「たくままさし通信第19号」が完成しました。前号の18号は、2017年の平成29年10月9日にこの場にアップしています。それ以来、実に約2年8か月ぶりとなります。
表紙に ‟「たくままさし通信」復活の日。” の見出しとともに、再び市民の皆さんに、三豊の現状と未来の三豊はどのような姿なのかを、お届けしていきたいと考えています。
先ずは、ささやかな復活の第一歩を、七宝山からとらえた昇る朝日とともにお届けします。
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第4部 横浜国立大学副学長・教授 国土交通省交通政策審議会地域公共交通部会長 中村文彦氏 から、「近未来の地域交通とそれを支える計画制度の方向性」の講義があった。
地域交通の論点と課題は、一つは環境問題、交通事故、高齢者等社会的疎外の視点であり、もう一つは自家用車への過度な依存の見直しの必要性だ。
近未来の地域交通の革新に向けて3つの視点がある。①シェアリング・自動運転・MaaSなどの技術動向の視点 ②持続可能性、創造性、多様性からの地域の近未来を考えていくべき視点 ③ウオーカブル(歩きやすいこと)、レリアブル(乗り物を信頼すること)、エンジョイブル(楽しむ場所のあること)で、交通の革新を考えていく視点 である。
公共交通の不便な郊外で、車の使えない高齢者が外出できなくなり、社会的疎外が現実問題となっている。交通政策を考える上での課題は、安全で円滑(渋滞解消)なのは当然であり、社会課題の解決のためや、都市・地域の持続可能性のために、さらには、生活の質の確保、保持、改善&向上のため、が考えられる。その課題解決の方向性は、自家用車を使わなくても済む場面を増やし、自家用車への過度な依存からの脱却が必要だということだ。
新しいキーワードに「シェアリング」「自動運転」「MaaS」があるが、まだまだ技術面や制度面で、クリアしていかなければならない課題が多い。「シェアリング」は、公共交通利用を減らしているし、道路混雑を増やしている。「自動運転」は、まだまだお金がかかるし、バスは運賃箱と乗務員が義務付けられている。「MaaS」は、個別の交通手段の質が悪いままであり、地域のすべての移動選択肢を含んでいない。そのような状況では、割高な月額制なら利用されない。現状における、これらの不都合をクリアするための、調査研究が進められているところだ。
近未来の地域交通を創造するにあたり、目的を政策領域で考えるならば、「環境問題」「防災&災害復興問題」「地域活性化問題」「健康問題」がある。特に「健康問題」は行政課題として重要で、新たにヘルスケアMaaSの考え方が生まれている。ヘルスケア推進を、MaaSがつなぐ「交通」で外出し歩いてもらったり、ケア支援、認知症対応など社会包摂で、健康、安全な地域になり医療費を減らすことができる。削減できた医療費の余剰財源の一部を、交通財源に投入することで、交通システムの維持が可能となる。
「近未来の地域交通とそれを支える計画制度の方向性」を考える根底には、需要側、供給側、制度枠組み側のそれぞれの覚悟とぶれない姿勢が不可欠だ。需要側(利用者)には、これまでの交通の常識を払拭する覚悟がいる。供給側(交通事業者)には、これまでの道路や鉄道、バス、タクシー等の常識がなくなる覚悟がいる。制度枠組み側には、多元的で深いデータの解析に基づいた計画と評価に、ぶれが生じないことだ。いずれにしても、何を重要な要因とするのかの優先順位は変わらず、むしろ明確にしなければならない。それは、「人間」「豊かさ(時間短縮ではない)」「安全で安心」「地球環境と生活環境」、最後に「コスト」の順であることだ。
地域の魅力の再認識と新発見によって、高齢者も目的をもって移動できることで地域が活気づき、若者も元気になるのだろうと思います。新しい技術や制度を駆使して、大切にしなくてはならないコトを見失うことなく、三豊市に相応しい近未来の地域交通を模索していきたいと思っています。4名の先生の講義は、いづれも内容豊富で奥深いものばかりでした。貴重な時間をいただいたことに対し、心から感謝申し上げます。ありがとうございました。
第3部 小田急電鉄(株)経営戦略部次世代モビリティチーム 藤垣洋平氏 から、 「共通データ基盤『MaaS Japan』で実現できる MaaSアプリ&サービス」の講義があった。
小田急は、90年間積み上げてきた安心・快適という普遍的な価値を、これからのテクノロジーを生かして、「会いたいときに、会いたい人に、会いに行ける」、次世代の”モビリティ・ライフ”をまちに生み出していこうと取り組んでいる。
MaaSのとらえ方は、2つの類型に分けて考えることができる。類型1として、複数のサービスを統合した「統合型」と、類型2として新しい柔軟な交通サービスの「新サービス型」がある。「統合型」は、複数の交通サービスを対象とした検索・予約・決済管理等を一体的に提供するサービスで、統合的な検索サービスや一体的な決済サービス、定額制パッケージ、スマートフォンアプリがある。「新サービス型」は、利用者のニーズに柔軟に対応できるICTを活用した新しい交通サービスで、オンデマンドバスやカーシェアリング、自動運転サービスがある。
MaaSの活用に取り組む上での考え方は、「提供しているサービス」ではなく、「達成される状況」をもとにして考えれば、人や地域によるそれぞれに相応しい形が見えてくる。利用者の移動特性や置かれている都市環境を踏まえ、利用者にどのような移動が可能になり、そのサービスに対してどう感じるか、どう感じることを目指して設計されているのか、という考え方が大切だ。MaaSの根本にある考え方をもとにしたサービス設計は、「提供されるサービス(商品)」だけでなく、「どのようなシーン(体験)」であるかをトータルデザインすることだ。
そこから生まれたのが、MaaSアプリ「EMot」だ。 ”もっといい「いきかた」” のために Emotion(感動させる)とMobility(モビリティ)の融合によって、日々の行動の利便性をより高め、新しい生活スタイルや観光の楽しみ方を見つけられるアプリとして活用してほしい。現在、「EMot」を使った、観光型MaaS「デジタル箱根フリーパス」と郊外型MaaS「新百合ヶ丘エリア 買物利用者向けバス無料チケット」、MaaS×生活サービス「飲食サブスク」の3つのタイプの実証実験を行っている。
「共通データ基盤 MaaS Japan」は、データ基盤を、小田急以外の事業者や自治体のMaaSにも活用できる。他の交通事業者・自治体等がMaaSの実証実験を容易に実施できる環境を提供する。これまでに着手している「MaaS Japan」を活用・連携したアプリ展開は、①海外からの旅行者が、使い慣れたアプリで日本を周遊できる環境を目指すために、WhimとZipstrの海外アプリと連携 ②東京都「MaaSの社会実装モデル構築に向けた実証実験」として、立川駅周辺エリアの「お出かけ」をサポート などがる。
「EMot」も「MaaS Japan」も、交通サービスを適材適所で組み合わせることで、自家用車と同等以上の便利さを提供し、交通サービス利用中心のライフスタイルを提案するものだ。MaaSを通じて、「会いたいときに、会いたい人に、会いに行ける」次世代の”モビリティ・ライフ”を社会に生み出していく。
行きたくなるようなワクワクする、バショやコトがあり、そこで人との出会いがあるまち。住みたくて、住み続けたいまちにするために、ストレスなく移動できる環境を構築していくことが地域創世につながっていくことを、再確認できた講義でした。
第2部 福島大学経済経営学類准教授 国土交通省交通政策審議会地域公共交通部会臨時委員 吉田樹氏 から、「次世代交通サービスと暮らしの足の確保に向けた協働の進め方~自治体と交通事業者等の連携━交通サービスの開発と運営~」の講義があった。
地方行政の公共交通政策は「何のために」必要か。高齢者の移動手段確保に注目が集まるが、実は、市民生活を支える地域公共交通の多くは不採算であり、自家用車で移動する人が「移動手段確保」を考えるのはなぜか。また、すでに都市圏でも営業所撤退や大幅減便、補助金要望がきている。このような現状で、「公共交通政策を移動困難者対策」ととらえていては、移動困難者対策も公共交通再生も地域再生も果たせない。
地域における「くらしの足」が抱える問題は、大きく3点ある。①自家用車を運転しないと活動できない ②目的地が多様化して小口化している ③交通を支える担い手が不足している がある。福島県南相馬市民の後期高齢者の「5年前の外出状況との比較」アンケート調査で、自家用車の運転を中止することで、活動機会が低下し「楽(愉)しいお出かけ」が失われつつある現実がある。そこから推察されることは、「交通の躊躇は、果たして本人の積極的な選択なのか」「外出しにくい環境は、社会が作っているのではないか」「交通への不安が高い地域は、将来も生き残れるのか」ということだ。
交通政策基本法(2013施行)にある交通に関する施策の推進にあたっての認識は、①「生活」を支える「くらしの足」としての地域交通 ②「交流」を支える「おでかけの足」としての地域公共交通 であると解釈できる。よって、『地域公共交通マネジメント』は、市民の「くらし」を守り、「交流=おでかけ」の機会をつくる地域公共交通を、ビジネス(経済)と合意形成(社会)で創出・継続するプロセスといえる。
今、求められる『地域公共交通マネジメント』は、「空間やコンテンツ」と「モビリティ」を両輪で考えることだ。「魅力的な空間やコンテンツ」は、地域ごとに「異なる魅力」(賑やかな街、豊かな郊外・・・)があることで、交通行動は生まれる。そこには、土地利用計画、施設整備計画、観光政策・・・との関連がある。「魅力的なモビリティ」については、MaaS・自動運転・オンデマンド交通などは、手段であって目的ではなく、既存の公共交通を含めた、「新たなモビリティツール」が市民の交流を促し、暮らしを支援する機能を持つことが重要だ。
青森県八戸市における、「共同運行化」と「マネジメント」の実証事例は、事業者間の調整機能による競争政策から「共創政策」への転換において、分散する路線を「事業者連携」によって、公共交通の品質の向上を実現した。また、栃木県足利市の地域公共交通網の「面的」な再構築の事例では、クルマ社会の地方都市でも、みんなが「好んで」マイカーで外出しているわけではなく、「需要に応える」だけでなく、「ライフスタイルの提案」が鍵であった。それは、公的支援の考え方として、「赤字だから支援する」発想ではなく、「おでかけ機会を広げる投資」ととらえているからだ。さらに、会津若松市と青森県田子町の事例では、「束ねて×減らす」の視点で、生活路線と観光路線や医療機関搬送バス、スクールバスを統合一本化するなどして、生産性向上を実現した。
他に、●生活圏単位のネットワーク再構築 ●次世代モビリティサービス━MaaS ●公共交通に求められる「見せ方改革」 ●超高齢社会のMaaSとタクシーへの期待 ●地方都市のタクシー定額制サービス ●「デマンド交通」の課題と展望 ●「のりしろ」で「くらしの足」を豊かにする ●MaaS構築に求められる「眼差し」 があった。
最後に、3点にまとめる。①公共交通づくりは「おでかけ」の機会を広げる投資である。「赤字補填」「赤字は問題」という論理から、「おでかけ機会」を確保するため、公共交通へ「投資」するという発想に転換したい。 ②地域公共交通もMaaSも、地域生活と交流を支える「道具」である。「使ってもらってなんぼ」だからこそ、カイゼンが必要だ。 ③地域公共交通マネジメントは、地域創世のけん引役であり、MaaSはその土台となる。地域公共交通は、「現場の近さ」が特徴で、「くらし」と「おでかけ」の足の議論はまちづくりの「第一歩」だ。それぞれの地域にあった「地域公共交通マネジメント」の確立こそが地域創世につながっていくのだ。
「くらし」と「おでかけ」の足の確保に向けた協働の進め方の実践を通して、示唆に富んだ貴重な講義を聴くことができたことに、心から感謝します。地方公共団体と民間事業者との協働によって、好きな時に好きなように好きなところへ移動できるツールとしての地域公共交通が、実は魅力的なことや場所を有機的につなぎ成長させるキーツールになることに、大きな気付きをいただいた講義でした。小林一三や後藤慶太、堤康次郎など、鉄道というモビリティで活力あるまちを建設していった先人の執念と発想に、時代は変われども地域創世はここにありと感じています。
令和2年1月27日(月)に、東京都千代田区にある剛堂会館で開催された、「地域公共交通計画制度とその運用の改革」をテーマにしたセミナーに参加しました。4名の講師から、それぞれの立場からの専門的な講義をいただきました。4部に分けて報告します。
第1部 国土交通省総合政策局地域交通課長 原田修吾氏(代理) から、「地域の移動を担う交通手段の確保・維持に向けた国の動向について」の講義があった。
人口減少、超高齢社会の本格到来となった。人口は2008年をピークに減少局面に入っている。三大都市圏においても人口減少に入るが、都市と地方の人口格差は拡大する。人口構造の推移をみると、2025年以降、「高齢者の急増」から「現役世代の急減」に局面が変化する。高齢者の免許非保有者、免許返納の数は、大幅に増加する。高齢者を中心に、公共交通がなくなると生活できなくなるのではないか、という声が大きい。自動車運転事業は、労働環境等の影響で若者が敬遠し、運転手不足が深刻化している。市町村における地域公共交通の組織体制も専任担当者が不在の市町村は約8割で、人材不足が課題だ。このような中で、国としても自治体が地域交通の確保(地方バス、離島航路支援等)に関する「特別交付税交付額(地方負担分の8割を交付)」は毎年増加傾向にある。
平成19年に地方公共交通活性化再生法を制定、平成26年に改正し①まちづくりと連携し、②面的な公共交通ネットワークを再構築するため、「地方公共交通網形成計画」を規定した。しかしながら、人口減少の本格化、運転手不足の深刻化で、地域公共交通の経営環境は悪化し、路線廃止が相次いでいる。このため、持続可能な地域の旅客運送サービスの提供を確保することを目的とする、地方公共団体による「地域公共交通計画」の策定を努力義務化し、国が予算・ノウハウ面の支援を行うことで、地方における取組をさらに促進する。
地域の実情に合わせた交通手段の見直しは、地方公共団体、交通事業者等の地域の関係者の協議の下で、路線バスについては、生産性の向上を図るとともに、地域の実情に合わせてダウンサイジング等(車両の小型化、運行経路やダイヤの見直し)を行いつつ、公的負担によるコミュニティバス、乗り合いタクシー等の運行を検討する。また、自家用有償旅客運送の活用、スクールバス、福祉輸送等の積極活用により、地域の暮らしや産業に不可欠な移動手段を確保する。
MaaSへの取り組みが急速に進められている。MaaSとは、スマホアプリにより、地域住民や旅行者一人ひとりのトリップ単位での移動ニーズに対応して、複数の公共交通やそれ以外の移動サービスを最適に組み合わせて検索・予約・決済等を一括で行うサービスだ。新たな移動手段(シェアサイクル等)や移動目的に関連したサービス(観光チケットの購入等)も組み合わせることが可能となる。MaaSの円滑な普及のための措置として、①MaaSに参加しようとする交通事業者等は、MaaSの実施にかかる事業計画の申請を行い、国土交通大臣の認定を受けることができる ②認定された事業計画に定められた交通事業者(鉄道・バス・フェリー)が運賃・料金の届け出を行う場合、共同で行うことができる ③都道府県または市町村は、MaaSの実施に関し必要な協議を行うための協議会を組織することができる これらの措置によって、運賃届け出手続きのワンストップ化と、交通事業者のMaaS関係者の協議・連携の促進が図られることとなる。
国の地域交通政策を立案する中枢の担当課からの講義を聴講できたことは、三豊市が挑戦していこうとしている、豊かさを実感できるまちの実現に向けての具体的政策への取り組みの裏付けにもなり、実に有意義な時間となりました。地域の移動を担う交通手段の確保・維持に向けた国の施策の方向性を確認できたとともに、広くて居住地が分散するわがまちの、未来の交通手段の考え方が整理できました。
2年間の議長任期が終わり、久しぶりの質問になりました。三豊市議会の会派「清風会」を代表して、施政方針に対して8件の質問をしました。
施政方針に沿って、山下市長の政策の取り組みと考え方が市民の皆さんに伝わるよう質問する。
1件目 「市長の政治姿勢について」
問 山下市政となってはや2年が過ぎ、後半の2年が始まる。一昨年に策定した第2次総合計画における本市のまちの将来像は、「One MITOYO~心つながる豊かさ実感都市~」だ。施政方針では、豊かさを実感してもらうために、従来の常識や前例にとらわれない思い切った方法をとらなければならないとあるが、豊かさ実感都市の実現に向けた政治姿勢と決意を問う。
答 市長に就任して2年が経過した。これまで、市のため、市民のためにを最優先として、職員と一丸となって取り組んできた。縮小する地域を前提としたまちづくりをするのではなく、チャレンジできて夢をかなえることができ、このまちに来れば幸せに暮らしていける三豊をつくっていく。今後も、「One MITOYO」の実現は非常に厳しい道のりだが、可能性を切り開くまちづくり、期待感と幸福の中で人が育つ三豊をつくっていく。
2件目 「財政課題について」
問 令和2年度予算案は、合併以来2番目の一般会計予算規模となっている。普通交付税の合併特例措置の段階的減少や合併特例債の発行可能期限が迫るなど、三豊市財政の極めて重要かつ深刻な局面を迎えている。先ず、第2次総合計画の重点プロジェクトである「攻め」の施策への配分を重視した編成内容について。次に、合併後2番目に大きい予算規模となった一般会計予算額が、将来的財政的見通しの中でどのような意味合いと位置づけになるのか。最後に、合併特例債の発行期限までの計画的取り組みについて。3点について問う。
答 「攻め」の施策は、人口減少を緩やかにするために、移住定住、子育て支援や教育環境の整備などの施策に加え、地域や産業の担い手の育成や確保に積極的に取り組む。さらに、AIやICTの活用など、先端技術の研究も進め、特に将来を見据えた地域コミュニティーにかかわることに積極配分している。2点目の財政の見通しについては、公共施設の老朽化対策は避けて通れない。引き続き、中長期的な見通しの中で、計画的に進めていく。本市は交付税に大きく依存し、財政力も低いので、独自施策の原資を模索するため、寄付の獲得や外部資源の積極活用、民間投資の誘導を進める。特に寄付は交付税制度の外にある仕組みなので、重点的に取り組む。新たに、自治体クラウドファンディングにも取り組んでいく。合併特例債は、有利とはいえ借金であるため、将来の財政負担が制御可能な水準にあることを確認した上で、将来世代も必要となる事業を厳選して活用していく。
3件目 「AIベンチャーと自治体広域連携システムについて」
問 みとよAI社会推進機構MAIZMが開設され、東大松尾研究室の起業支援を受け、香川高専詫間キャンパス初のAIベンチャーが立ち上がったと聞くが、現状と今後の見通しを問う。また、AI活用による自治体広域連携も視野にあるとも聞いている。4市3町の自治体広域連携システムの今後の方向性を問う。
答 MAIZMが支援した高専生ベンチャー企業は、AIを活用しあおり運転を検知するシステムの開発に取り組んでいる。起業した学生は、スマートフォン用のアプリやゲームを開発するスキルを持ち、全国高専プログラミングコンテストで詫間キャンパスが最優秀賞を受賞した時のリーダーで、MAIZMや松尾研究室の支援を得て起業にチャレンジした。今後の見通しは、起業マインドを育成するような講座も開催することで、起業に向けての相談が増えることを期待している。次に、広域自治体連携システムの今後の方向性は、丸亀市以西の4市3町で構成された人工知能活用推進協議会が設置され、地方自治体として共通の地域課題や行政課題の解決に向けた協議を開始している。広域協議会のメリットを生かし、複数自治体が保有する行政データをもとにした、広域連携による施策展開も検討していく。
4件目 「学校再編整備について」
問 学校再編整備基本方針に基づき、豊中地区で説明会を進めているが、現状と今後の意見集約をどのように行っていくのかを聞くとともに、市全域の再編構想の考えを問う。
答 これまでに、自治会長代表、保護者会代表、公民館分館長に豊中町内の小学校の現状や将来児童数予測を説明し、再編に向けての協議を開始することについて理解をいただき、地元説明会を数回にわたり開催した。また、保育所、幼稚園、小学校の保護者を対象にアンケート調査をした。丁寧な説明、周知を続けるとともに、学校再編地域協議会の設立に向けて準備を進めているところだ。今後は、地域協議会や住民とともに、子どもたちに望ましい学校とは何かという点を第一に、建設的に誠意をもって協議を進めていく。市全域の再編構想は、10年を契機に見直しを行うとされているが、答申から8年が経過し、学校を取り巻く環境は大きく変化しており、中学校でも再編整備を考えなければならない状況になっている。新たに再編整備検討委員会を設け、十分検討していただくことが必要だと考えている。
5件目 「三豊市子育て世代包括支援センターの体制強化について」
問 重点施策である、妊娠期から子育て期にわたるまでの継続した支援を行うための、子育て世代包括支援センターの体制強化をどのように進めていくのかを問う。また、既に市民の自主活動として子ども食堂や子どもの居場所づくり、発達障害等の勉強会や相談会などとの、今後の連携について問う。
答 子育て支援課内に子育て世代包括支援センター「なないろ」を開設し、妊娠期から就学までのきめ細かい子育て支援を始めている。令和2年度からは対象年齢を18歳までに拡充し、早期から支援が行えるよう相談窓口をワンストップ化し、情報を一元管理することで、18歳まで子どもたちを一貫して見守り寄り添う、三豊市独自の体制を構築する。また、多機能型子ども支援センター整備に向け、子ども支援センター機能等検討委員会(仮称)を設置し、子育て支援センター機能と発達支援センター機能を併せ持つ機能等の検討を始める。次に、子ども食堂や子どもの居場所づくりを自主的に行う団体への支援については、三豊市社会福祉協議会に業務委託するとともに、市と協働での支援体制を充実し、地域で子供を見守ることができるよう、地域と連携しながら、子どもや家庭の支援につなげていく。発達障害支援については、個別の相談体制をさらに充実させ、医療機関等での適切な支援につなげる。また、現在19か所の巡回支援を25か所に増やすとともに、市による巡回相談支援を小学校5校でスタートする。そして、発達支援のさらなる充実のため、ケースマネージメントや発達障害支援について、民間事業者や専門家への業務委託や連携も検討していく。
6件目 「MaaSと多極分散型ネットワークのまちづくりについて」
問 豊かさを実感できるまちの条件の一つに、好きな時に好きなように好きなところへ行ける、があると考えている。市長は、地方公共交通計画策定に取り組むとともに、民間事業者とも連携し、本格的に着手していこうとしているが、3点について質問する。1点目は、MaaSに向けての実証実験、民間企業との連携等、その方法や実践について。2点目は、多極分散型ネットワークのまちづくりの考え方と、その目指すべき政策目的は何かについて。3点目は、スマート社会、5G社会にも対応する取り組みにもチャレンジするとのことだが、どのように関連するのか。
答 現在、地方公共交通計画の策定に取り組むとともに、引き続き民間事業者とも連携していく。令和元年度は複数の民間企業と次世代モビリティーサービスに関する協定に基づき、福祉介護や観光、市民生活などの各分野における課題解決に向け連携を図ってきた。実証実験は、安全で環境に優しい新しいモビリティーの実証運行を行ってきた。令和2年度も、より市民に身近で利用しやすいモビリティーサービスのあり方が明らかにできるよう、民間事業者の各分野における専門的な知見をいただき取り組みを進めていく。2点目は、広い市内で市民が住みたい場所に住み、不便なく豊かな生活を送ることができる地域コミュニティーの再構築と、MaaSという概念の移動サービスでつながることで、新たな人流をつくり、行きたいときに行きたいところへ行ける社会の実現を目指す。市民の移動とは、地域経済の活性化にも直結するとの認識で取り組む。3点目は、5Gの普及で家電、車など、あらゆるものがつながる本格的なIoT時代が到来する。本市もこの通信社会の進化に乗り、ローカル5Gなどの導入に積極的に取り組む。これからの先進技術、通信技術を活用して地域の課題解決を図り、市民の安全安心、利便性向上を実現するのがスマート社会の概念だ。society5.0時代に即したまちを目指し、さらには循環社会の構築、再生可能エネルギー、脱炭素化なども含め、持続発展するまちを創造していく。
7件目 「補助金に頼らない地域や住民主体の取り組みについて」
問 施政方針では、「補助金に頼らない地域や市民主体の取り組みが三豊を元気にしてくれる」とあり、民間投資をしてくれるフィールド、魅力をつくっていくことが、豊かさを実感できるまちづくりだともしている。市民自らによって取り組む新しい公共とは、どのような形であり、それをどのように取り組んでいくのかを問う。また、地域ができること、地域が捨てることなど、思い切った決断による行財政運営も必要であるとの考えだが、どのように取り組むのかを問う。
答 ボランティア活動が市内各地域で続けられている一方で、移住してきた人や市内の若者世代が中心となって、クラウドファンディングなどの手法で資金を得る、新たなビジネスへのチャレンジが始まっている。世代を超えた多様で活発な市民活動が外に向けて発信されることで、さらに新たな人や投資を呼び込むきっかけとなっている。可能性を切り開くことのできるまちとしてのポテンシャルをアピールしていく。また、これまで行政が担っていた公共サービスは、地域の住民やNPO、企業等が提供する、地域主体のまちづくりを進めていきたい。2点目は、限られた資源を有効に活用し持続するまちの中で、現在の活動水準を維持発展させるためにも、決断や判断を強いられる場面では、未来を見据えた思考で取り組んでいきたいと考えている。
8件目 「港湾施設の機能強化について」
問 国際港である詫間港について、市民から請願書が提出され、議会において幾度となく協議をしてきた。その中で、県に対して要望するべきことをまとめ、要望書を提出した経緯がある。機能強化を含め県と協議をしていくとしているが、どのように取り組んでいくのかを問う。
答 港湾施設の機能強化は、その前提として詫間港の活性化が必要不可欠だと考える。企業に詫間港を利用してもらうために何が必要か、民間を巻き込むことが重要であり、コンテナー貨物以外で新たな利用方法を考えることが必要だ。様々な活性化方法について企業と香川県とともに協議を進めているところだ。活性化のための方針が決定すれば、国・県とともに協議をしながら、港湾整備に取りかかることも可能と思う。令和2年度は、県と市で設置している詫間港の活性化方策検討会を開催し、幅広く活性化方策について協議、検討をしていく。また、詫間港の耐震強化岸壁の整備、貯木場の有効活用に関しても、県・国との協議を前向きに進めるとともに、接続する県道の整備についても引き続き県に要望していく。
以上で、令和2年第1回定例会における、三豊市議会会派「清風会」の代表質問の報告を終わります。
前回に引き続き研修報告をします。8月23日(金)と24日(土)の2日間は、新潟県立大学で開催された 第11回生活保護問題議員研修会「地方から生活保護行政は変えられる! いのちを守る自治体に」参加しました。
第1日
●基調報告:生活保護の現状と改革の論点~地方は何ができるか 講師=吉永純先生(花園大学)
生活保護行政の運用や裁判の状況は、保護基準の引き下げが、2013年から裁判であらそわれており、2020年春に名古屋地裁で判決の見込みである。生活するに最低限の生活費の根拠が不明であることが本質的問題である。例えば、大学等進学や自動車所有、稼働能力等が個別論点となる。
地方から生活保護を変えることの視点として ①法定受託事務としての自治体の事務の在り方 ②地方議員の活動領域から生活保護を考える という2点がある。①については、首長の姿勢と議会の動向・議員の活動、行政組織の運用、職員集団などで大きな格差が生じる。②については、生活相談や市民と一緒に活動する行政チェック・調査を行うとともに、議会における質問や条例づくり、国への要望・意見書を上げる、首長選挙で変える等がある。
自治体で発生した具体的問題や議員と一緒にやってきた活動事例に基づいた報告によって、生活保護行政の現状と議員としての活動の在り方を再認識することができた報告であった。
●ミニシンポ:地方から、生活保護行政を変えられる! 小久保弁護士をコーディネータとして、新潟県立大学小澤先生による「新潟県における福祉事務所のあり方に関するアンケート調査結果報告に始まり、神奈川県小田原市と大阪府堺市から、活動報告がされた。
小田原市からは、記憶に残る「保護なめんなよジャンパー事件」で巻き起こったどん底からの、生活保護行政の改革と復活の報告をいただいた。堺市からは、若手ケースワーカーからの発案で、保護世帯の実態調査を行うことで、国の制度改善へとつながっていった報告があった。
地方自治体からのいずれの報告も、地方から生活保護行政は変えられることの可能性が伝わってきた。
●特別報告:福祉事務所における自立支援の取り組み 新潟県見附市から取り組み事例報告があった。
自立とは、‟人やサービスに頼りながら上手に生活すること” ‟社会とのつながりを持ち、その人らしい考えや自己決定が尊重されること”だ。自立支援としての関わり方は、寄り添い支えていく伴走的支援を基本的考えとして、就労支援事業を実施することで、意欲喚起としてのボランティア活動、農作業(居場所)を活用した日常生活自立支援から、社会生活自立支援に導いていこうとする取り組みが紹介された。
第2日
●第1分科会:生活保護なんでもQ&A 森弁護士、今井先生(十文字学園女子大学)他
生活保護行政とその運用に携わってきたベテラン講師による基礎講座である。生活保護を正しく理解し、市民の権利を守るために地方議員としてやらなければならないこととして、正しい運用がされているのかや、違法・不適切ではないのかをチェックし、改善・改正されなければならないことの指摘があった。
欧州の先進国といわれる国々との比較において、日本の保護の捕捉率が1/3~1/4程度であり極端に低いことや、生活保護法の基本理念すら現在の生活保護行政は、行われていない現状であることのお話があった。
生活保護制度・生活困窮者自立支援制度に関する議会質問の心得については、カテゴリーが3点ある。 1.制度そのものの課題(生活保護基準額は厚労大臣が決めることとなっている) 2.制度運用の課題(福祉事務所の姿勢・考え方) 3.実施機関における組織体制の課題(1人のケースワーカーの受け持ち担当の過重責任、人員の問題)
議会における質問の切り口が明らかになったように感じた。
「地方から生活保護行政は変えられる!命を守る自治体に」の2日間の研修を通して、地方議員として生活保護の正しい運用に対してできることは何かを考えさせられました。現場では、日々生活保護の適正な運用によって、貧困世帯を支援しようと活動している職員が多くいます。その活動が円滑に推進できるよう、専門職の採用と人員配置・研修制度等の改善に向けて、今回の研修の成果を役立てていかなければならないと考えています。
以上で、3日間の会派の行政視察研修報告を終わります。
三豊市議会会派「清風会」の行政視察研修を、令和元年8月22日(木)~24日(土)の3日間、新潟県三条市と新潟県立大学で実施しました。
8月22日に、三条市役所栄庁舎において、「子ども・若者総合サポートシステムについて」を、23日・24日には新潟県立大学を会場とする、第11回生活保護問題議員研修会『地方から生活保護行政は変えられる! いのちを守る自治体に』に参加しました。
三条市は平成17年に、1市1町1村の3市町村合併により新「三条市」として誕生した。現在人口98000人弱、面積431.97㎢で、三条鍛冶の伝統を受け継ぎ金属加工を中心とする産業集積地である。近年では、伝統の技と最先端技術が調和する金属産業都市となっている。
「子ども・若者総合サポートシステムについて」
特筆すべきは、子育て支援に関する窓口の一本化を、組織機構の見直しにより、平成20年4月から『子育て支援課』を教育委員会に設置したことだ。その目的は、厚生労働省の福祉健康部と文部科学省の教育委員会で窓口が分散していて分かりにくかったことの解消と、就学前から義務教育への切れ目のないかかわりを確実なものとするためだ。
このような教育委員会に置かれた子育て支援の窓口の一本化には、市長の子育て支援に対する強い思いと、それを形にする当時文科省から出向していた教育部長の働きが大きい。
教育委員会『子育て支援課』は、幼児教育、家庭教育、妊婦、子ども医療、母子保健、子ども予防接種、児童福祉を担っており、保健所、幼稚園等の就学前施設の管理運営も担当している。ワンフロアーに義務教育を担当する学校教育課(平成25年度から小中一貫教育推進課となっている)があることで、日常的に連携できる効果は大きい。
【子ども・若者総合サポートシステム~ライフステージに応じた切れ目のない子育て支援~】は、子ども・若者という「三条市民」を、妊娠期から就労に至るまで、切れ目なく総合的に必要な支援と行うため、市がその情報を一元化し、関係機関が連携して個に応じた支援を継続的に行えるようにするシステムだ。発達障がい児、被虐待児、不登校・非行児、引きこもりの若者他支援が必要なもの市民からの情報・相談が、子育て支援課にある『子どもの育ちサポートセンター』に情報が集まるようになっている。関係機関が情報を共有し、代表者会議と実務者会議による検討会議を行っており、必要に応じて個別ケース検討開始も実施している。この一連の活動を「三条市子ども・若者総合サポート会議」として組織化している。
子ども・若者総合サポートシステムからの気づきとして、新たな課題が見つけられた。幼保小の連携において、引き継がれる子どもの中に発達障がいと思われるケースが増えており、保育(幼児教育)段階での早期の対応と継続支援が必要であることから、『三条っ子発達応援事業』が展開されることとなった。この事業の基本的考え方は、子どもの育ちや個性は一人ひとり異なり、発達の凸凹がある子どももおり、早期に子どもの育ちや個性に気付きそれぞれにあった支援がされ、意欲の向上により自信が持てることで、学校・社会に適応できるように導くことである。
事業の概要は、0歳児~義務教育終了までの子どもが、持てる力を十分発揮しながら成長することを目的として、保護者・保育所(園)・幼稚園・小学校・関係機関・行政が連携し、継続的に子どもの育ちを応援するというものだ。その内容は、気づき事業、相談事業、支援事業の3つを総合的に実施するために、気づき事業として「年中児発達参観」で子どもの様子を発達応援チームと保護者が共に確認し、相談事業や支援事業につなげることで、『早期療育事業』である【児童発達支援事業所(子ども発達ルーム:市直営)】において日常生活に導くことに取り組んでいる。
三条市の発達支援体系は、気づき~相談~支援のつながりが、子どもの育ちに対しその子に関わる全ての支援者が連携できる仕組みを構築しており、三豊市にも取り入れることの多いことに気付いた、有意義な研修であった。
総務常任委員会行政視察研修の最終日に訪問した、4件目の視察先である (株)つくばウエルネスリサーチ における『先端技術を用いた事業展開について』の報告をします。
(株)つくばウエルネスリサーチは、筑波大学大学院 人間総合科学研究科 スポーツ医学専攻の教授である久野先生が経営する、大学発ベンチャー企業である。つくばエクスプレスの柏の葉キャンパス駅前にあるKOIL(かしわ オープン イノベーション ラボ)に研究拠点を置き、筑波大学の研究成果を活用し「科学的根拠に基づく健康づくり」を基本目的として、「日本全国を元気にする!」をミッションとしている。『先端技術を用いた事業展開について』を研修テーマとして、‟健康政策に対する学術機関との連携” と ‟自治体向け事業” の説明を受けた。
ITやAIなど、世の中に新しい技術が生まれると、すべて解決できると勘違いする。これらは万能ではなく一つのメソッド(方法や手段)でしかない。健康政策でAIを研究している理由は、自治体における現在の健康政策が弱いからだ。これまで職員数を削減してきたが行政サービスの仕事は増える一方だ。多忙となった現職員は、政治課題のエビデンス(根拠)を読み込む力が弱くなり、課題解決に向かっていない。このような現状の中で、政策を立案・分析するための補完としてAIがある。しかし、AIにはブラックボックスとホワイトボックスがあり、頼りすぎると危険だ。AIはメソッドだから、どのように使うのかが課題だ。
健康政策は、人それぞれ個々のデータが多様で膨大過ぎるため解決しきれない。データは現象であって原因ではない。その人のライフスタイルが分からないと対処法がうてないので、データベースを集めるための設計で、政策の成否が決まる。だからこそ、現場を知る職員とAI技術者とのマッチングが重要だ。
(株)つくばウエルネスリサーチは、これからの超高齢社会にあって、自治体が抱える健康や社会保障の課題解決のために、「健幸都市づくり」を推進している。【健幸都市】の考え方は、多くの住民が ‟健幸” になれるためのまちづくりであり、『歩いて暮らせるまち(ウオーカブル シティ)』をつくることである。そのために
1.市民が、便利さだけを追求しすぎない生活に変えること
2.変えるために市民へのヘルスリテラシー(健康に対する理解)を高めること
3.それを自然と行うための環境をつくること ①社会参加(外出)できる場づくり ②賑わいづくり ③快適な歩行空間整備 ④車依存から脱却するための公共交通の再整備
を進めることだ。
今取り組んでいることは、健康無関心層対策だ。戦略は3つあり ➊無関心層を動かすインセンティブの開発 ❷無関心のまま健康にできるまちづくり ❸無関心層にも健康情報が届くインフルエンサーの育成 である。この戦略を軸にして、自治体が「健幸都市づくり」を進める上での課題を特定し、その対策の立案、施策、成果を生み出すための作業を強力にサポートする 〔健幸クラウドAIシステム〕 を開発した。
インセンティブシステム開発の具体事例として、無関心層の行動変容を促すために運用された、6市連携健幸ポイントプロジェクトがある。6市で12,000人が参加し実証し、成果が出ている。
インフルエンサーの養成は、「健幸アンバサダーは心に情報を届ける伝道師」と位置づけ、既存の資格者とも連携し大切な人への口コミによる伝道を行う。
自治体が「健幸都市づくり」を推進するには、SIB(ソーシャル・インパクト・ボンド、成果連動)が有効だ。5市町による飛び地型大規模ヘルスケアプロジェクトの実践が始まっている。広域連携によるSIBのメリットは ●ICT活用で広域連携が可能になり、事業規模が大きくなり、一人当たりのシステム利用料の低減が可能 ●複数の自治体連携によりコストを按分できる ●自治体間で成果・課題を共有することで施策の横展開が期待できる ●広域連携の先駆的モデルとして、地方創生推進交付金を受けやすい がある。
先端技術を用いた学術機関との連携による自治体の業務は、今後とも増加していくものと思います。いかなる先端技術が開発され進化したとしても、その利活用の方法の方向性を決定するのは、政治・行政にかかわる現場の人であることには変わりありません。久野先生が一番最初に話した、先端技術は「目的ではなく手段でしかない」との言葉が、深く心に響いています。SIBによる「健幸都市づくり」の着手は、『歩いて暮らせるまち(ウオーカブルシティ)三豊』という近未来都市づくりへの一歩であると確信した、ワクワク感いっぱいの研修でした。
以上で、令和元年度 三豊市議会総務常任委員会行政視察研修 報告を終わります。
【防災】 外囿災害対策官(防災訓練に向けた災害防災行政)
南海トラフ地震は、今後30年間でM8~9の地震が70~80%の確率で発生すると予測され、死者32万人、経済被害220兆円と想定される。
災害対策として耐震化を推進することによる、全壊建物棟数減の効果は大きい。現在の耐震化率79%で627,000棟が倒壊する言われており、90%で361,000棟の4割減、95%で240,000棟で6割減と推定される。また、津波による死者数は、約108,000人~約224,000人といわれているが、避難の迅速化や津波避難ビルにより約8,000人~52,000人となり最大で9割減となると推定される。
近年は、新たな気象状況で雨の降り方が「局地化」・「集中化」・「激甚化」しており、自然災害が多様化している。
市町村における防災対応の3原則は ①疑わしきときは行動せよ ②最悪事態を想定して行動せよ ③空振りは許されるが、見逃しは許されない である。対応を誤れば、住民の被害が拡大する。
地方公共団体における防災対応の検討として2点ある。 ●住民一人ひとりが防災対応を検討・実施するように、必要な情報提供を行ない検討を促すことが必要 ●住民一人ひとりが日常の中で地震への備えの再確認が基本となるが、津波避難に間に合わない地域等の避難のあり方や避難所の確保を検討する必要 である。
今後の水害・土砂災害からの非難に対する基本姿勢として目指す社会は、住民は「自らの命は自らが守る」意識を持ち、行政は住民が適切な避難行動をとれるよう全力で支援することだ。このような社会を実現するための戦略は3つある。 ①災害リスクのある全ての地域であらゆる世代の住民に普及啓発 ②全国で専門家による支援体制を整備 ③住民の行動を支援する防災情報を提供 である。これを実践するための方策がある。『学校における防災教育・避難訓練』や『住民が主体となった地域の避難所に関する取り組み強化』、『防災士と福祉の連携による高齢者の避難行動に対する理解促進』、『マルチハザードのリスク認識』、『住民主体の避難行動等を支援する防災情報の提供(警戒レベル1~5の理解等)』である。
市町村長が行うべき災害応急対策は、災害対策基本法により迅速かつ的確に行う責務がある。そのため、市町村長は自らが参加した全庁的な防災訓練の実施、庁舎の耐震化、防災情報システムの整備などを行い、災害時に備え万全を期す必要がある。
大規模災害時における業務継続計画は、行政が被災した中にあっても災害対応等の業務を適切に行うために必要だ。業務継続計画の重要な6要素がある。 ⑴首長不在時の明確な代行順位及び職員の参集体制 ⑵本庁舎が使用できなくなった場合の代替庁舎の特定 ⑶電気、水、食料等の確保 ⑷災害時にもつながりやすい多様な通信手段の確保 ⑸重要な行政データのバックアップ ⑹非常時優先業務の整理 である。
防災拠点となる公共施設等の耐震化の支援として、「緊急防災・減災事業債」や「公共施設等適正管理推進事業債」を、R2年度まで延長している。
終わりに、指定緊急避難場所と指定避難所の適切な指定の他、避難行動要支援者の避難行動支援に関する取り組みの指針などの説明があった。
総務省という国家運営の中枢にあり、全国の防災政策を取り仕切る担当者2名からのお話は、災害防災行政全般に渡るとともに、具体的な防災対策への意識向上と防災訓練の見直しの手掛かりとなります。三豊市の防災災害対策計画と備えを再チェックし、実効性のある防災対応とするべく、更に充実していかなくてはならないことを気付いた、意味深い研修となりました。
以上で、報告・3【防災】 の報告を終わります。