さらには看取りという選択ができるように地域医療の体制づくりを進める」ことでした。「私たちは、病院に任せることに慣らされてしまっている。市民がやれるシステムをつくっていこう。」と決め、平成23年度から在宅医療の体制づくりに着手してきました。

これまでの取り組みは、準備段階の平成22年度に、医療・福祉関係者へのヒアリングを行い、在宅での療養生活ができるための、連携による緩和ケア体制を促進するための基本計画を策定しました。スタートの年である平成23年度は、医療・福祉の多職種が同じテーブルについて話し合うことで、「みんな、誰もが利用者のために何とかしたいと思っている」ことを知りあうことができました。このことで相互の理解を深めることができ、在宅療養連携会議が発足したのです。平成24年度は、在宅療養連携会議のメンバーが増え、ワーキングチームを設置しました。また、幸運にも厚生労働省の在宅医療連携拠点が、市内で2か所採択されたのです。平成25年度は、市内を4ブロックに分け在宅医療ブロック会議を設置し、4つの中核病院をブロック拠点として、在宅医の増加と協力体制を構築していきました。さらに、医師会に在宅療養センター連携拠点を設置し、ブロック拠点の情報交換の開催によって、多職種連携を図っています。

ブロック会議の目的は、「横須賀の在宅医が一人でも増えるように、地域内で診療所のネットワークづくりを進める」ことです。目指すのは、市民・在宅医・病院・多職種の関係者みんながWⅰn-Wⅰnになれるネットワークづくりです。

今後の課題として、平成27年度以降に地域支援事業が市に下りてくるといわれていますが、国の制度や組立が明確でないため、財源の継続に不安があることです。このような状況にあっても、横須賀市の地域特性を理解し お・も・て・な・し (お:想いを伝える も:目標を共有する て:できることから始める な:何も正解はないと知る し:市はコーディネーター)の心で、このまちに相応しい地域包括ケアシステムの構築を進めていきます。

 

川名さんは、地域包括ケア担当になる前は、図書館勤務でした。介護のかの字も知らないずぶの素人でした。それがこんなに素晴らしい事業を創り上げてきたのです。真っ白なところからの真っ直ぐな取り組みがみんなの心をつなぎ、実を結んだにちがいありません。三豊市でも必ずできると確信しました。

会派啓明会 視察研修報告・Ⅰ-①

平成26年5月21日(水)~23日(金)の3日間、東京都内において三豊市議会会派啓明会の視察研修を行いました。21日は、東京ビッグサイトで開催されていた 〔自治体総合フェア 2014〕 に、22日と23日は(財)日本自治創造学会の研究大会に参加しました。

先ず、 〔自治体総合フェア2014〕 の報告をします。‟安心と活力ある地域社会の実現~協働・情報・減災~”のテーマで出展された各社ブースで説明を受けた後、二つの自治体トピックセミナー:地域包括ケアシステムセミナーを受講しました。

【講演Ⅰ】 「世田谷区における地域包括ケアシステムの取り組み~住みなれた地域で、安心して暮らし続けられるために~」 世田谷区高齢福祉部高齢福祉課 課長 瓜生律子氏

世田谷区は、面積58.08㎢ 人口87万人余 65歳以上人口は17万1千人余で20%近くを占め、75歳以上人口は8万5千人余で10%に届こうとしています。区内を5区域に分け総合支所に福祉事務所を置き、日常生活圏域となる27地区にまちづくりセンターを設け、そこには地域包括ケアセンターを配置しています。

介護給付費の推移と高齢者の状況は、平成12年度と24年度の比較において、高齢者数1.36倍(高齢化比率1.23倍)、要介護認定者数2.39倍、給付費2.73倍と大きく増加しています。また、介護保険の要支援・要介護認定者約34,700人のうち、認知症が約18,000人で、平成20年以降毎年約1,000人づつ増加しているとともに、85歳以上の6割以上が独居であるという状態にあります。このようなことから、85歳以上の高齢者と認知症高齢者に対する医療的ケアや、生活支援の見守りの必要性が増加してきたのです。

平成25年度実施した介護保険実態調査では、高齢者が介護を受けたい場所は自宅が65%を越えており、その希望を叶えるための取り組みとして、2つの方針をたてることから始めました。 ●地域の豊富な資源やネットワークを最大限活用して、区全体で地域包括ケアシステムを構築 ●身近な地区における相談体制の充実のために、誰もが住み慣れた地域で安心して暮らし続けられるように、障がい者・子どもを含め支援に取り組む。地域の活動を地域包括ケアシステムに生かすために、区役所と地域包括支援センター、地区社協を同一の場所に整備する。 この最大の狙いは、「利用者と仕組み(介護事業所や見守り・住民活動等)をつなぐ 《マッチング》」 なのです。

点と点をつなぐ世田谷区の地域包括ケアシステムは、5つの柱で展開されています。 ●医療 医療関係者やケアマネ等で構成する「世田谷区医療連携推進協議会」による在宅医療・介護の連携の推進の取り組み(医療と福祉の顔の見える関係づくりで、情報の共有化を図るための連携シートを作成) ●介護 定期巡回・随時対応型訪問介護看護の実施。小規模多機能型居宅介護(お泊りや訪問)などの新たな事業展開 ●予防 一次予防事業、二次予防事業の実施。喫茶店や大学等の社会資源を生かした居場所づくり ●住まい 認知症グループホームの整備や特養に都市型軽費老人ホームを併設する。サーブス付高齢者住宅の整備 ●生活支援 住民同士の支えあい活動、配食サービス、移送サービス、見守り、ボランティアのよる買い物支援のモデル事業実施

新たな取り組みとして、「認知症の人の早期対応体制の確立や、医療・福祉の連携推進、実務的な人材育成、家族支援の充実、情報発信等を行う専門的かつ中核的な拠点」である、 『認知症在宅生活サポートセンター構想』 があります。平成26年度に準備担当を置き、サービスの質の向上と人材育成を充実していきます。

世田谷区では、これからも区長が掲げる 「点と点をつなぐ《マッチング》」 で、「いつまでも住み慣れた地域で暮らしたい」の思いをかなえるために、地域包括ケアの推進に努めていこうとしています。

講演で、多様な分野がつながりあった 《マッチング》 の三豊市型の地域包括ケアシステム構築のためには、実態の確認と分析が重要なのだと、改めて気づくことができました。

次回は、研修1日目の講演②の報告をします。

人口減少時代は女性の時代

人口減少時代は女性の時代なのだと、改めて気づく報道が目に留まりました。「消滅可能性都市」と「女性活用企業を優遇」の文字でした。

「消滅可能性都市」とは、約25年後の2040年に若年女性(20歳~39歳)の数が2010年対比半減する地方自治体のことをいっています。現在、全国に1,800余ある地方自治体のうち、半数の896自治体がその危機にあるというのです。「消滅可能性都市」と判断される重要な指標が【若年女性人口】の推移で、この世代人口減少に伴う出生数減による人口減はもとより、都市への移動が問題とされています。女性がいなくなることでまちが消滅するのです。

「女性活用企業を優遇」とは、国が6月にまとめる成長戦略に、 ‟女性の活用が進んでいる企業を公共調達で優遇する” を入れ、公共工事の入札などで、女性の活躍度合を評価ポイントに加えるというものです。入札制度を変えることで、女性の社会での活躍や管理職登用の支援をし、働き手を確保しようとするものです。女性の更なる社会進出がなければ、社会基盤の維持すら危ういのです。

縮小する社会には膨張する社会とは明らかに発想の異なる社会構造の構築が必要です。人口減少時代は女性の時代です。女性が輝く社会の実現なくして、成長はおろか持続すらないのです。

三豊市子ども会育成連絡協議会 総会

私が、三豊市子ども会育成連絡協議会の会長を、前会長の前川さんから引き継いで何回目の総会になるのでしょうか。合併して三豊市は9年目に入っていますので、7~8回になるのかもしれません。5月17日(土)、市民交流センターで三豊市子ども会育成連絡協議会総会が開催されました。

会長となってからのこの間、テレビゲームからスマホなど、子どもたちのコミュニケーションの方法が様変わりしてきたようです。回を重ねるごとに、この時期の子どもたちにとっての子ども会活動は、とても重要性を増していることを感じるようになってきており、三豊市型の子ども会活動の充実に向けて、新たな一歩を踏み出さなくてはならないと思っているところでした。

折しも、三豊市内の公立幼稚園や保育所、子育て支援センターの先生方が作成した 『ななつのたから』 という乳幼児教育の手引書ができたとの知らせが届いたのです。三豊市の自然・文化・歴史・伝統を活かした 「三豊らしい」 子育てを、若い世代に広げたいとの願いで編集されたのです。現状のままではダメだという思いは同じのようで、子どもたちも大人たちもみんな一緒に三豊にある山や海、川、里の自然環境の中で思いっきり遊んで、 ‟旬の美味いもん” を収穫して食べて、もっとシンプルに楽しく子育てすればいいのに、との思いがいっぱい詰まっています。

今回の総会の講演の講師は、香川県子ども会育成連絡協議会 専門委員 横山喜一郎さんで、具体的活動の指針となるお話をいただきました。『里山や森林で 生き生きと 子ども会活動を』 の演題で、「子どもに体験や経験をさせないからいつまでたってもできないのだ。危ないからといってやらせない前に、使い方ややり方を教えないといけない。」の言葉は、当たり前すぎるがゆえに、意識から消えてしまいそうなことを思い出させてくれました。

この日集まってくれた保護者の皆さんに、三豊市の自然環境の素晴らしさに気付いてもらい、子ども会活動に活かしてほしいと願っています。スマホより楽しい、すり傷と笑顔の絶えない三豊市型子ども会を目指していかなくてはならないと心新たにしています。

 

県道本山停車場線の要望書提出

ゴールデンウイークも終わり、本年度事業もいよいよ本格的に動き始めました。休み明け早々の5月7日(火)、三豊市豊中地域の幹線県道である県道本山停車場線の道路改良工事の要望書を、三豊市建設経済部建設課に提出しました。市を経由して県へ早期の事業化を要望するものです。

この路線は、国道11号線と県道観音寺高瀬線を結ぶもので、豊中町中心街を貫いており、四半世紀以上も前から「道幅を広げて欲しい」と願う意見が多くありました。さらに、数年前に松下電子工業跡地に大型商業施設ゆめタウンを誘致したことを契機に、大型スーパーやディスカウントストア等の出店が相次ぎ、近年交通量が急激に増えていました。

今回提出した要望区間以外の区間については、すでに昨年地元からの要望書が提出されており、これにより、県道本山停車場線全線の改良計画検討のスタートラインに立つことができたものと思います。家屋が密集しており相当な時間と費用が必要と思われますが、沿線住民の皆さんの同意書を添付しての要望書提出ですので、何年かかろうが必ず実現していかなくてはならないと考えています。

匿名の市民の方から、3年余前 『高瀬局 23 1.25』の消印の投書をいただいていました。そこには、県道本山停車場線と本山橋の拡幅の ‟お願いと応援” の文字がしたためられていました。決して忘れてはいません。着実に一つ一つ実現していきます。

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平成26年度議会閉会中の総務教育常任委員会(第1回)

3月議会閉会後最初の閉会中の総務教育常任委員会が、ゴールデンウイークを目前にした4月28日(月)に開催されました。今委員会では所管の3部局から主な事業について報告が行われました。

【教育委員会】

1.〔学校再編整備の状況について〕 平成28年4月1日開校を目指し小学校の統廃合計画が進められている、山本と財田の2地区における新設小学校建設の現況報告がされた。いづれも「地域協議会」の総務部会、通学部会、PTA部会、式典部会において、校章・校歌・制服・通学路等の決定及び検討が進められている。2地区とも基本設計段階で資材や人件費等の値上がりによる予算増がやむを得ない状況となっている。そのような事情もあり、いまだにこの委員会に基本設計書が提示されていないが、実施設計手配に向け調整中である。なお、山本地区は用地取得の目途がたったため、今後臨時議会で不動産の取得の議案提案をしたい。財田地区は施設配置が流動的であり、方向性が定まっていない状況にあり、早急に基本設計を確定するべく協議中だ。

2.〔新給食センターについて〕 北部と南部の2か所建設を計画していたが、北部は既存給食施設の設備内容を再調査しているところで、しばらくの間計画を延期する。南部は太陽光発電システム20kwを計画に加え、予定通り平成28年度稼働に向け進める。

3.〔 『近代の三豊』 発刊について〕 『古代の三豊』『中世の三豊』『近世の三豊』に続き、江戸時代から昭和にかけての『近代の三豊』が発刊した。

【政策部】

1.〔三豊市産業振興基本計画について〕 平成25年に制定された『三豊市産業振興基本条例』を基に、平成26年~平成30年の5か年の産業振興を方向付ける。本年度『アクションプラン』の策定を行う。

2.〔箱浦小学校跡地利用について〕 現在ある事業者から具体的利用計画の提案があり協議中であり、大切な時期となっている。次回のこの委員会での報告とする。

3.〔その他〕 国土交通省が募集していた「都市再興のための公的不動産活用検討委託調査」に対し、三豊市が応募していた『官民連携手法による本庁舎周辺等のエリアマネジメント』の提案が選定された。(788万円)

【総務部】

1.〔職員駐車場について〕 三観広域北消防庁舎建設にともない、職員駐車場を別途確保しなければならず、新たに借地料等の費用負担増となるため、これまで無料であった職員駐車場を有料にする方向で検討中である。

2.〔設計・契約変更指導基準について〕 建設工事における契約変更に対し、基本事項を明確にし設計・契約変更の円滑化、適正化を図る。

3.〔コミュニティバス運行事業について〕 13路線14業務について運行事業者が決定した。これまで単年度契約であったところを3年契約とする。ただし、新規参入の2事業者については単年度とし、業務状況を観察し複数契約の判断をする。

4.〔詫間交番の移転及び跡地計画について〕 市有地にあった詫間交番が移転することで、旧港湾総合施設及び旧詫間町老人福祉センターを含む2,067㎡を売却予定。

5.〔その他〕 高槻市と災害応援協定の締結に向け調整中である。(三豊市は、洞爺湖町・美波町・三好市と協定済)

 

今後とも、総務教育常任委員会での協議や報告事項をお知らせしていきます。

会派視察研修(イノシシの活用)

三豊市議会会派 啓明会 の視察研修を、4月25日(金)に6名の参加で実施しました。視察研修先は、愛媛県今治市大三島の「シシ活場しまなみイノシシ活用隊」と、西予市市役所及び 獣肉処理加工施設「ししの里せいよ」 です。視察の目的は、全国的にも大きな問題となっていて三豊市も同様の、有害鳥獣対策の取り組みの具体事例について学ぶことでした。

1か所目に訪問した「シシ活場しまなみイノシシ活用隊」は、大三島の柑橘生産・販売を営む渡邊秀典さんを中心とした15名程のメンバーによって活動しています。島内に生息するイノシシを解体・処理・加工・販売する地元住民のグループで、一切行政からの支援は受けていない(愛媛県の公募の支援事業は利用)民間事業者です。

食肉処理業の営業許可を取得し、3年ほど前から現状のような事業体制で取り組んでいます。解体処理等の作業所は、旧大三島町学校給食センター跡の施設を、今治市から月1万円で賃貸しており、冷蔵庫や作業台など旧式ですが既存設備を利用しています。可能な限り経費が掛からないように、自分たちで考えて工夫しています。

持ち込まれるイノシシは年間80~100頭で、買い取り価格は季節を問わず1頭(約50キロ)10,000円としています(補助金は別途)。大三島で一年間に捕獲される数は800頭ほどで、1割程度が持ち込まれていることとなります。

販売は、良質なものは渡邊さんがジビエ料理関係者のネットワークで知り合った都会のレストラン等へ冷蔵・冷凍で配送しています。また質の落ちるものは、ウインナーや空揚げ用として加工販売しています。売価は、季節や肉質の良しあしで2,400~4,000円/㎏の単価となります。

「始まったばかりでこれからだ」と渡邊さんは控えめに語っていましたが、「シシ活場しまなみイノシシ活用隊」は、渡邊さんたちの大三島のみかんを守り、ここにあるものは何でも活かしてやろうという、確かな郷土愛で生まれたのです。やっぱり行動する ‟人” が、ここにもいたのでした。

次に訪問した「ししの里せいよ」は、大三島とは対照的な施設でした。農作物に対する野生鳥獣による被害が3千万円/年であることから、西予市が平成22年に2,960万円余を投じて建設した、公共の獣肉処理加工施設です。運営・管理は(株)エフ・ビー・シーへ指定管理委託し、イノシシやニホンジカを解体処理して精肉加工するとともに、猪肉コロッケ等の加工品販売を行っています。

西予市のイノシシ捕獲は、平成23年に設立された『西予市有害鳥獣捕獲隊』(278名)が行っており、駆除期間(4/1~10/31)に1,445頭で、狩猟期間(11/15~3/15)と合わせると約1,800頭になります。「ししの里せいよ」での受け入れは、年間80頭ほどですが、その内ウリボウが6割おり、約50㎏まで育ててる一時飼育を行っています。

買上げ費は駆除期間が200円/㎏、狩猟期間が400円/㎏としています(補助金は別途)。売価は4,000~5,000円/㎏ほどで、市内の物産施設やインターネット等で販売しています。現在、【里のあばれん坊】の名で西予市のビジエブランドと位置づけて販売促進を図っています。

品質勝負であり、一度でも悪い商品を出すことでイノシシ肉の評価が落ちることが最も怖いことです。「イノシシ肉は美味いんですよ!」「事業としてやっていけますよ!」と品質と販売について熱く語ってくれた責任者の舟本さんがいてこそ、「ししの里せいよ」があるのです。やっぱり熱い ‟人” がここにもいたのでした。

 

刺激ある、内容の濃い日帰り研修でした。