総務常任委員会 行政視察研修報告(平成30年)・3

3件目の報告は、山口県周南市の「周南市の公共施設再配置について」の研修です。

 

周南市は、平成15年に徳山市、新南陽市、熊毛町、鹿野町の2市2町合併により誕生した。山口県の東南部に位置し、人口145,000人程、面積656.29㎢で、北は中国山地から南は瀬戸内海を臨んでいる。北部にかけ丘陵地が広がる農山村地帯であり、海岸線に沿って古くから大規模コンビナートがあり、国内有数の大企業の工業地帯として発展してきた。

合併により、公共施設が1,114、施設総面積849.016㎡を有することとなった。これらの中には老朽化したり設置目的が類似しているものが含まれていた。そこで、平成24年に「(仮称)周南市公共施設再配置計画(案)」を公表した。パブリックコメントを実施したところ、大半が反対意見であった。個別施設の検証結果の一覧表に、多くの市民の批判が集中していた。

原因は、●市民や議会への説明不足ー地域説明会の未実施 ●総論を浸透させる前に飛び越えて各論へ言及 ●地域への配慮不足(特に周辺地域の切り捨てと捉える市民が多かった) と考えられた。その結果、再配置計画(案)の取り下げを決定することとなった。

あらためて市民意見を反映するための策定方法として、平成25年に職員の手による「周南市公共施設白書」を作成した。総ページ489ページ、対象施設16分類、1,135施設(公園、墓地等を含む)。続いて、平成26年「周南市公共施設再配置の基本方針」を策定。平成27年に「再配置計画」の策定。現在、平成28年にこれまで担当してきた行政改革推進室から、組織改編した施設マネージメント課が引き継いでいる。

再配置にあたっての「基本方針」は、  <公共施設の保有の在り方>として ⑴市民ニーズの変化に対するサービスの提供⇒(サービスの最適化) ⑵効果的で効率的な施設の管理運営⇒(コストの最適化) ⑶次の世代に継承可能な施設保有⇒(量の最適化) ⑷安全に、安心して使用できる施設整備⇒(性能の最適化)。 また、  <地域の拠点となる施設への取り組み>は、市民生活に密着した総合支所や支所、公民館の機能やサービスは今後も維持していくことを基本とした。

「再配置計画」策定にあたっての取り組み方針は大きく2つある。 〇住民や議会との情報共有と市民参加→分かりやすくお知らせし、特に「地域別計画」は計画段階から住民と行政が一緒になってつくりあげていく。 〇統合整備等の推進→施設の複合化や多目的化を検討するとともに、廃止が決定して活用が決定されないものは、取り壊しを原則とする。また、未利用・低利用のものは貸し付けや売却を行う。

「再配置計画」を進めるにあたって、『4つのアクションプラン』を策定した。 1.「施設分類計画」施設分野ごとに施設の今後の取り扱いや方向性、整備等の優先度などを示す計画。 2.「地域別計画」分類別計画から、市として最優先に取り組むべき施設と、それが立地する地域を特定。そのうえで、いい気住民と行政が意見を交わし、今後のまちづくりも踏まえて取り組み方策を検討する。モデル事業を取り入れる。 3.「長期修繕計画」ハコモノ公共施設について、維持・補修を行い、その寿命を延ばすために策定。 4.「長寿命化計画」道路や橋、上下水道等のインフラ施設を対象に、その寿命を延ばすために策定。

「再配置計画」の周知に、マンガを活用した。平成26年な第1弾として『マンガでわかる!周南市公共施設白書』を、平成27年に第2弾として『続・マンガでわかる!周南市公共施設再配置計画』を、平成29年に第3弾「マンガでわかる!公共施設再配置の取り組み』を制作し、配布してきた。マンガの活用効果は次の通りだ。 ◎白書や計画の内容を分かりやすく伝えることができる。 ◎若い人が受け入れやすい。 ◎公共施設等の窓口で手に取ってもらいやすい。 ◎話題性がある。 ◎啓発資料として長期間活用できる。 ◎マンガのキャラクターを様々な場面で活用できる。

「再配置計画」策定後の取り組みとして、モデル事業の実施がある。市内32地域の中で地域の中心施設である支所や公民館について、老朽化している耐震性がなく建物の一部が土砂災害特別警戒区域にかかっている2地域を、モデル地域と定めた。

「地域別計画」のモデル事業の進め方は、計画の最初の段階から、地域の多くの方々に参加いただき、そこに職員の加わり、ワークショップ形式や、協議会形式による協働作業で、「地域別計画」を策定した。この「地域別計画」を基に再配置を実行に移していく。

モデル事業の一つである長穂地域の場合は、もともと地域の活動が盛んであるため、県事業の『地域の夢プラン』を策定し、自分たちの地域の方向性を自分たちで決め、発展させる方向付けを行った。

モデル事業の進め方の第1ステージで地域説明会を開催し、4項目を説明した。【公共施設再配置の目的】【モデル事業の内容】【モデル事業とした理由】【今後の進め方】であった。第2ステージで住民参加による地域別計画を策定。「ワークショップ形式」「協議会形式」など、地域住民と市職員が共に参加する協働作業により、地域の公共施設について考えていった。この話し合いの中に地元高専生に参加してもらい、出された意見や案を新しい支所・公民館のイメージを誰もが共有できるように図面に表してもらい、参加者の共通認識の定着に役立てることがでできた。

モデル事業の結果、新たな施設の <整備方法> <整備位置> <敷地の使い方> <必要な機能と大まかな間取り> を踏まえ、第3ステージの事業実施へと取り掛かることとなった。

施設分類別計画の策定は、インフラ関連施設を除き1,099施設あり、策定済み及び今後策定のもの1,001施設、策定不要98施設となっている。今後の取り組みとして、施設分類別計画から地域別計画へ、以下の項目を主眼にして進めていくこととしている。●各施設の方向性や取り組み優先度の明確化 ●市内32地域の内、モデル事業の2地域を除く30地域について、優先度の高い地域を検討する ●地域にある施設の重要度、対策の優先度、再配置を行った場合の効果を総合的に判断

終わりに、公共施設再配置の課題だが、「総論賛成、各論反対」は当たり前であり、先ずは総論(現状、今後の予測、基本的考え方等)について、ご理解をいただくよう粘り強く取り組んでいかなくてはならない。地域住民などの受益者だけではなく、市民全体の意見を反映させる研究を行い、より幅広い周知手法の研究をしていかなくてはならない。

 

今回の周南市における「再配置について」の取り組みは、市民対話を大切にした丁寧な事業展開が無ければ、決して成果に結びつけることの、ほど遠いことを学ぶことができました。三豊市が策定済みの「公共施設再配置計画」や、「公共施設等総合管理計画」など、市民にとって求められる公共施設のあり方を見つめ直さなくてはなりません。それはまさに、議員として既存の膨大な計画書などを再研究することの必要性を痛感する研修となりました。

 

 

総務常任委員会 行政視察研修報告(平成30年)・2

二件目の報告は、佐賀大学農学部内にある「(株)オプティム」での研修です。

今回の研修の目的は、日本の農業が抱える課題である、高齢化・担い手不足・技術伝承の難しさ、を解決するため、AI・IOT・ドローン・センサー等の最先端技術を駆使することによる、スマート農業の取り組み事例を学び、三豊市の農業の未来を探求することと併せ、多様な分野での最先端技術の活用の可能性について研究するためです。

 

(株)オプティムは、佐賀大学農学部出身である菅谷俊二氏が、在学中に「インターネットそのものを空気のように、まったく意識することなく使いこなせる存在に変えていくこと」をミッションに、2000年に起業したものだ。IT活用の可能性は、あらゆる分野に広がっている。農業・水産業・建設・医療・介護・小売・製造・鉄道・電力などがあげられる。

今回訪問した、(株)オプティムの佐賀本店は、佐賀大学農学部と佐賀県生産振興部との三者連携協定によって、[農業×IT]で ‟楽しく、かっこよく、稼げる農業” を佐賀から実現しようと取り組む研究・開発・実践の拠点だ。

ドローンを活用したIT農業の実証例を紹介する。現在、農業政策の事業に麦の『経営所得安定対策等交付金支払』制度がある。白石町(全国の自治体も同様の状況だと考えられる)では、これまで作付け確認を職員が現地へ出向いて行っていた。干拓地を含め大規模な圃場があり、現地確認等に多大な時間を要していた。そのため、交付金支払に遅れが発生することもあり、大きな課題となっていた。

対象範囲の約8,500haを、町全域にドローンを飛ばし空撮して、そのデータをオルソ画像化するとともに、空撮画像と水田台帳データの突合確認し、麦作付状況の確認(9,000筆)を行った。平成30年4月16日~5月20日の期間に作業を完了した(5月20日以降、麦の刈り取りが始まるため、期間厳守であった)。このような結果で、行政事務の負担軽減や、支払時期の早期化の効果が期待できることが分かった。

もう一つは、「スマートえだまめ」プロジェクトがあげられる。ドローンを活用し、圃場の隅から隅までを空撮し、AIを用いて害虫を検知。どのデータに基づき害虫めがけてピンポイントで農薬を散布することで、農薬使用量10分の1「スマートえだまめ」として製品化し、百貨店で高値で販売し完売した。

 

いくつかの農業分野の関する実証事例を学ぶことで、三豊市の抱える多様な分野の課題解決に生かせる可能性を大いに気付かせていただきました。ITを活用した事業展開は、私たちの日常生活の中でITが空気のようにまったく意識することなく使いこなせる存在にするということです。農業分野だけでなく、三豊市が直面する市立病院改築計画等の、医療・介護分野での在宅医療や遠隔診療、見守り等への利活用にも、大きな期待を感じることのできた研修でした。

総務常任委員会 行政視察研修報告(平成30年)・1

三豊市議会総務常任委員会の行政視察研修が、平成30年7月2日(月)から4日(水)の3日間の日程で実施されました。視察研修先は、山口県長門市の地域商社「ながと物産合同会社・センザキッチン」と、佐賀県佐賀市の佐賀大学農学部内にある「(株)オプティム佐賀本店」、山口県周南市における「周南市公共施設再配置について」の3件でした。

 

1件目の、地域商社「ながと物産合同会社・センザキッチン」のある長門市は、平成17年に長門市と3町が合併し、人口35,000人、面積357㎢の、新長門市として誕生している。山口県北西部に位置する日本海に面し、海岸線は浸食地形であることから、天然の良港となっている。古くから漁業の町として栄えてきた。魚介のアラ等を飼料として活用することで、養鶏業も盛んであり、全国的にも珍しい養鶏業専門の専門農協がある。

ながと物産合同会社は、市が掲げる「ながと成長戦略行動計画」の重点目標の一つである『ながとブランド』の大都市圏展開の使命を担い、2014年5月29日に設立された。合同会社設立には、長門大津農業協同組合、深川養鶏農業協同組合、山口県漁業協同組合及び長門市の4者が、200万円づつ出資し、地域商社として活動することとなった。

ながと物産は、農業、水産業といった枠組みを超えて『ながとブランド』を大都市圏に展開するための司令塔に位置付けられるため、よそ者視点が重要な要素であるとの考え、執行責任者(COO)は、全国からの公募とした。多くの応募者の中から山本桂司が選ばれ、2014年10月に着任し、活動を開始し3年半ほどが過ぎたところだ。

ながと物産は、生産者のための出荷調整から発送、販路開拓や商品企画を行う。●代わりに営業活動をし、これまでと違う販路を提供する ●買い手の要望を持ち帰る ●品質や数量・栽培内容に応じて価格が違うので、良いものは高く買い取る ●相場関係なく、シーズン通して一定の価格で継続的に契約する ●コスト計算やパッケージなどもコーディネートする このような営業方針で「代わりに売ってきます、ただし、しっかり作ってくださいね!」で実績を挙げながら生産者の心をつかんでいった。

研修場所である道の駅「センザキッチン」は、市が平成17年から総事業費14億円を投入し建設してきた。施設の営業内容と運営は、大きく3つに分かれる。 ①農林水産物等直売所とテナントは、今回の研修の講師である山本COOが経営する「ながと物産」 ②観光案内所は「長門市観光コンベンション協会」 ③長門市おもちゃ美術館は、NPO法人「人と木」 がそれぞれ指定管理者として運営している。

まがと物産は、市から指定管理料ゼロ。収益源はテナント料や販売手数料であり、「市からの赤字補填を受けない代わりに、収益を出せば社内で分配できる仕組み」で、働く人のやる気を引き出す経営形態している。経営の上で山本COOがやりたくないことが7つある。 ●道の駅同士のみの比較や連携 ●施設運営だけのビジネスモデル ●公共性に準じた万人受けする要素の展開 ●管理人と店子の関係性 ●指定管理料の投入 ●運営者の意思が反映されない施設整備 ●形骸化された情報発信機能  それに対して、こうありたいと願っていることは、「物産館でもない 直売著でもない モノやサービスを提供するだけでない センザキッチンは、お客様のライフスタイルを ほんのすこしでも豊かにしていきたい そんなことささいな思いを 達成する場所」

地域商社「ながと物産」の経営と、道の駅「センザキッチン」の施設運営を通して、山本COOの考える地域に必要な要素とは ◎設けた金で‟地域への再投資”を行う事業 ◎自治体の枠に固執せず経済圏や文化圏など広域で枠を捉える ◎組織外で‟属人的な動き”ができる集まり ◎関わる人たちが将来的に相互に利益供与が可能な仕組み このような考え方で地域商社「ながと物産」と「センザキッチン」を展開している。

 

三豊市には、道の駅「たからだの里」があります。すでに「センザキッチン」にあたる農林水産物等直売所が、実績を上げ定着しています。この施設を起点にし「ながと物産合同会社」にあたる「瀬戸内うどんカンパニー」との連携により、山本COOが展開してきた「ながと物産合同会社」とプロセスを逆にした、‟瀬戸内みとよブランド”の大都市圏に向けた販売戦略構築が、現実味を帯びてきたと実感しています。

やっぱり、よそ者・若者・ばか者の「振り切る勇気」を実行できる 【人】 なのです。三豊市には、山本COOに優るとも劣らない北川CUOがいます。私たちは見守り応援します。わが三豊市の誇る地域商社「瀬戸内うどんカンパニー」が企画運営する「うどんハウス」のオープン(H30年/7月)とともに、ますます大きな可能性を感じた研修でした。

 

 

会派清風会視察研修(東北編)報告・3

三豊市議会会派清風会の視察研修報告の3件目は、最後の訪問先である青森県おいらせ町にある観光農園「アグリの里おいらせ」の取り組みについてです。

 

観光農園「アグリの里おいらせ」の経営及び運営は、<株式会社アグリの里おいらせ>と<社会福祉法人誠友会>の2法人連携で行われている。高齢者福祉と障がい者継続支援の2つの事業を手掛ける苫米地(とまべち)義之氏が、高齢者も障がい者も、地域に暮らす誰もが活躍できる場をつくることで地域を元気にしたいとの思いで、10年ほど前に開園した。

2法人連携による経営は、国・県の補助金制度を最大限活用するために有効だ。公的助成金を事業拡大に活用できるのは、この国の求める社会づくりの実践を行っているところにある。それは、”「アグリの里おいらせ」の想い”をまとめた言葉で表されている。 《観光農園アグリの里おいらせは「農業・地域・福祉・観光」を繋ぎ合わせた事業を通して、子どもからお年寄りまで、障害の有無にかかわらず「共に学び、共に活躍、交流、体験」できる場を創造します。》 に集約されている。

事業の目的は ●観光農園全体が障がい者の働く場であり実践、体験の場であること ●行政、民間団体、地域との連携、協働による人材育成の支援をすること ●「食と農」を通して食文化の伝承、生きがい、健康づくりを推進すること ●就労の場につながるよう農業と福祉の新たな担い手の人材育成に取り組むこと ●地域との協働、連携により地域の活性化を目指すこと によって、地域を元気にし誰もが活躍できる社会の実現を目指すことだ。

「アグリの里おいらせ」の沿革と概要は資料の通で、就労継続支援事業所では、現在、A型15名、B型44名を雇用している。

これまで、農業、観光、地域、福祉をつなぎ合わせた事業展開を行ってきた。そのキーワードは『新・珍・楽・懐』+『食・農・福・医』によって、地域や団体との連携を行ってきた。その結果、年間入り込み数は順調に推移し43万人を超える集客となっており、事業目的の事業化によって”「アグリの里おいらせ」の想い”は現実のものとなっている。

今後の展開と展望については三つある。一つは、地域全体における農と福祉の連携強化だ。二つは、障がい者の新たな就労の場の創出だ。そして三つは、誰でも「活躍・交流・体験」できる道の駅構想だ。農・福・地域・観光・教育の連携による、官民福学連携で交流・情報発信の拠点づくりを考えている。それが新たな観光拠点施設となるからだ。

 

おいらせ町のある地域は、青森県の中でも降雪の少ない地域で、ハウスによる施設栽培に適した場所です。イチゴ栽培に始まり、マンゴーやバナナ、パッションフルーツ、ドラゴンフルーツなど、北の国に南の国をつくったのです。その発想の根底には、三沢市の米軍基地の需要の可能性もしたたかに狙っていたのではないでしょうか。その意外性に人は引き付けられているのだと思います。苫米地さんは、若かりし頃全国に放浪の旅に出かけることで、人が生活し生きることの本質を感性として身に着けたのだと思います。「若い者には旅をさせろ」とは言い古された言葉ですが、地域を支え再興する人材を輩出する地域とは、そのような空気感なのでしょう。

「すばらしい研修でした」をいつまで繰り返すのか。自らが住むこのまちで、自らが実践しなければ、何も始まらないことを反省しつつ、苫米地さんの発想と実践力に感嘆しきりの研修でした。

 

 

会派清風会視察研修(東北編)報告・2

三豊市議会会派清風会の視察研修報告の2件目は、岩手県遠野市における「認定NPO法人遠野 山・里・暮らしネットワークについて」です。

 

遠野市は、岩手県の内陸部と海岸部の中間に位置し、古くから交通の拠点として栄えた。平成17年に遠野市に宮守村が加わり、現在の遠野市となった。人口約32,000人、面積825.62㎢となった。100年前に柳田國男により記録出版された『遠野物語』で「永遠の日本のふるさと」として、現在も輝きを放っている。東日本大震災発生時には、被災地に対する後方支援拠点となったことで、全国から支援に訪れたボランティアとの交流が広がり、地域資源を活用したまちづくりの追い風となっている。

認定NPO法人遠野 山・里・暮らしネットワークは、遠野郷を活動のフィールドとして、「資源を生かした都市住民との交流の深化と移住の促進」「伝統文化・芸能・技術・技芸の伝承と進化と応用」「里地・里山における循環的な生活スタイルの再興と実践」を柱に事業展開している。

2003年にNPO法人として設立され、『地域の学びの場 東北ツーリズム開校』や『企業と連携した遠野体感型合宿自動車免許』『東日本大震災後方支援活動』などを経て、2016年に「認定NPO法人」となった。

これまでの活動の中で、多様な地域活動団体やグループとのつながりが生まれ、「草の根型組織の水平連携」として、クラスター型の活動となっている。クラスター組織は、<遠野グリーンツーリズム研究会> <遠野民泊協会> <東北まちづくり実践塾>等、10数団体との連携体となっている。

認定NPO法人遠野 山・里・暮らしネットワークの活動の概要は、資料の通り。

NPO法人遠野山・里・暮らしネットワーク活動
NPO法人遠野山・里・暮らしネットワーク活動概要

活動の財源は、主に各種助成事業費からなっており、国や県、市が進めよとする政策のモデル事業を受託している。 ①遠野市委託:ツーリズム型交流推進事業 ②経産省:農商工連携等促進人材創出事業 ③3省合同:子ども農山漁村交流モデル事業 ④岩手県:都市農山漁村交流拡大モデル構築事業 ⑤内閣府:復興支援型雇用創造事業 ⑥遠野市委託:遠野市「域学連携」地域づくり事業 ⑦農水省:都市農村共生・対流総合対策交付金 ⑧農水省:農山漁村振興交付金 ⑨復興庁:「新しい東北」先導モデル事業 ⑩林野庁:森林・山村多面的機能発揮対策事業 ⑪公益財団法人大阪コミュニティ財団 ⑫岩手県:GT実践塾開催委託業務

長く活動していると本来の目的から離れそうになる。常に足元を見ながら、原点を忘れずに取り組んでいかなくてはならないと自問している。

 

説明していただいた、認定NPO法人遠野 山・里・暮らしネットワークの浅沼理事さんは東京出身で、学生時代から野生動物の勉強をしており、タンザニアでの青年海外協力隊での活動の経歴があります。野生動物好きの女友達3人組で、自然の中で暮らすため、この地に居を構えようと移住してきました。浅沼さんにとっては、研究対象が野生動物から「永遠の日本のふるさと」遠野の ”ごく普通の農村の風景や、小さな淵や池、道ばたの石碑に、物語を発見する” といった、日本の原風景とそこに生きる人になったのだと思います。自然や様々な人とのかかわりが、大好きなのであろうことが伝わってきます。しがらみのとらわれず、当事者たちが「自分のこと」として取り組み、「他人事」とならずに全力で取り組む人材こそが宝であることを、またしても痛感した研修でした。

3期目をふり返るマニフェスト・サイクル

1期4年の市議会議員の任期は、実に足早に過ぎていくものです。4年前のこの時期に、私の2期目の4年間を振り返ったマニフェスト・サイクルを掲載しました。来年の平成30年(2018年)1月には、第4回の三豊市長選挙と市議会議員選挙が行われます。そこで、この時点で平成26年に行われた、第3回三豊市議会議員選挙でお示ししていた、私のマニフェストである「三豊市の次世代ビジョン、第3ステージへ!」をふり返ることとします。

 

【教育】施策/01 『自学精神の向上に学校図書館の充実と計画を!』 授業で学ぶことにプラスして自ら学ぶ心=自学精神を付けることは無限の力に。統合公へ充実した図書館導入で自習環境の充実を実現。新設校では設計段階から組み込み、子どもたちの学ぶ力の向上を応援。

⇒ 山本小学校、財田小学校に学校図書館を整備するとともに学校司書を配置。さらに、国の助成制度を活用して、順に既存小中学校にも学校司書を配置した。

 

【子育て支援】施策/02 『子どもの基本力を高める支援拠点の拡充へ!』 幼児教育の支援拠点として”みとよKIdsスタジオ”を実現。幼児期の知育、体育、徳育の基礎力を高め、若いママさんの育児の悩み解消も目指した、共に育つ・育てるサポート機能、また集団の広がりを支援。

⇒ ”みとよKIdsスタジオ”の活動充実及び継続のために、県・市社会教育委員会に対して支援施策の創設を働きかけている。新たに、育児で相談する機会に恵まれない保護者の相談や、発達障害児とその関係者の育児の悩みに早期に寄り添うことを活動目的とする、NPO法人西讃教育支援ネットワークの設立に協力するとともに、市子育て支援課と連携し相談活動を実施している。

 

【医療】施策/03 『地域医療機関の高度化とネットワークの強化へ!』 永康病院と西香川病院を機能統合、地域医療の中核として、特に小児科・産科を充実する。さらに他の医療機関とのネットワーク化も強化し、医療・介護・保健にわたる地域包括ケア体制の構築を図る。

⇒市立2病院の機能統合やネットワーク化等は、議会内に設置した永康病院調査特別委員会の委員長として、議会としてのいくつかの方向性を検討し提案する。

 

【施設】施策/04 『市民力で公共施設の新たな価値を創生!』 市民の手で、公共施設の潜在的な価値を引き出す。指定管理制度や民間委託などでさらなる利便と財務健全化を図る。

⇒不動の滝カントリーパーク及び豊中コミュニティセンターをまちづくり推進隊豊中に指定管理委託したり、比地大駅前公園を民間に貸与することで、新たな魅力づくりによって地域のコミュニティ拠点となりつつある。

【産業・雇用】施策/05 『世界を見据えた語学力の教育体制と雇用に場を!』 三豊ライオンズクラブの主催する”みとよグローバル・イングリッシュスピーチ・コンテスト”を会長として企画・運営し、英会話を学ぶ小中学生の発表場を実現した。残念ながら、2016年1月開催の1回のみで、事業の継続を模索中である。今後、地元企業を巻き込み協力を得ることで、若者の雇用に結びつける。

 

4年という年月は長くもあり短くもあります。任期が終わったからといって、放り出すわけにはいきません。引き続き取り組んでいきます。

「たくままさし通信・第17号」が完成

私の議員活動報告紙である「たくままさし通信・第17号」が完成しました。前号の第16号からこれまでの約半年間に、ブログに掲載してきた中から抜粋して、市民の皆さんに印刷媒体として広くお届けしたいと考えています。

市内の事業者や豊中地域を主に、A4・8ページ・1色刷りで5,000部を、さっそく、配布します。お手元に届きましたらご一読いただければ幸いです。

今後とも、限られた手段ではありますが、いろんな方法で議員活動報告をしていきます。

「水族館を核としたにぎわい創造事業」への参加表明なし

三豊市が、3年前の平成26年9月に1億円で民間金融機関から取得した「讃岐造船鉄工所跡地」(2.4ha)での「水族館を核にしたにぎわい創造事業」への、民間事業者からの参加表明書は、受付締切日である本年5月9日までに申し込みがありませんでした。これにより、民間投資による水族館建設計画は終了することとなります。三豊市が、この計画に着手した時から、屋島水族館の再開の決定や、宇多津町の計画が具体化するなど、水族館事業をとりまく環境は激変しました。このような状況の中で、民間事業者の参加意欲にも大きな影響があったのは確かです。

市の方針として、今後の「詫間港周辺地区にぎわい創造事業」は、水族館を『必置』としない事業として、新たなにぎわい創造に向け、継続して取り組んでいこうとしています。

これまでに投入した費用は1億8,700万円です。内訳は、措置取得:1億円、建屋解体:4,930万円、コンサル料:3,300万円、他となっています。

現在、この場所は、市が取得したことで公有地になっていることから、県事業として防潮堤を含む護岸建設工事が、平成31~32年の完了予定で進められており、水族館建設計画の有無に関係なく地域の安全対策は計画通り進んでいくものと思われます。

これまでにも「水族館を核にしたにぎわい創造事業」に対して、市民の皆さんから、非日常的な施設ではなく ”生活にもっと身近な、日々の暮らしに必要な施設整備” の意見を多くいただいていました。今一度立ち止まり、このまちにとって、本当に必要なことは何かという原点に立ち返り、思考を深めていかなくてはならないと考えています。

 

郡・市・町の子ども会育成連絡協議会総会

昨年から、香川県子ども会育成連絡協議会の3人いる副会長の一人にになっています。5月の連休をはさんだこの時期は、県内の郡・市・町の子ども会育成連絡協議会13団体の総会が予定されています。来賓として、県子連を代表して会長又は副会長が出席することとなっているようです。私は、仲多度郡(5月2日)と観音寺市(5月14日)に訪問する割り当てになっています。

 

子どもの健やかな成長には、家庭、地域、学校の連携が欠かさないことが言われ続けています。その役割を担うために、最もふさわしいポジションにいるのが子ども会だと考えています。子ども会活動は、子どもたちが学校から地域に帰った時間を、地域の中で、地域の人とともに、地域の自然や歴史、伝統を題材に集団活動をすることによる様々な体験を通して、人間関係能力を高めることを目的にしています。言葉を代えれば、人としての生きる力を育むということです。

そのために、県子連では「子どものための活動支援事業」や「ジュニア・リーダー研修」「指導者・育成者研修大会」等の事業計画により、郡・市・町子連や地域の子ども会活動を支えてきました。今後ともさらに強力に支援していきたいと考えています。

子ども会活動を通して、子どもたちが地域の中で、「される人」から「する人」に成長し、地域のお役に立つ人材となってくれることを、切に願っています。子ども会活動を、私たちの手で楽しくやりがいのあるものにしていきましょう。皆さんの健闘を祈っています。

 

人口減少時代を考えた

新年度になり各種団体の総会が開催されています。高齢者が集う各地の長寿会総会にもご案内をいただき、挨拶をさせていただく機会をいただいています。会員の減少が止まらないことへの危機感を、全ての長寿会の会長さんが訴えていました。会員減少と人口減少に、減少という言葉の共通点で、人口減少時代の意味するところをいろいろと考えてみました。

少子高齢社会に突入し、日本の人口は50年後に約8,000万人となり、100年後には4,000万人まで減少し、現在の3分の1になると推測されています。このような危機感の中で、国の政策によって2年ほど前に全国の自治体で地方創生総合戦略と人口ビジョンが策定されました。

三豊市の人口は、1985年に合併前の旧7町で78,000人をピークとして、30年後の2015年には65,000人となり、30年間で13,000人の減少となっています。人口ビジョンでは、このまま何もしなければ45年後の2060年には36,000人まで減少すると推計されており、それを9,000人減少を抑制し45,000人に止めようとする構想となっています。

日本の人口推移を、古代から現代にいたる長期スパンで見てみると、人口減少は大きな社会の変革を予兆するような、うねりとなって現れてきます。

これまでの人口減少のサイクルは4回あります。1回目は、紀元前2,000年ごろの縄文時代後半に訪れています。人為的な食料生産が本格化したといわれる弥生時代になり人口増へと転じています。2回目は、1,000年ごろ平安・鎌倉時代に訪れます。室町から戦国時代にかけ人口は爆発的に増加していきます。3回目は、1,800年ごろの江戸時代後半です。鎖国によって停滞していた社会を打破したのが明治維新でした。そして、4回目は、2,000年代の現代です。

このサイクルを知れば、人口減少時代は、新たな価値観や文明ともいえる秩序へと移行する、序章であるともいえると考えられます。日本はその都度、新たな仕組みや制度によって復活してきたのでした。少子高齢社会の人口減少時代にあって、変革を恐れ既存の概念や常識にとらわれて、対面ばかり気にしているようでは、決して復活の日は訪れることはないことを、歴史が証明しています。

自らに言い聞かせています。