自治体病院の経営改革先進事例視察研修・2

三豊総合病院企業団の役員及び議員の視察研修の2件目は、熊本県上天草市の 『市立上天草総合病院』 です。
研修の目的は、典型的な過疎地の地方市でありながら、医師や看護師などの確保が順調であるのは、なぜなのかを知ることです。
天草5橋で有名な天草諸島にあり、平成16年の町村合併で上天草市立総合病院となって、上天草市民32,000人はじめ天草上島地域住民の医療を担う中核病院となっています。
施設概要については、次のようになっています。
① 病院施設
   病床   195床
   診療科  22科 (特に、小児科・産婦人科の設置は、安心して出産し育てられる地域のために死守している)
② 看護学校施設
③ 健康管理センター
④ 訪問看護ステーション
⑤ 介護老人保健施設
⑥ 在宅介護支援センター
⑦ 居宅介護支援センター
⑧ 一つの診療所 
です。
これらを支える職員の状況は、次のようになっています。
医師 22名、看護師 107名、医療技術員 32名の他、看護学校職員、老人介護関係職員など、全職員330名ほどで33億円に近い収益を上げており、職員給与費比率は66%となっています。
病院長の樋口先生は、平成3年の新病院オープンや診療報酬改定で、年間3~40,000千円の赤字続きであった病院を、平成19年4月の地方公営企業法全部適用をきっかけとして、黒字転換に向け経営再建に取り組んできました。
借金 22億円、不良債権 3憶20,000千円が重くのしかかっていました。
特に、不良債権を5年間で黒字にする計画を立て、毎年60,000千円を捻出するために、職員のボーナス2割カットのお願いもし、計画初年度から黒字経営に転換しています。
経営改善への取り組みのポイントは、 “職員の協力” と “地域との関係づくり” でした。
職員組合との協議に置いても、職員は病院そのものが無くなれば自分たちの職場が無くなることを、理解してくれたのです。
地域との関係づくりの一つは、地域ボランティアを通して病院のことをもっと知って欲しいとの考えから始まりました。
地域ボランティアの皆さんにとっても、自分たちの健康と命を守ってくれる病院を応援したいとの思いで、活動が活発に行われています。
地域との関係づくりのもう一つは、出前講座や清掃活動への参加、温水プールの一般市民への開放などによる、地域活動への積極的参加です。
このような色んな取り組みによって、経営状態は改善されてゆきました。
過疎地の病院における医師確保と経営改善への取り組みは、医師確保できなければ赤字に転落するという、当たり前の因果関係にたいする挑戦でした。
過疎地の病院を取り巻く現状は、
・慢性的な医師不足
・人口の減少(年間約500人減少)
・高齢化
・病院の立地条件の悪さ
・衣食住の環境整備不足
などが上げられます。
これらの厳しい現実にあって、少しでも改善してゆく一つの方法が、インターネットによる医師募集でした。
従来の事務的な掲載ではなく、上天草の自然や日々の暮らしの豊かさやすばらしさ、アフター5の楽しさを全面に出した画面構成にしました。
また、地域医療連携通信の発行や、市広報紙に病院情報ページを開設しました。
その結果、平成17年~平成20年の間に、ホームページを見て就職した医師が5名となりました。
その中には、産婦人科1名、小児科1名がいます。
就職まで至らなかった医師も2名いますが、その理由は家族の反対によるもので、原因は生活の不便さや子どもの教育環境への不安でした。
過疎地の病院における医師確保は、多くの医師に “定着” してもらうためにも、自治体との協力の下に衣食住の環境整備と、都市部との交通手段の整備が必要なのです。
地域医療をまもるために必要なことは、病院だけではどうしようもないことに気づくことです。
住民参加型の経営で、地域をまもり活性化することができるのです。
地方衰退で、病院まで地域から無くなってしまえば、地方はますます衰退して “まち” そのものが無くなってしまうという、強烈な危機感が後押ししています。
天草地方の豊かな自然の中で、樋口先生が語る熱い言葉の数々から、 「地域医療が医療なのだ」 と感じたのでした。
今回訪問した二つの病院は、いずれも、その地域に相応しい役割をしっかりと担っていることを確認できた、とてもすばらしい研修でした。

自治体病院の経営改革先進事例視察研修・1

今年度から、地方公営企業法の全部適用となり、新たな経営体制となった三豊総合病院企業団の役員及び議員による視察研修が実施されました。
平成22年11月4日(木)から6日(土)の3日間の日程で、福岡県八女市の 『公立八女総合病院』 と、熊本県上天草市の 『市立上天草総合病院』 を訪問しました。
今回の視察研修の目的は、自立する自治体病院の先進事例を目の当たりにするためです。
先ず訪問したのは、福岡県最南部に位置する八女・筑後保健医療圏域の14万人ほどの医療の中核を成す、公立八女総合病院企業団の経営する、 『公立八女総合病院』 です。
2006年4月より、地方公営企業法の全部適用によって企業団を組織しました。
現在、29診療科、330床の病床と、介護老人保健施設90床の事業を展開しています。
医師 約60名、看護師 約350名など、全職員約600名で80億円を超える収益を上げています。
収益対費用構成比率は、給与費は44%前後で、材料費は33%ほどとなっていて、30%前後を目指しています。
『公立八女総合病院』 の経営改革は、2000年の国の行った第4次医療制度改革によって直面した、自治体病院のデフレスパイラルからの脱却を余儀なくされた、平成18年の “全適” から始まります。
その時までのデフレスパイラルは、次のような連鎖で深刻化してゆきました。
1.医師の偏在による医師不足・診療報酬のマイナス改正
2.経営悪化
3.処遇悪化(正当に評価することができない)・・・モチベーションの低下
4.医師の退職・・・残った医師の負担・・・退職の連鎖
5.更なる経営悪化・・・医療機器の購入が困難
6.病院機能と医療の質の低下・・・安心して仕事に専念できない上、勉強ができない・・・モチベーションの低下
7.退職者の増加
8.更なる経営の悪化
9.患者からも職員からも選ばれない病院
10.自治体病院としての役割は果たせなくなる
このような分析の結果、医師をはじめ職員のモチベーションの向上が病院再生の要諦だと決め、 “全適” と同時に給与制度改革を行い、 「職員からも選ばれる」 ための経営展開を目指すこととしました。
職員にとって魅力ある病院とは? を考え、突き詰めてゆく作業の中で、 「安定した健全経営」 や 「高度で良質な医療の提供」 が基本にあって、結果として “患者様から選ばれる病院” となることに気づいたのです。
それは、経営展開と一体化した取り組みが重要だということです。
給与制度改革の基本は、人事制度でした。
1.年功序列の給与体系を廃止する。
2.各職位・責任に応じた人事制度とする
3.能力を果たせない職員は降格・降職を行う。
その上で、職員のモチベーションを発揮させる給与制度改革で、次の3つを行いました。
【賃金制度】 医師及び幹部職員は年棒制とする。
        一般職員は能力給・職務給制とする。
【賞与精度】 固定の期末手当に加え、経営とリンクした業績手当(決算賞与)制を導入。
【退職金制度】 56歳の早期退職制度を恒常化。
これらのことで、医師の中にも仕事を早く済ませようとする動きが生まれ、業務の効率化とともに時間外検査の減少で、看護師からも喜ばれています。
医師の職務手当は、1~19の職務手当となっていて、その評価を過去4年間の医師1人当たりの医業収益額を基本に診療科ごとに年間目標収益額を設定し、4半期ごとにその達成度に応じて評価決定することとして、大幅な年俸上昇も可能な制度としています。
給与制度改革の他に、 “職員からも選ばれる” 病院づくりの一環として、子育てしながら働く職員のために、通常の保育所と病児・病後児保育所も併設した幼稚園を確保しています。
そこでは、病院と子どもたちとのふれあいや対話の機会を設け、安心して仕事ができる関係に取り組んでいます。
医師確保の手法の一つとして、ホームページによる短時間勤務の女性医師募集を行っています。
「子育て中のママサン医師を応援します」 として、
出産・育児などによるブランクや時間的制約など、ライフスタイルに合った職場環境の提案の努力を重ねています。
職員のモチベーション発揮での経営再生は、医療とは “人である” ことを示しています。
地域にあてにされ、無くてはならない自治体病院は、経営者と職員の 「やる気」 をどのように具現化できるのかに尽きるのだと知った、経営に対する気迫を感じた研修でした。
 

ごみ処理問題調査特別委員会

本年度、三豊市議会に設置された3つの特別委員会の一つが、ごみ処理問題調査特別委員会です。
この委員会の目的は、6月30日付けのこの場でお知らせした通りで、三豊市のごみ処理施設の方式、規模、場所の他、建設と運営の形態の方向を示すことです。
11月2日(火)に開会された当委員会では、10月4~6日の3日間行われた視察研修や各方面の研修結果をふまえて会議が進められました。
主な内容は、
1.三豊市のごみ処理に対する民間活力の情勢
①固形燃料化
市内で営業する民間企業が、現在、事業系一般廃棄物を三観クリーンセンターで焼却処理するために持ち込んでいる。
平成25年のセンター閉鎖後の処理方法として、固形燃料製造設備の導入を検討している。
②堆肥化
市内で営業する民間企業が、竹粉砕チップ、魚のアラ、野菜くずを土着の微生物で分解し、堆肥を製造しようとしている。
この堆肥に、固形燃料製造会社の生ごみ・食品廃棄物を加える検討を行っている。
2.バイオマスタウン構想にかなう3つの処理方式
①堆肥化
農業と連携して、農業振興を図ることの可能性はあるが、堆肥の全量処分は未知数である。
②固形燃料化
・RDF
民間企業の独自の取り組みはない。
現在、大手メーカーから公設民営での提案を受けているが、多額の事業費と安定した販売先の確保が困難だ。
・RPF
市内で営業する民間企業が、独自の施設整備を計画し11月中に実証実権が予定されている。
販売ルートは、RDFよりは確保されている。
RPF製造会社の生ごみ・食品廃棄物と竹資源の連携で、堆肥化の可能性がある。
③バイオガス化
現状行っている18分別の精度をさらに向上し、生ごみ100%近くに分別する必要がある。
処理水の塩分処理や、発生したガスは専用発電機にしか使用できない問題がある。
生ごみ処理はできても、前処理に発生する可燃残さは、焼却処分するより他にない。
3.民間企業からの要請
①市内で営業する民間企業から、民設民営によって 「バイオトンネル」 を整備する計画の提案があり、国のバイオマスタウン関係補助金の対応の要請が来ている。
総事業費 約14億円 (民間の場合、事業費の1/3補助)
②竹資源化事業との関連
竹粉砕チップ、魚のアラ、野菜くず、発酵残さ、微生物による堆肥化の共同研究を予定している。
バイオマスタウン構想の中でごみ処理施設問題を考える事とし、バイオマスタウン推進室の設置を決定した段階で、すでに、 『ごみ処理』 『バイオマス利活用』 『地域振興』 は、一体事業計画とすることは、必然なのだと思われます。

平成21年度決算 財政健全化判断比率

「地方公共団体の財政の健全化に関する法律」(財政健全化法)が平成19年6月に制定され、地方自治体の平成20年度決算から、財政状況を示す4の指標 【①実質赤字比率】 【②連結実質赤字比率】 【③実質公債費比率】 【④将来負担比率】 と公営企業会計の 【資金不足比率】 の公表が義務づけられています。
(2008年09月30日付けのこの場に、詳細説明を書き込んでいます。参考にしてください。)
前回お知らせした、平成21年度決算の収支状況と合わせて、今回は 財政健全化判断比率 から見た三豊市の財政状況をお伝えします。
【①実質赤字比率】
早期健全化基準 12.49% に対し、 「実質赤字なし」 となっています。平成20年度も同様でした。
【②連結実質赤字比率】
早期健全化基準 17.49% に対し、 「実質赤字なし」 となっています。平成20年度も同様でした。
【③実質公債費比率】
早期健全化基準 25.0% に対し、11.1%となっており、平成20年度が12.6%であったことから1.5ポイント改善されていて、一層の健全化状態を保っています。
【④将来負担比率】
早期健全化基準 350.0%に対し、41.9%となっており、平成20年度が54.8%であったことから12.9ポイント改善されていて、より一層の健全化状態を保っています。
最後に、5の特別会計に適用される 【資金不足比率】 は次のようになっています。
公営企業会計の
・水道事業会計
・病院事業会計
公営企業会計非適用の
・集落排水事業特別会計
・浄化槽整備推進事業特別会計
・港湾整備事業特別会計
以上の5会計いずれも 「資金不足なし」 となっています。

平成21年度決算特別委員会

三豊市議会の平成21年度決算審査が、10月25・26・27日と11月8日の4日間の日程で、決算特別委員会で行われています。
一般会計歳入歳出決算認定はじめ、11の特別委員会と2の地方公営企業会計の、14議案について説明と確認が行われています。
すべての会計の収支状況は、次の通りです。
【一般会計】
歳入総額は312憶2390万円余で、歳出総額は298憶1821万円余となっています。
歳入歳出差し引き14憶568万円程となっていますが、実質収支は繰り越し財源5憶5300万円余を差し引き、8憶5260万円余となります。
【地域農産物利用促進センター事業特別会計】
歳入総額及び歳出総額は、ともに4120万円余となっています。
【商品券事業特別会計】
歳入総額2憶216万円余で、歳出総額1憶9602万円余となっており、実質収支613万円余となっていいます。
【国民健康保険事業特別会計】
歳入総額79憶2492万円余で、歳出総額75憶7278万円弱となっており、実質収支3憶5214万円余となっています。
【国民健康保険診療所事業特別会計】
歳入総額1憶7747万円余で、歳出総額1憶6717万円弱となっており、実質収支1031万円弱となっています。
【老人保健事業特別会計】
歳入総額2055万円余で、歳出総額1342万円余となっており、実質収支713万円弱となっています。
【後期高齢者医療事業特別会計】
歳入総額17憶1671万円弱で、歳出総額17憶1450万円弱となっており、実質収支221万円弱となっています。
【介護保険事業特別会計】
歳入総額61憶6266万円弱で、歳出総額59憶469万円弱となっており、実質収支2憶5797万円弱となっています。
【介護サービス事業特別会計】
歳入総額8732万円余で、歳出総額8364万円余となっており、実質収支368万円余となっています。
【集落排水事業特別会計】
歳入総額及び歳出総額は、ともに1憶8204万円弱となっています。
【浄化槽整備推進事業特別会計】
歳入総額及び歳出総額は、ともに2憶1193万円弱となっています。
【港湾整備事業特別会計】
歳入総額3466万円弱で、歳出総額3170万円弱となっており、実質収支296万円余となっています。
一般会計と特別会計の総計は、歳入が479憶8556万円余で、歳出が459憶3733万円余となっています。
歳入歳出差し引き20憶4822万円程となっていますが、実質収支は繰り越し財源5憶5308万円余を差し引き、14憶9514万円弱となります。
【水道事業会計】
総収益18憶7615万円弱で、総費用16憶2178万円弱となっており、純利益2憶5437万円弱となっていなす。
【病院事業会計】
総収益17憶7442万円弱で、総費用16憶6344万円余となっており、純利益3憶6535万円弱となっています。
最終日の11月8日(月)には、3日間の説明に対して質疑・討論がされ、議決の運びとなります。
三豊市民クラブとして、来年度(平成23年度)予算に反映できる質疑・討論を抽出したいと考えています。

『そば』 の花が咲いています

今年の夏の狂ったような暑さから思えば、よその国へ来たのかと錯覚するほどに、めっきり過ごしやすくなってきましたが、秋祭りが終わり11月を目の前にしても、日中はまだまだ汗ばむ日々が続いています。
今年も 「三豊菜の花プロジェクト」 で菜種を蒔こうと、準備に取りかかっています。
昨年に比べると一週間ほど遅い、10月30日と31日に予定しています。
これも、いつまでも暖かい気候が続くことで、私たち人間も少しずつ作業の時期がずれてゆくように感じています。(暑いと、仕事をしたくないと体が言っています)
今年、初めての試みで、6月に菜種を刈り取った跡地の一部(2a程)に、 『そば』 の種を蒔きました。
この地域では 『そば』 の種まきの適期は、8月末~9月上旬ごろだと言われていますが、時期遅れの9月25日に種まきをしたのです。(暑いと、仕事をしたくないと体が言っていました)
場所が交通量の多い交差点近くであることが災いして、通りがかりの地域の皆さんの目に付くのです。
通りがかりの人 「何まっきょうんな?」
私 「『そば』ですわ!」
通りがかりの人 「それやったら、夏まかないかんのとちがうんな?」 「今蒔いて実とれるんな?」
私 「さ~?????」
別の通りがかりの人 「そんなの、できへんで!!」
と、熱烈な励ましの言葉をいただいておりました。
なんと、一週間ほど前から白い花のつぼみが、ちらほらしてきたではありませんか。
栽培の手引きによれば、『そば』 は24~26℃が発芽適温で、開花の期間は次々と咲くために20~30日もかかり、遅くとも初霜がおりるまでに花が満開となるように種まきをしなければならないのだそうです。
狂ったような暑さと、長く暖かい秋のおかげで、通りがかりの地域の皆さんの期待を裏切って、今日などはますます真っ白な花を咲かせています。
農林水産省四国農政局からも、この地域での収穫量の調査目的で、坪狩りの依頼がありました。
来月の11月20日頃に、発育状況を確認の上作業したいとのことです。
『そば』 収穫の後は、近所のお宅から古い石臼をお借りして、そば粉にしようと考えています。
そして、“通りがかりの人” として熱烈な励ましをいただいた地域の皆さんと一緒に、手打ちそばを食べようと、収穫もしていないのに気持ちは年の瀬へと飛んでいます。

そばの花詫間政司のそば畑

  

平成23年度当初予算編成方針

三豊市政策部から、平成23年度の 「三豊市予算編成方針」 が出されました。
「“豊かさ” をみんなで育む 市民力都市・三豊」 を目指して、次年度の予算が組まれようとしています。
重点施策は、『三豊市新総合計画』 の6の基本目標に対応するものの内、第三期実施計画に各部の運営方針で示されたものの実現に向けて予算化することとし、その使用可能予算額については政策部長が通知することとしています。
確認のために、『三豊市新総合計画』 の基本目標を記しておきます。
① 活気にあふれ、産業が飛躍するまちづくり
② 豊かな自然と共生し、環境にやさしいまちづくり
③ 人々が助け合う、安全・安心なまちづくり
④ 人々が支えあい、健康でいきいき暮らせるまちづくり
⑤ 豊かな心を育み、文化を発信するまちづくり
⑥ ともに考え行動する、自らが創るまちづくり
基本方針は、11項目となっています。
1. 平成23年度予算編成は、『三豊市新総合計画』 に沿い、新総合計画第三期実施計画(平成23~平成25年度)に沿う予算編成とする。
2. 予算規模は新総合計画第三期実施計画で示された額を基本数値として、プライマリーバランスの黒字を絶対条件として効果的な予算編成とする。
3. 歳入に見合う持続可能な財政基盤の確立に向け、行財政改革に取り組み、財政体質の健全化に努める。
4. 行政評価を取り入れ、事務事業の見直しを行うこと。
5. 経常経費(議員及び委員会報酬・特別職・一般職給、賃金、負担員、扶助費などは除く)は、平成22年度当初予算一般財源の95%を各部課に配分する。ただし、各部課は自主的に事務の効率化や経費の削減に取り組むこと。また、事務費や庁舎費は、配分にかかわらず徹底削減に努めること。
6. 歳入につい
 ① 予算要求書作成は、過大見積もりを避け積算を正確にし、適正な財源を経常すること。
 ② 市税は、経済情勢を勘案して、確実な見込み額を計上すること。また、税負担の公平のため課税対象もれの無いようにすること。
 ③ 分担金及び負担金は、適正な負担の確保を図る。
 ④ 使用料及び手数料は、経費に見合う額となるよう、値上げを含め料金収入の確保を図る。
 ⑤ 国及び県支出金は、国・県の動向を把握し見積もるとともに、超過負担とならないように注意する。
 ⑥ 財産収入は、財産の現況を把握し、効率的な活用と周到な処分計画を立てること。
 ⑦ 市債は、将来の財政負担を考慮して、事業選択をすること。
7. 歳出について
 ① 予算要求書の作成に当たっては、過大見積もりを避けること。また、必要性、緊急性、効果の薄い計上はしないこと。
 ② 人件費、扶助費、公債費の義務的経費や臨時職員賃金、時間外手当については、現状及び財政改革プランに基づき積算すること。なお、臨時職員の雇用については、人事課及び教育委員会との協議において、予算を計上すること。
 ③ 扶助費、貸付金については、枠配分対象外経費としているが、各部門で事業ごとに積算し計上すること。なお、扶助費のうち市単独事業については、5%削減を目標に事業の内容変更、廃止などの見直しを図ること。
 ④ 投資・政策的経費は、『三豊市新総合計画』 第三期実施計画に計上されている事を絶対条件として、優先順位を明確にすること。
8. 特別会計
経常経費の5%削減に取り組むとともに、適正な受益者負担の確保によって、収支の均衡と運営健全化に取り組むこと。
9. 企業会計
経常経費の5%削減に取り組むとともに、企業性を発揮し、独立採算の確保に努めること。
10.「行財政改革推進プラン」 を確認し、必ず予算編成に反映すること。また、補助金等適正化法22条の運用で、現有施設の有効な利活用について、民間委託や譲渡を含めて積極的に取り組むこと。
11.補正予算は、補助事業及び突発的災害等(市長が認めたもの)とし、その他は、予算の組み替えによる対応とする。
約束に基づいて全ては決定されます。
一つ一つの項目は、当たり前のことを記しているように見えますが、わずか2ページの中にはお金の使い方についての深い深い取り決めが内包されているのです。
予算決定には、私たち議員にも確固たる軸足が求められているのです。 
 

ごみ収集体制見直しの延期

10月8日(金)に開かれた議会閉会中の 「民生常任委員会」 で、次のような提案がされました。
9月15日(水)の三豊市議会9月定例会開会中の、「民生常任委員会」 で報告があった、 “ごみ収集体制が不統一であるため、合併協議会協定事項に添って、来年度(平成23年度)より旧各町を単位として、全市域で民間委託に統一する” 件について、来年度からの実施の方針を、一旦延期したいというものでした。
9月20日(月)のこの場でもお知らせしたように、旧7町の内現状、高瀬町・豊中町・仁尾町の3町は旧町通り直営でごみ収集業務を行っています。
これを他の4町と同様に、その業務を民間に委託し、市内全域のごみ収集体制を統一しようとする報告でした。
しかし、その実施を、ごみ処理施設建設の方向性がほぼ決定されるまで、一旦延期したいということです。
その理由として、
一つは、前の委員会からこの間、バイオマスタウン推進室の設置による担当部課の人員減となったこと。
二つは、ごみ処理施設建設検討の真っ直中にあって、これまで市民の協力で積み上げてきた分別収集作業が変更となることによる、現場の混乱のリスクを少しでも回避したいとのこと。
三つは、一部地域の民間業者間の軋轢がことのほか重大な問題となりうる可能性があるということ。
等によって、検討及び調整には十分な時間が要するとの判断です。
市内全域の制度統一には、今回のごみ収集業務だけではなくあらゆる案件に共通する、地域間と地域内にある問題解決には、理屈では推し量りきれない要因があり、一定の時間が必要であることを感じた一件でした。

「ごみ処理問題調査特別委員会」視察研修・4

「ごみ処理問題調査特別委委員会」視察研修の最終日の3日目は、前日視察した発電所施設である 『石川北部RDFセンター』 の燃料となる、RDF(生ごみを含む可燃ごみの固形燃料)の製造施設 『リサイクルセンター(クリンクルはくい)』 を訪問しました。
この施設は、前回報告した石川県北部の能登地域にある5の事務組合の一つである 『羽咋郡市広域圏事務組合』 が、総事業費60憶41,000千円を投じて建設し、平成15年から稼働運営しています。
二つの設備から構成されています。
1) ごみ燃料化施設(サーマル・リサイクル) RDF製造設備
  ・能力 66t/16時 (33t/16時) *1日当たりRDF重量にして33tの製造能力
  ・可燃ごみ処理量 約14,000t/年
  ・建設費 31憶50,000千円
  ・維持管理委託費 15年間長期契約で91億円 (年間約6億円で、トン当たり30,000円換算)
   *『石川北部リサイクルセンター』 への処理費として、トン当たり13,000円が別途負担
2) ごみ資源化施設(マテリアル・リサイクル) 資源・不燃・粗大ごみ
  ・能力 「不燃・粗大処理ライン」 11t/5時
       「缶類ライン」        2.33t/5時
       「PETボトルライン」     0.63t/5時
       「その他プラライン」     3.42t/5時
       「びん類ライン」        3.62t/5時
       「水銀使用物」        0.14t/5時
   
       合計            21.14t/5時
  ・総処理量 3,800t/年
  ・建設費 18憶40,000千円
  ・維持管理費 トン当たり32,000円
となっています。
羽咋市他2町の広域事業として、人口63,000人の20,000世帯、面積440Km2のごみの燃料化及び資源化の役割を担っています。
三豊市と類似した環境の中で検討され建設されたこの施設を見たことで、我がまちとの比較検討がより具体的に捉えることができます。
また、何よりも、建設費の財源や経営母体をどこに軸足を置くのかは、運営費負担を考えるとき、最重要課題だと確認できました。
今回の 「ごみ処理問題調査特別委員会」視察研修で、強く印象に残った点が二つあります。
一つは、それぞれの地域特性(自然環境・面積・人口世帯など)に相応しい、処理技術と規模や場所の独自の検討が欠かせないと言うことです。
もう一つは、経営が官と民のちがいによって、建設費や維持管理費など、経営全体の収支に驚くほど差が発生するとを目の当たりにできたと言うことです。
これらを参考にして、三豊市に最適なごみ処理施設とは何なのか?
コストを可能な限り削減し、その限られた資金投入が地域経済活性に最大限寄与するとともに、地域のごみに対する処理の仕組みと、意識向上につながる施設とは何か?
を、考えるきっかけとなった有意義な研修でした。
                         

「ごみ処理問題調査特別委員会」視察研修・3

「ごみ処理問題調査特別委員会」視察研修の2日目の報告を、前回に引き続いて行います。
上越市を後にして、一路石川県の能登にある 『石川県RDFセンター』 へ向かいました。
この施設は、 『石川北部アール・ディ・エフ広域処理組合』 が事業主体となっており、石川県の北部地域の人口約30万人、面積2,100Km2余の広域から収集された可燃ごみから製造されるRDFを、燃料とする発電所施設です。
『石川県北部アール・ディ・エフ広域処理組合』 の構成組織は、能登地域の5組合からなっており、それぞれにRDF製造施設を持っています。
・河北郡市広域事務組合 (河北郡市クリーンセンター)
・羽咋郡市広域圏事務組合 (リサイクルセンター)
・七尾鹿島広域圏事務組合 (ななかリサイクルセンター)
・奥能登クリーン組合 (奥能登クリーンセンター)
・輪島市穴水町環境衛生施設組合 (H23年度より搬入予定で建設中)
このようになっています。
生ごみを含む可燃ごみを、体積1/3、重量1/2に減量化して運搬搬入されています。
ここに搬入されたRDFは、焼却能力 160t/日(80t/日×2炉)の流動床式ガス化溶融方式で燃焼され蒸気タービンで電気に変換され、1/3は施設内で使用し、2/3は北陸電力へ売電されています。
組合会計予算概要は、年間予算13億円余りの内、売電収入は1憶80,000千円円ほどで、ほとんどは5組合からの分担金及び負担金11億円でまかなわれています。
RDF専用の焼却炉建設は、石川県の主導で進められ、完成後に広域処理組合に引き渡されました。
石川県のごみ処理計画に基づいて推進された事業とはいえ、建設費75憶60,000千円、運転維持管理補修更新業務委託費は、15年間の長期責任委託契約として81億34,000千円で、年間にして5憶40,000千円以上となっていて、今となっては、過重な財政負担となっており、計画そのものに疑問を感じます。
その地域の自然環境や面積、人口変化などに相応しい処理方法と規模決定には、独自の洞察にも似た見極めが求められると痛感した研修でした。
次回は、3日目に訪問したRDF製造施設の一つである、羽咋郡市広域圏事務組合の設置する 『リサイクルセンター』 の報告をします。