少年育成指導者セミナー

香川県教育委員会と県少年団体協議会が主催する、平成22年度少年教育指導者セミナーが、6月20日(日)に、高松市国分寺町にある 「香川県青年センター」 で行われました。
主催者の一方である県少年団体協議会とは、『子ども会』 『ボーイスカウト』 『ガールスカウト』 『宇宙少年団』 『スポーツ少年団』 を構成団体としています。
私は、子ども会育成連絡協議会理事としてこの研修に参加し、「支援を要する子どもたちの現状と指導者としての心構え」 と題した、元県教育委員会特別支援教育課主任指導主事で、現善通寺市立東中学校教諭の佐藤宏一先生の講話を聴く機会に恵まれました。
支援の要する子どもたちの中で、発達障害の子どもたちに対する指導者とは、どうあればよいのかというお話でした。
これまで何度か色々な機会で、発達障害の子どもに対する指導について、講義を受けたことがありましたが、今回のお話は基礎的な部分から入って、実際に学校の現場で接する実践の中から気づいた言葉で語られ、腑に落ちるものでした。
1990年代から学級崩壊の原因に、発達障害があると教育者の中で言われ始めてきまた。
発達障害とは、私たちが当たり前だと思っていることが、当たり前にできない子どもがおり、他の子どもたちと大きく変わったところはないが、得意不得意の差が大きかったり、少し変わっていると思える部分があることだ。
発達障害の原因は、ハッキリとは解明されていない。
遺伝子的要素や妊娠・出産時・出産後のごく早期の何らかの障害のために、脳の一部に障害が生じたものと考えられる。
それは、育て方や愛情不足が原因ではない。
ただし、育てにくさから不適切な養育をしてしまうことがある。
発達障害を知る意味とは、発達障害の知識や指導技術を学ぶことで、適切な理解をするためだ。
それによって 「親の躾ができていない」 「生活環境が悪い」 「本人の努力不足、怠け」 「変わり者」 「頭が悪い」 等の子どもの成長を閉ざす要因を排除して、正しい理解と支援につなげて成長させることである。
発達障害を学び指導に活かす目的は、発達障害を理解する指導者による適切な指導ができることによって、二次的障害を発生させないためにある。
支援者としての存在価値とは何か。
子どもは支援者を的確に見極め、判断している。
助け、模範、指示、愛情、理解 等の何を求めているのか。
発達障害を知ることと知らないことでは、指導に大きな違いが生まれ、子どもの成長に取り返しのつかない結果をもたらすのだ。
知らないことによって適切な指導ができず、子どもの成長を閉ざしてしまうことの責任は重大です。
発達障害を持つ子どもの存在を知り、それを認識する指導者の必要性を再認識した研修でした。

議会広報委員会

私が委員長を務める三豊市議会の広報委員会が、今年度に入り、議会広報誌の編集方法と広報のあり方についての協議のために、何回か開催されています。
本年度から、議会広報誌は従来の毎月発行から、定例会ごとの議会広報に重点を置いた、年4回に変更することとしました。
発行回数を減らすことで確保できる時間は、市民の皆さんが利用しやすいインターネットによる議会中系システムや、より充実した議会広報誌づくりのための、研究と検討に多く充てるためです。
インターネットによる議会中系システムは、三豊市議会ではすでに代表質問と一般質問に限ってライブ(LIVE)配信を行っていますが、市民からの録画(VOD)配信の要望に応えるため、実現したいと考えています。
議会改革の重要な要素の一つである情報公開に向け、来年度からの実施を目指して予算確保のために詳細な研究を進めているところです。
市民の皆さんに、三豊市議会のありのままをお伝えするために、そして、開かれた議会に少しでも近づけるために、三豊市議会広報委員長として先頭に立って取り組んでゆきます。

菜種の収穫

前回お知らせしたように、6月定例会の私の一般質問に、 「市民力によるバイオマスタウン事業の支援策について」 があります。
バイオマスタウンとなった三豊市にとって、市民力によって活動が推進されてきた循環型社会構築に対して、どのように関わり支援するのかは、以前に増して重要なこととなるに違いありません。
名ばかりの “バイオマスタウン” に終わらせないために、今回の質問項目に入れることとしたのです。
4年前の平成18年秋の種まきに始まった 『三豊菜の花プロジェクト』 は、着実に実績を重ね、平成22年の今年は栽培地1ヘクタール、収穫2トン、搾油500リットルを目標とするまでに育ってきました。
今年最初の収穫のことが先日の四国新聞で報道されていたように、今、菜種の収穫の最盛期となっています。
今週は天気を見ながらの2回目の収穫を予定しています。
ヤンマーさんの協力で手配していただいた汎用コンバイン(菜種用キット付き)で、我が家と周辺の協力者の菜種が収穫されることとなります。
今欲しい、今必要だと思うときに間に合うように、ずっと前から種まきはしとかないと願いは叶わないのは何事も同じなのだと、当たり前のことを思っています。
もう一押しです。 

6月議会 一般質問通告

3月定例会が閉会して2ヶ月が過ぎ、早くも6月議会開会の14日(月)を目前にしています。
3月議会では、三豊市民クラブとして代表質問をしましたが、今回の質問は一議員としての一般質問をします。
いつものことながら、質問の課題やその切り口を考えるのは、(いつもイッパイイッパイの)私にとってはかなりきついことです。
しかし、質問の通告をすることで、逃げられない状況に自らを置くことで、新たな闘争心が生まれていることを感じているのも事実です。
決して逃げず、自分を追い込むことが成長につながり、よりよい市民生活を確立してゆくのだと、言い聞かせながら今回も向かってゆきます。
今回は、2件通告しました。
1件目
【件名】
市民力によるバイオマスタウン事業の支援策について
【要旨】
市民力による活動によって、バイオマスタウン事業が市内に芽生えており、実績を重ねている。
農業者だけでなく、農地を保全するバイオマス推進市民団体に対する、市独自の支援制度の創設を問う。
具体的事業として、菜の花栽培によるカーボンニュートラルの循環型社会の構築を目指す活動がある。
菜種の採種作業工程が、作付け面積拡大の主たる障害となっている。
香川県内唯一のバイオマスタウンの認定を受けた当市として、耕作放棄地・遊休農地の利活用によって、 『循環型社会 三豊』 を目指す市民力の活動に対する支援策について問う。
2件目
【件名】
医師確保のための奨学金制度について
【要旨】
三観地域における医師不足は深刻であることは、これまでにも問題として指摘されている。
市立病院に置いても小児科・産婦人科が設置されていない。
当市出身の医師を志す若者で、優秀であるにもかかわらず、経済的要因で医学部進学を断念せざるを得ない者を対象とした、奨学金制度の創設の考えを問う。
通告受付順は6番目で、一般質問初日の17日(木)の最後の出番となります。
これから質問原稿をつくります。

民生常任委員会 「ごみ処理について」

平成22年度から、三豊市議会の常任委員会所管構成が変更されていることは、以前にもこの場で報告しています。
本年度からの民生常任委員会(前・教育民生常任委員会)は、市民部と健康福祉部の関係を審議対象としています。
5月28日(金)に開会された当常任委員会は、2月に 「ごみ処理技術検討委員会」 より市長へ提出された答申書に関する協議が行われました。
「ごみ処理技術検討委員会」 の答申した技術・方式は、生ごみを処理するための 【バイオガス化】 施設となっており、すでにその内容は2月19日のこの場でお知らせしています。
昨年末から今年にかけて行われた、市長及び市議会議員選挙があり多少の時間経過はあったとはいえ、 「ごみ処理技術検討委員会」 が設置された平成20年7月30日から、すでに2年近くが経過しており、この間、議会での本格的な議論はされていないに等しい状態でした。
答申書が市長へ提出されてからも3ヶ月近く経ちますが、今回の民生常任委員会への市からの提案が、議会に対する初めての正式提案となります。
この2年近くの間、議会としても三観クリーンセンターの使用期限の問題もあり、ただ安閑としていたわけではなく、しばしば、複数の議員より市長に対して、 “ごみ処理施設” の考えについて代表・一般質問等で答弁を求めてきました。
その都度、 「ごみ処理技術検討委員会で検討をお願いしているところだ。答申が出てから議会に報告し相談したい。」 とのことでした。
議会におけるごみ処理に関する調査は、市からの断片的な報告があった他は、議員個々の調査活動として行われてきましたが、議会としての正式な会議は休止状態であったのが実状でした。
市民の動きとしては、観音寺市との共同処理ろ求める請願が出され、当時の教育民生常任委員会で審査され採択されています。
また、環境市民会議では、ごみ分別回収方法や環境活動に関する、市民の生の声や意見が集約されており、市民力によるごみ減量化の取り組みの意欲が鮮明に示されてきました。
以上のような経緯の中、この日の民生常任委員会の協議内容は、答申で提案された 【バイオガス化】 施設の建設場所選定調査費の執行の了解を求めるものでした。
場所選定調査費 7,875千円 は、当委員会での平成22年度当初予算審議で、議会では “ごみ処理施設” 建設についてはほとんど審議していない状況での予算提案であったために、この執行にあっては当委員会にその都度報告し、了解を得てから行うこととの条件で承認していたからです。
協議の結果、市民からの請願や環境市民会議などの市民の意見や要望を尊重した、三豊市にとって最適なごみ処理施設とするために、議会としての独自の検討・調査を行うための資料として、 『各方式の比較データ』 作成業務に限って、コンサルタント業者への発注を認めることとしました。
『各方式の比較データ』 ができ次第、民生常任委員会において協議することとしています。

会派研修報告 (5)

3日間の三豊市民クラブ会派研修の最終日に、衆議院議員会館で 「バイオマスをめぐる情勢」 と 「平成22年度 地域バイオマス利活用交付金について」 の説明を農林水産省よりうけました。
本年、三豊市は 「バイオマスタウン」 の認定を受け、竹を資源とした事業を展開する計画で、交付金制度の適用をうけることとなっています。
より効果的な運用のためにも、私たち議員も 「バイオマスタウン」 に対する情報と理解が必要で、今回の研修は、良い機会となりました。
「バイオマスタウン」 とは、
① 動植物の有機物資源で、化石資源を除くもの。
② 動植物が太陽エネルギーを使って産み出すもので、生命と太陽がある限り、再生可能な資源。
③ 大気中の二酸化炭素を吸収し、カーボンニュートラルな資源。
と定義できる。
バイオマスの種類には、大きく分けて3つある。
1) 廃棄物系バイオマス:家畜排泄物、食品廃棄物、下水汚泥、木廃材等
2) 未利用バイオマス:稲わら・もみ殻、麦わら、間伐材等
3) 資源作物:糖質資源(さとうきび・てん菜等)、でんぷん資源(コメ・トウモロコシ等)、油脂資源(菜種・大豆等)
である。
バイオマスの特性として、これまでの化石資源の非循環型に対し、持続可能な循環型社会の構築ができ、二酸化炭素を増加させないことによる、地球温暖化防止につながる。
日本の、2008年の調査によるバイオマス利用率は、廃棄物系バイオマスの内、食品廃棄物の利用率が約25%で、未利用が75%と大きく、特に家庭系生ごみの未利用率の割合が大きい。
また、未利用バイオマスは、食用でない農作物の未利用率が約70%であり、林地残材にあってはほとんど未利用の結果となっている。
なぜ国産バイオマス燃料の生産拡大が必要なのか。
『食料・農業』 『環境』 『エネルギー』 の3つの面の利点があるからだ。
『食料・農業』は、資源作物を手がけることで耕作放棄地が耕作地となり、農業の国際競争力が強化され、食糧供給力向上によって、食料安全保障が見込める。
そして、新産業の創出で雇用の受け皿となり、地方活性化が期待できる。
『環境』は、未利用バイオマスと廃棄物系バイオマスの活用による循環型社会が形成され、カーボンニュートラルの特性によって、地球環境保全に貢献できる。
『エネルギー』は、原油価格変動に影響されることなくエネルギーを安定確保でき、エネルギー安全保障を確保できる。
バイオマス・ニッポン総合戦略は、平成14年に閣議決定され、さらに平成18年に 「バイオマスタウン構築の加速化」 と 「バイオ燃料の利用促進」 の観点から見直され現在に至っている。
全国に300地区を目標に、バイオマスタウンを広めてゆこうとしている。
これまでの取り組みとして、ブランド化による地域おこしが実績を上げている。
竹を資源としたバイオマスタウンの取り組みはいくつかあるが、これといった実績はまだないので、三豊市の取り組みに期待している。
三豊市では、荒廃竹林から切り出された竹を資源として、事業化を進めています。
本年度は、「地域バイオマス利活用交付金(ソフト事業)」 で、21,000千円の内10,000千円の交付が決定しています。
竹を資源とする取り組みは困難が予想されます。
しかし、当市にに群生する孟宗竹の高い水分含有率を、デメリットとするのか、それともメリットととらえるのかは私たちの見方によります。
説明の終盤に、宮津市や諫早市で取り組んでいる新技術の 【農林バイオマス3号機】 の紹介がありました。
外部から加熱し、無酸素下でバイオマスと水蒸気を化学反応させる方法で、“浮遊外熱式ガス化法”という技術です。
従来のバイオマス発電方式の10~20%より、発電効率が30~40%と高いといいます。
水分含有率の高い孟宗竹の素材力を活かすことが可能ではないかと感じています。
実験機は、本年度稼働するとのことで、情報収集をしてゆきたいと考えています。
5回にわたる会派研修報告は、今回で終わります。
研修時点で気付かなかったことや、忘れていたことを思い返すためにも、いただいた資料の復習は欠かせません。
今回の研修で学んだことを、日々の議員活動と施策に活かさなければならないと思っています。
貴重な経験となった、内容の濃い3日間の研修でした。

会派研修報告 (4)

4回目の会派研修報告は、「日本自治創造学会 研究大会」 の2日目に行われた分科会です。
3分科会が設けられていて、私は 『政策立案と開かれた議会づくり』 に登録し研修を行いました。
東京大学教授の金井利之氏をコーディネーターとして、三重県議会議長の三谷哲夫氏と全国市議会議長会法制参事の廣瀬和彦氏から、事例報告がありました。
三谷氏からは、 「三重県議会における議会改革」 と題して、5つの点からの取り組みについてお話をいただきました。
1. 開かれた議会運営の実現
(1) 住民にわかりやすい議会運営の推進
すべての会議を公開する。議長・副議長の選出は5名の推薦による立候補制で、公開され選挙で行われる。(任期は議長2年、副議長1年)
(2) 住民が参加しやすい議会運営の推進
傍聴は制約はない。会期の制約はなく年間230日以上の会期日数となっている。参考人招致が行われ活発である。委員会資料を事前に公開している。
2. 住民本位の政策決定と政策監視・評価の推進
(1) 議決機関としての政策決定の推進
(2) 住民代表としての政策の監視・評価の推進
3. 独自の政策提言と政策立案の強化
<平成18年に議会基本条例を制定>
(1) 付属機関の設置
議会改革委員会を条例で定める。
(2) 調査機関の設置
専門家を加えた財政問題調査会。
(3) 検討会
議員が中心でおこなう条例検証検討委員会。
(4) 政策討論会議
執行部案と議会案による討論会議。
4. 分権時代を切り開く交流・連携の推進
(1) 他府県との連携
(2) 市町との連携
5. 事務局による議会サポート体制の充実
(1) 専門的人材の充実と活用など
法制専門担当としてインターン生の活用を考える。
政治家に対する信用の収縮への対策として、議会基本条例がある。
二元代表制の一方としての議会の役割と機能を発揮するために、議会基本条例を制定するなどして、議会が一枚岩となって、監視と決定力を確かなものとしなくてはならない。
続いて、廣瀬氏からは 「地方議会が取り組む様々な改革とその意義 “議会自身の議会改革” 」 と題して、議会改革を進める中での、議会基本条例の意味するところの説明が、4点の切り口からされました。
議会基本条例は、議会と市民との意識の乖離を埋めるものとしてあるが、必ずしもそれが無ければ改革できないというものではなく、議会改革を推進するための一つの手段である。
たとえば、未制定だが議会の主体性で改革が進められる、取手市議会の事例があることをお伝えしておく。
議会基本条例に記される主な点について述べる。
1. 反問権
執行部が議員に対し質問する反問権または質問権は、法律上規定がない。
そもそも質問権は、議会の執行機関に対する監視権に由来するもので、議会は執行権を与えられていないので、執行側からの反問権は成り立たない。
一方、反問権の必要性も、議会改革のいくつかの視点からいわれている。
2. 議会報告会
議会としての広報広聴活動が必要である。
首長が広報広聴活動を積極的に行っている状況に対して、議会の活動は不足している。
3. 決算審議の活用
事業評価シートによる決算審議方法や、会派ごとに行う事業仕分けの方法がある。
4. 定数について
法廷上限撤廃の方向にある。
定数を考えるに当たっての要件は、①議会の能率的な運営 ②多数の住民が推す優れた人材の選出 ③自治体の組織全体に相応しい規模、を考える必要がある。
また、留意点としては、①定数増減による市財政への影響 ②定数改正にかかる監視機能への影響 ③地域と住民の意見集約の可能性 の3つである。
地方議員の皆さんが、議会基本条例を制定するに当たり、少しでも参考になれば幸いだ。
“議会自身の議会改革” に向けて、議会事務局の機能強化が求められていると考えている。
最後に、金井氏の言葉を記し、4回に渡った報告のまとめとします。
「国に運営できないから地方に分権しようとするのに、それをしようとする国に分権する力がない。だから地域主権改革が必要なのだ。」
「地方分権されれば地方はいかに良くなるのかを、地方議員は語れなくてはならない。首長を目指す気概を持って勉強する地方議員であって欲しい。なぜなら、地方議員は地域全体の責任を負っているのだから。」
平成22年5月17日(月)・18日(火)の2日間の 「第1回 2010年度 日本自治創造学会 研究大会 “日本の再生・地方自治の創造~地方からの挑戦~”」 の報告を終わります。
次回の会派研修報告は、3日目の19日(水)におこなったバイオマスタウンについての研修報告をします。 

会派研修報告 (3)

3回目になりますが、会派研究報告をします。
③ 17日(月)の初日の講演で3人目に登場したのが、東京大学教授の御厨貴氏です。
「日本政治の課題と展望~何が問われているか」 の演題で行われました。
日本の現状の政治を歴史の中で見れば、どのように見えるのかを話したい。
日本では近代において、過去大きな変革が2回あった。
一つは明治維新であり、もう一つは戦後の占領改革だ。
明治維新は、先ず 「廃藩置県」 を断行した。
藩主たち、にとっては天地がひっくり返るような大事であったが、なぜ可能だったのか。
薩長の軍事力が背景にあってこそのことだった。
それでも、形になるまで4年くらいの期間はかかった。
戦後占領改革は、吉田内閣の安定多数確保が大きな力となってできあがった。
この時も、おおよし4年位は必要だった。
歴史から見れば、2009年の民主党による政権交代から始まった現状の政治改革は、2013年に行われるであろう衆参同時選挙で決着するであろう。
現政権の問題点の話をする。
民主党・鳩山政権は、判断がぶれることがよく分かるはどに政策決定プロセスは明快だが、鳩山首相は、政治家の命でもある言葉が軽い。
これが原因で何が起こっているのかというと、国民の政治に対する不信感の増大、官僚の政権に対する “戸惑い” “失望” “あきらめ” だ。
民主党は政策も政局も決められない。
これを打開するには、党内のとことんの政権闘争より他になく、それをすることでエネルギーが収斂され、決定力が根付くのだ。
戦後、日本の政権政党であった自民党の底流にあったものは、戦後からの脱却であった。
いくつかの政権がそれを狙ったが、それは達成されてこなかった。
皮肉にも、2009年の衆院選の大敗によって自民党政権が崩壊したことで、結果として消極的な戦後政治からの脱却、となったのではないかと見える。
東大で、学生たちと接している中で感じることがある。
今の若者の考え方として、 「こんな国にしたのは大人のあなた達のせいだ。自分たちの責任でもなく問題でもない。」 との風潮がある。
それは、歴史を教えられていない結果として表れているように思える。
今の若者は、学校教育でも教えられていないから、戦後の歴史を知らない。
だから、日本は “危ない”。
地方分権し、地域主権改革が進められる中、ここに集まった地方議員の皆さんは、地方自治を担う責任として、歴史を学ぶことの重要さを再認識して欲しい。
簡単にまとめましたが、示唆に富むお話の数々でした。
渦中では気づかず見落としてしまいそうなことを、歴史を知ることでその大河の一部分として客観視することができるのです。
この立ち位置によって、不確かな将来の予測が可能となるのだという、政治活動と政策決定の原点に気づいた講演でした。

会派研修報告 (2)

今回も、会派研修報告をします。
② 講演の2件目は、逢坂誠二氏からの 『わが国の地域主権改革~そのシナリオと課題』 についてです。
現在、地方分権、地域活性化及び地方行政担当の首相補佐官として、「中央集権」から「地域主権」への制度整備に取り組んでいます。
「中央集権」から「地域主権」へと地域主権改革を進めている。
現状の「中央集権」は、国を頂点として県から市町村へと、おこぼれのようにカネが落とされている。
国からの富の配分に依存するピラミッド型で、変化に弱い。
そこで、この改革で目指す「地域主権」は、多様な特色を有する市町村が、それぞれの特性を活かし互いに刺激しあい活性化へと向かうもので、ジグソーパズルのピースのような自治体がつながり会って、泉のようにエネルギーが湧き上がる形だ。
自治体が常に独自性で変化するアメーバー型で、変化に強く創富力アップが期待できる。
もう一つの柱は 「緑の分権改革」 だ。
制度や仕組み、カネは縦の流れだが、この改革は地域という面的な発想の転換を目指すものだ。
こっれまでは、地域から人やモノ、カネが中央へ集中していく形だったが、地域の自由度を高め人材や資源、資金が地域内循環するような形を作ってゆきたい。
地域に活力をもたらすのは、自分たちが自分たちの地域をどうしたいのかを、自治体の首長や議員が思いを巡らせる構想力が大切だ。
著名な政治学者の言葉に、「身近な自治を行うことができると、国家全体の民主主義を高めてゆく可能性が生まれる」 や、「自治は民主主義の学校だ(民主主義の源泉は自治だ)」 がある。
国民主権を実現するために住民主権があり、地域主権改革がある。
地域主権改革を、地域主権戦略の工程表に沿って進めてゆく。
地域主権改革が、日本を再生するという信念に貫かれた講演でした。
 

会派研修報告 (1)

三豊市議会の第一会派 「三豊市民クラブ」 は、5月17日(月)から19日(水)までの3日間、東京都内に会派研修に行って来ました。
17日と18日の両日は、田町のホテルを会場として開催された 「第一回2010年度 日本創造学会 研究大会 “日本の再生・地方自治の創造~地方からの挑戦~」 に参加しました。
19日は、衆議院議員会館において、農林水産省から 「バイオマスをめぐる情勢」 及び 「平成22年度 地域バイオマス利活用交付金について」 の説明を受けました。
日本創造学会 研究大会は、地域主権時代に相応しい地方自治のあり方を探究するために、全国の地方議員を対象に、その資質の向上と地方議会の課せられた担うべき役割を再確認するために企画されたものです。
地域主権をかかげて政権交代が現実のものとなり、地方自治とは何か、真に機能する議会とはどうあるべきなのかが、にわかに問われています。
このような問題認識の下、1日目は講演、2日目は事例発表分科会が設けられていました。
講演は3件あり、
① 中央大学教授で、当学会会長である佐々木信夫氏による 『地域主権国家と地方自治の展望』 
② 衆議院議員で、前ニセコ町長逢坂誠二氏による 『わが国の地域主権改革~そのシナリオと課題』
③ 東京大学教授で、政治対談番組でおなじみの御厨貴氏による 『日本政治の課題と展望~何が問われているか』
でした。
① 佐々木信夫氏からは、当学会の設立目的と、日本の政治システムが大転換する中で地方議会の役割の重大さを指摘するお話でした。
【設立目的】
・ 公選で選ばれた人たち(議員)が、知的な政策を磨く場が、これまでなかった。エリートという言葉の意味は、日本で使われる意味と異なり、本来は公選で選ばれた人のことをいう。エリートがエリートとして働く国にしなければならない。
・ 古くから 「農学栄えて農業滅びる」 「経済学栄えて経済滅びる」 そして 「政治学栄えて政治滅びる」 などといわれるが、実務に携わる議員とアカデミズムが情報共有し、機能し会う場(学会)をつくる必要があるからだ。
【地方議会の役割】
・ 地域主権改革とは、身近な政府(地方自治体・地方政府)の自治権を確立し、市民の意思で政策やカネの使い道をコントロールすることは、自己決定・自己責任・自己負担が大前提となる。そこでは、当然にして議会の役割はこれまでと比較にならないくらい重要である。
・ 国から地方へと権限が移されることで、地方議会の活動がより重視される地方自治が進められる。地域主権国家では、地方議会は政策官庁の役割を果たさなければならない。
・ 地方議会は、チェック機関から立法機関へと変容してゆく。議会をどう変えるかは、次の5つが考えられる。 『立法・政策能力の向上』 『議会の自立性の確立』 『議会スタッフの充実』 『監視統制機能の強化』 『開かれた議会づくり』 などだ。
・ すぐやれる改革として、8つある。 『会期制限の撤廃』 『定数の独自設定』 『政務調査費の活用』 『政策スタッフ』 『議員の執務室』 『政策グループ議員で条例提案のススメ』 『予算研究会の創設』 『広域圏で議会連携』 などだ。
・ 議会改革の切り札として、 “議会法制局の共同設置” と “議会基本条例の標準装備” が考えられる。
公選で選ばれた地方議員には本当のエリートとなり、地方主権時代に地方政府でこの機能する、立法機関に相応しい議員となって欲しい。
地方議員としての資質向上に、当学会を十分に活用いただきたい。
講演を聴講した感想として、
地域主権改革は、地方議会を構成する議員の力量向上に取り組もうとする、議員個々の意識改革であると思います。
私自身の力量の向上はもちろんのこと、当学会での学びを指針として、三豊市議会改革を進めてゆくことを、会派としてできるところから直ちに着手しなくてはならないと、決意を促された講演でした。
次回も引き続き会派研修報告をします。