令和元年度 総務常任委員会行政視察研修 報告・3【防災】

【防災】 外囿災害対策官(防災訓練に向けた災害防災行政)

南海トラフ地震は、今後30年間でM8~9の地震が70~80%の確率で発生すると予測され、死者32万人、経済被害220兆円と想定される。

災害対策として耐震化を推進することによる、全壊建物棟数減の効果は大きい。現在の耐震化率79%で627,000棟が倒壊する言われており、90%で361,000棟の4割減、95%で240,000棟で6割減と推定される。また、津波による死者数は、約108,000人~約224,000人といわれているが、避難の迅速化や津波避難ビルにより約8,000人~52,000人となり最大で9割減となると推定される。

近年は、新たな気象状況で雨の降り方が「局地化」・「集中化」・「激甚化」しており、自然災害が多様化している。

市町村における防災対応の3原則は ①疑わしきときは行動せよ ②最悪事態を想定して行動せよ ③空振りは許されるが、見逃しは許されない である。対応を誤れば、住民の被害が拡大する。

地方公共団体における防災対応の検討として2点ある。 ●住民一人ひとりが防災対応を検討・実施するように、必要な情報提供を行ない検討を促すことが必要 ●住民一人ひとりが日常の中で地震への備えの再確認が基本となるが、津波避難に間に合わない地域等の避難のあり方や避難所の確保を検討する必要 である。

今後の水害・土砂災害からの非難に対する基本姿勢として目指す社会は、住民は「自らの命は自らが守る」意識を持ち、行政は住民が適切な避難行動をとれるよう全力で支援することだ。このような社会を実現するための戦略は3つある。 ①災害リスクのある全ての地域であらゆる世代の住民に普及啓発 ②全国で専門家による支援体制を整備 ③住民の行動を支援する防災情報を提供 である。これを実践するための方策がある。『学校における防災教育・避難訓練』や『住民が主体となった地域の避難所に関する取り組み強化』、『防災士と福祉の連携による高齢者の避難行動に対する理解促進』、『マルチハザードのリスク認識』、『住民主体の避難行動等を支援する防災情報の提供(警戒レベル1~5の理解等)』である。

市町村長が行うべき災害応急対策は、災害対策基本法により迅速かつ的確に行う責務がある。そのため、市町村長は自らが参加した全庁的な防災訓練の実施、庁舎の耐震化、防災情報システムの整備などを行い、災害時に備え万全を期す必要がある。

大規模災害時における業務継続計画は、行政が被災した中にあっても災害対応等の業務を適切に行うために必要だ。業務継続計画の重要な6要素がある。 ⑴首長不在時の明確な代行順位及び職員の参集体制 ⑵本庁舎が使用できなくなった場合の代替庁舎の特定 ⑶電気、水、食料等の確保 ⑷災害時にもつながりやすい多様な通信手段の確保 ⑸重要な行政データのバックアップ ⑹非常時優先業務の整理 である。

防災拠点となる公共施設等の耐震化の支援として、「緊急防災・減災事業債」や「公共施設等適正管理推進事業債」を、R2年度まで延長している。

終わりに、指定緊急避難場所と指定避難所の適切な指定の他、避難行動要支援者の避難行動支援に関する取り組みの指針などの説明があった。

 

総務省という国家運営の中枢にあり、全国の防災政策を取り仕切る担当者2名からのお話は、災害防災行政全般に渡るとともに、具体的な防災対策への意識向上と防災訓練の見直しの手掛かりとなります。三豊市の防災災害対策計画と備えを再チェックし、実効性のある防災対応とするべく、更に充実していかなくてはならないことを気付いた、意味深い研修となりました。

以上で、報告・3【防災】 の報告を終わります。

令和元年度 総務常任委員会行政視察研修 報告・3【共助】

総務常任委員会行政視察研修の3件目である、「総務省消防庁」における『防災対策について』の報告をします。

 

研修目的である『防災対策について』の中で【共助】と【防災】の現状とこれからの対策について、消防庁国民保護・防災部防災課の外囿(ほかぞの)災害対策官と、同じく防災部地域防災室の石川課長補佐から説明を受けた。

【共助】 石川課長補佐(自主防災組織等と消防団)

1. 自主防災組織等の現状 ━ 地域における消防防災体制には、「公助」、「共助」、自助」がある。「公助」とは消防機関である常備消防(728本部・約16.5万人)と、消防団(2,209団・約84.4万人、うち女性消防団員約2.6万人)をいう。また、「共助」は、地区内の住民で構成することから、消防団と自主防災組織(165,421組織・約4,432人=カバー率83.2%。他、女性防火クラブや少年消防クラブがある)をいう。

2. 自主防災組織等に関する主な施策とこれまでの取り組み ━ 普及することに重点を置いてきた。 ①自主防災組織の結成を促進するための取り組み「自主防災組織の手引き:S48~」 ②育成者が基礎知識を身に着け能力向上を図る取り組み「消防大学校による研修:H16~」「防災・危機管理e-カレッジ:H16~」 ③活動の普及を図るための取り組み「防災まちづくり大賞:H7~」「災害伝承10年プロジェクト:H25~」 ④活動の活性化に向けて、次なるステップへ踏み出す。

自主防災組織等の今後の課題と取り組みとして、自主防災組織の普及の継続と、質の向上がある。そのための取り組みとして ⑤多様な主体との連携の推進「リーダー育成・連携促進支援事業:H29~」 ⑥人材育成の取り組みの支援「地域防災の人材育成に関する検討:H30~」を実施している。

3. その他の施策 ━

●指導者用防災教材「チャレンジ!防災48」:子どもが小さいころから防災に興味を持つために、発達段階に応じた実践的な防災知識を身に着けてもらう目的で、平成22年に作成している。

●わたしの防災サバイバル手帳:子どもたちの防災意識啓発のため、災害種別ごとに自分の身を守る知識や方法をまとめている。

●全国少年消防クラブ交流大会:実践的な活動を取り入れた訓練を通して他地域のクラブ員と交流するとともに、消防団等から災害への備えについて学ぶ。

●優良少年消防クラブ・指導者表彰(フレンドシップ):少年消防クラブの育成発展のため、表彰を実施。

4. 消防団の現状 ━ 地域防災の中核的存在であるが、「消防団員の減少=約84.4万人」「団員のサラリーマン化=73.5%」「団員の高齢化=平均年齢40.8歳」という状況だ。

〇消防団数:2,209団体(全国すべての市町村に設置) 消防団数:22,422分団 消防団員数:843,667人(S30に200万人を割り込む H2年に100万人を割り込む 前年度比6,664人減少し現在に至る)

〇女性消防団員数:25,981人で全体の約3.1%であり、前年度比1,034人増加しており、年々増加。

〇学生団員数(専門学生含む):4,562人で前年度比567人増加しており、年々増加。

〇機能別団員数:21,044人で前年度比2,040人増加しており、機能別団員制度の導入により、年々増加。

5. 消防団の課題と充実強化策 ━ H25に「消防団の中核とした地域防災力の充実強化に関する法律」が、議員提案の法律として制定されたことによって、強化へと動き出した。続いて、H26に「消防団の装備の基準」の改正が行われ、装備の充実と併せ団員の年額報酬・退職報奨金の引き上げ等が行われた。同年に「学生消防団活動認証制度」の導入がされた。H30に「大規模災害団員制度」が導入され、各地方公共団体での導入を促進している。

その他、消防団の強化策を補完するために災害対応能力向上のため、2つの支援事業がH30に、3年間に限り緊急的に創設された。一つは「消防団設備整備費補助金(消防団救助能力向上資機材緊急整備事業)」。もう一つは、【防災・減災、国土強靭化のための3カ年緊急対策】が閣議決定され、「救助用資機材搭載型消防ポンプ自動車の無償貸付事業」として、消防団の災害対応能力の向上を促進している。

 

【共助】に関する情報を改めて知ることで、三豊市の防災と災害対応施策の現状を改めての考え直すきっかけとなった研修でした。

以上で、報告・3【共助】 の報告を終わります。

 

令和元年度 総務常任委員会行政視察研修 報告・2

総務常任委員会行政視察研修の2件目である、「中央区役所と中央区観光情報センター」で実施した『観光行政について』の報告をします。

 

中央区は、東京23区の中央に位置し、都心を構成する区の一つだ。人口164,000人余、面積10.094㎢で、いずれも23区の中で下から2番目の規模だ。長く人口減少傾向だったが、近年は臨海部の大規模マンション開発や、都心部の再開発で増加反転している。さらに、世界に発信する日本の代表的な商業地域であることから、昼間人口が60万人を超えている。区内は、江戸文化発祥の地として日本橋地区、京橋地区(銀座)、月島地区の3つの顔を持っており、多様な観光資源で集客力を発揮しており、インバウンドで大いに賑わっている。

中央区の観光行政について、区民部商工観光課長の田部井氏から説明を受けた。

中央区の観光振興の方向性は、「都市そのものを楽しんでもらう」という、物消費と事消費による都市型観光だ。江戸時代に生まれ長く受け継がれてきた生活の歴史や伝統の技、和洋の食文化に裏打ちされた本物に触れることのできる、買い物や体験参加型が強みで、インバウンドのリピーターも多い。

これを推進する核となるのが、中央区観光協会が運営する『中央区観光情報センター』だ。センターは、2つの機能を持ち ①観光案内所としての機能(インバウンド対応の言語案内・物販・展示・休憩 等) ②情報拠点としての機能(3地区それぞれにある民間ボランティア団体でつくる、観光情報提供施設をネットワークでつなぐ) となっている。運営は、日本を代表する旅行情報企業に民間委託している。

中央区では観光振興計画を作成したこともあったが、観光ニーズの変化が速すぎるため行政はついていけないとの判断で、行政はサポート役に力点を置いている。区直営の観光事業は、地方自治体が出店しているアンテナショップ25店舗をスタンラリーで巡る事業、1件のみである。主な事業は、観光協会や民間事業者、区民団体への補助やイベント等への助成で、大いに民間の活力を活かそうとしている。

続いて『中央区観光情報センター』の現地見学を行い、奥山所長から説明を受けた。

センターが置かれている【京橋エドグラン】は、区が進める ‟都心部の再開発を利用しながらの公共サービス施設の充実” の象徴的な事業となっている。民間事業者が建設した施設の一部を区が借り上げ、センターの運営を民間(JTBコミュニケーションデザイン)委託している。利用者数は一月当たり6,500人程で、日に200人の来場者がある。スタッフはすべて何かの外国語ができ、インバウンドの対応にも万全を期している。

 

中央区は、江戸、東京という確かなブランド力によって、都市型観光地として活気に満ちています。これに対して三豊市には、中央区とは質の異なる比較できない観光資源が、掘り起こされようとしています。これまで地域の皆さんが守ってきた父母ヶ浜や、国立公園の一部として整備され地域の皆さんが手入れしてきた紫雲出山などがあります。すべては、ふるさとの自然を愛する ‟ひと” がそこにいたからです。

地元に誇りを持ち、ふるさとをこよなく愛する ‟ひと” の住む ‟まち” であることを観光事業の根幹に据え、民間と行政の役割分担を明らかにすることの大切さを感じました。

また、三豊市観光交流協会の情報発信と案内機能、並びに関連民間事業者との連携強化は、まだまだ私たちの気づいていない魅力的な観光資源に光を当てることによって、今後の「三豊の観光」の形成につながっていくものと信じます。

この ‟まち” に住む私たち ‟ひと” が、当たり前の日常を楽しんで生活できる環境整備が、行政に課せられた役割であることを再認識した研修でした。

 

令和元年度 総務常任委員会行政視察研修 報告・1

三豊市議会総務常任委員会の令和元年度行政視察研修に、7月31日(水)~8月2日(金)の3日間参加しました。視察先は、1日目に「東京都墨田区議会」、2日目は同じく「中央区役所と中央区観光情報センター」及び「消防庁」、最終日は(株)つくばウエルネスリサーチセンター」の計4か所です。

1カ所目の「墨田区議会」における『議員提案の条例制定について』の視察研修報告をします。

 

墨田区は東京23区の一つで、人口約274,000人、面積13.77㎢の都心に位置する。これまでの約10年間で人口は、東京一極集中の流れの中で2万7千人程の増加となっている。

議会の議員定数は32人で、その内女性議員が10人おり3割を超えている。また会派構成は、自民党12人、公明党7人、共産党5人、立憲民主党2人の他、一人会派が7人となっている。

墨田区議会における議員提案条例の先導者でもある、加納副議長(当時:区民文教委員長)から説明をいただいた。

今回の研修目的である、議員提案の条例制定の実践例の『墨田区子ども読書活動推進条例』は、平成30年12月11日に制定された。また、『墨田区議会基本条例』も、同じく平成30年12月11日に制定されている。

議員提案で制定された第一号の『墨田区子ども読書活動推進条例』は、次のような背景によって提案された。 ①5次にわたる学校図書館図書整備等5か年計画にもかかわらず、図書標準未達成 ②読書数の伸びの鈍化、学年が上がるごとに読書量が減少 ③学校司書の配置状況及び委託に関する課題並びに学校司書の役割の明確化 ④その他として、●2015年PISA調査結果に読解力の低下が明確となった ●第2次墨田区子ども読書活動推進計画での、「ひきふね図書館」内に子ども図書館の整備と機能・役割の明確化

次に、『墨田区子ども読書活動推進条例』制定までの経緯は以下の通りだ。

H28 区民文教委員会の加納委員長から、委員長の抱負として「政策提案型の委員会にしたい」、「委員会として条例の提案をしたい」旨の発言がった。

H29 各派交渉会で、条例案を区民文教委員会で提案するとの発言があった。墨田区議会では常任委員会の任期が1年であるため、次年度においても引き続き同委員会で協議をすることとした。その後、各派交渉会で、「委員会提出議案の取り扱いについて」は、【H18年の地方自治法改正により、常任委員会、議会運営委員会、特別委員会に議案提出権が認められることとなった】ことを根拠として、常任委員会で行うこととした。この間の勉強会及び意見交換会の中で、委員会として条例提案する際に、意見が分かれた場合の取り扱いについては、「議会全体として検討する必要性がある」として、委員長から議長に対し、議会全体として協議してもらうよう申し入れることとした。

H30 各派交渉会において、委員会が議案を提出するときは、当該委員会の全会一致を原則とすることを決定した。それを受け、「墨田区子ども読書活動推進条例素案検討委員会」において、議員提出議案として提出することを決定した。条例案について法務課へリーガルチェックを依頼するとともに、執行機関の意見聴取を経た。同年9月定例会において、当該常任委員会に審査付託した。本案は、区民等の意見を聴取する必要があることから継続審査とし、12月定例会において原案可決した。

 

三豊市議会は、平成25年4月1日に『三豊市議会基本条例』を施行しています。(見直し手続き)第21条には「必要に応じて改正も含め適切な措置を講ずる」ことを明記していますが、これまでの6年間、自らの議会活動の規範となるこの条例を一度も見直してきませんでした。

『墨田区議会基本条例』では、(政策会議)第16条を明記しています。そこには、 ●議会は、政策立案及び政策提言を推進するため、毎年1回以上、政策会議を開催するものとする。●政策会議は、政策立案及び政策提言に関する事項を議長に提案することができる。 とあります。議員提案の条例制定には、議会議員の大多数の賛同を得て推進されなければならないと思います。であるためには、議会内における機関決定のプロセスが鮮明でなくてはなりません。

議員提案の条例制定のために、三豊市議会が先ず取り組むべきことは、『三豊市議会基本条例』に(政策会議)の条項を追記し、議員全員が政策の議論を交わすことのできる、機会の確保なのだと思います。

『三豊市議会基本条例』の改正に着手することが、議員提案の条例制定への第一歩だと、確信することのできた研修でした。

豊中中学校平成30年度卒業式の祝辞

鳥がさえずり花香り、桜の花の季節をまじかに感じる今日の良き日に、97名の皆さんが、三豊市立豊中中学校を卒業されることに対して、心からお慶びを申し上げます。おめでとうございます。

皆さんはこれまでの3年間、先生方の指導の下勉強にクラブ活動にと様々な体験を通して、実にたくましく成長されました。皆さんの中には、それぞれの置かれた環境によって、これからの進路は色々であろうと思いますが、本校での学びと経験を活かし、しっかりと自分らしく生きて欲しいと願っています。

時代は大きな転換点にあります。皆さんが生きるこれからの社会は、ソサエティ5.0社会だといわれています。1.0社会は太古の狩猟社会です。2.0社会は古代から中世にかけての農業社会です。3.0社会は近世から近代にかけての工業社会です。4.0社会は現代の情報社会です。まさに次の社会となる5.0社会は、全ての人とモノがつながり、今までにない新たな価値を生み出す近未来社会なのです。

AI、IOT、ロボット、ドローン、ビッグデータといった、社会を大きく変化させる技術が進展し、経済の発展と社会課題を解決し、これまでの閉塞感を打破し、希望ある社会へと進化するであろうことが期待されています。皆さんはまさに今、そのような未来社会へとつながる劇的変革期に、豊中中学校を巣立とうとしているのです。

そこで、皆さんへの餞の言葉を贈りたいと思います。「決してあきらめない」ということと、 ‟「量」が「質」に変わる” ということです。例えば水を沸かすと水蒸気に変わります。水という液体が水蒸気という気体に変わるためには、そこに至るまでの熱のエネルギーの蓄積があって始めて変わります。熱が、ある一定の「量」になってある時を境に、水蒸気という「質」に変わるのです。

諦めないで、自分らしく自分のできること、当たり前のことを普通にやり続けることで、ある日突然新しい世界が広がることがあるのです。‟諦めなければ、失敗で終わることはない”のです。 なぜなら、失敗のエネルギーの「量」が、成功という「質」に変わるからです。

皆さんが生きるこれからの時代が、ソサエティ5.0社会であったとしても、皆さんにできることは、自分らしく与えられた日々をしっかり生きることです。立派に成長した姿を期待しています。

最後になりますが、お子様をこのように立派に育ててこられた保護者の皆様へのご労苦に、そして校長先生をはじめ諸先生方のこれまでのご尽力に対し敬意と感謝を申し上げますとともに、卒業生97名の皆さんの幸多からんことを願い、お祝いの言葉といたします。

総務常任委員会 行政視察研修報告(平成30年)・3

3件目の報告は、山口県周南市の「周南市の公共施設再配置について」の研修です。

 

周南市は、平成15年に徳山市、新南陽市、熊毛町、鹿野町の2市2町合併により誕生した。山口県の東南部に位置し、人口145,000人程、面積656.29㎢で、北は中国山地から南は瀬戸内海を臨んでいる。北部にかけ丘陵地が広がる農山村地帯であり、海岸線に沿って古くから大規模コンビナートがあり、国内有数の大企業の工業地帯として発展してきた。

合併により、公共施設が1,114、施設総面積849.016㎡を有することとなった。これらの中には老朽化したり設置目的が類似しているものが含まれていた。そこで、平成24年に「(仮称)周南市公共施設再配置計画(案)」を公表した。パブリックコメントを実施したところ、大半が反対意見であった。個別施設の検証結果の一覧表に、多くの市民の批判が集中していた。

原因は、●市民や議会への説明不足ー地域説明会の未実施 ●総論を浸透させる前に飛び越えて各論へ言及 ●地域への配慮不足(特に周辺地域の切り捨てと捉える市民が多かった) と考えられた。その結果、再配置計画(案)の取り下げを決定することとなった。

あらためて市民意見を反映するための策定方法として、平成25年に職員の手による「周南市公共施設白書」を作成した。総ページ489ページ、対象施設16分類、1,135施設(公園、墓地等を含む)。続いて、平成26年「周南市公共施設再配置の基本方針」を策定。平成27年に「再配置計画」の策定。現在、平成28年にこれまで担当してきた行政改革推進室から、組織改編した施設マネージメント課が引き継いでいる。

再配置にあたっての「基本方針」は、  <公共施設の保有の在り方>として ⑴市民ニーズの変化に対するサービスの提供⇒(サービスの最適化) ⑵効果的で効率的な施設の管理運営⇒(コストの最適化) ⑶次の世代に継承可能な施設保有⇒(量の最適化) ⑷安全に、安心して使用できる施設整備⇒(性能の最適化)。 また、  <地域の拠点となる施設への取り組み>は、市民生活に密着した総合支所や支所、公民館の機能やサービスは今後も維持していくことを基本とした。

「再配置計画」策定にあたっての取り組み方針は大きく2つある。 〇住民や議会との情報共有と市民参加→分かりやすくお知らせし、特に「地域別計画」は計画段階から住民と行政が一緒になってつくりあげていく。 〇統合整備等の推進→施設の複合化や多目的化を検討するとともに、廃止が決定して活用が決定されないものは、取り壊しを原則とする。また、未利用・低利用のものは貸し付けや売却を行う。

「再配置計画」を進めるにあたって、『4つのアクションプラン』を策定した。 1.「施設分類計画」施設分野ごとに施設の今後の取り扱いや方向性、整備等の優先度などを示す計画。 2.「地域別計画」分類別計画から、市として最優先に取り組むべき施設と、それが立地する地域を特定。そのうえで、いい気住民と行政が意見を交わし、今後のまちづくりも踏まえて取り組み方策を検討する。モデル事業を取り入れる。 3.「長期修繕計画」ハコモノ公共施設について、維持・補修を行い、その寿命を延ばすために策定。 4.「長寿命化計画」道路や橋、上下水道等のインフラ施設を対象に、その寿命を延ばすために策定。

「再配置計画」の周知に、マンガを活用した。平成26年な第1弾として『マンガでわかる!周南市公共施設白書』を、平成27年に第2弾として『続・マンガでわかる!周南市公共施設再配置計画』を、平成29年に第3弾「マンガでわかる!公共施設再配置の取り組み』を制作し、配布してきた。マンガの活用効果は次の通りだ。 ◎白書や計画の内容を分かりやすく伝えることができる。 ◎若い人が受け入れやすい。 ◎公共施設等の窓口で手に取ってもらいやすい。 ◎話題性がある。 ◎啓発資料として長期間活用できる。 ◎マンガのキャラクターを様々な場面で活用できる。

「再配置計画」策定後の取り組みとして、モデル事業の実施がある。市内32地域の中で地域の中心施設である支所や公民館について、老朽化している耐震性がなく建物の一部が土砂災害特別警戒区域にかかっている2地域を、モデル地域と定めた。

「地域別計画」のモデル事業の進め方は、計画の最初の段階から、地域の多くの方々に参加いただき、そこに職員の加わり、ワークショップ形式や、協議会形式による協働作業で、「地域別計画」を策定した。この「地域別計画」を基に再配置を実行に移していく。

モデル事業の一つである長穂地域の場合は、もともと地域の活動が盛んであるため、県事業の『地域の夢プラン』を策定し、自分たちの地域の方向性を自分たちで決め、発展させる方向付けを行った。

モデル事業の進め方の第1ステージで地域説明会を開催し、4項目を説明した。【公共施設再配置の目的】【モデル事業の内容】【モデル事業とした理由】【今後の進め方】であった。第2ステージで住民参加による地域別計画を策定。「ワークショップ形式」「協議会形式」など、地域住民と市職員が共に参加する協働作業により、地域の公共施設について考えていった。この話し合いの中に地元高専生に参加してもらい、出された意見や案を新しい支所・公民館のイメージを誰もが共有できるように図面に表してもらい、参加者の共通認識の定着に役立てることがでできた。

モデル事業の結果、新たな施設の <整備方法> <整備位置> <敷地の使い方> <必要な機能と大まかな間取り> を踏まえ、第3ステージの事業実施へと取り掛かることとなった。

施設分類別計画の策定は、インフラ関連施設を除き1,099施設あり、策定済み及び今後策定のもの1,001施設、策定不要98施設となっている。今後の取り組みとして、施設分類別計画から地域別計画へ、以下の項目を主眼にして進めていくこととしている。●各施設の方向性や取り組み優先度の明確化 ●市内32地域の内、モデル事業の2地域を除く30地域について、優先度の高い地域を検討する ●地域にある施設の重要度、対策の優先度、再配置を行った場合の効果を総合的に判断

終わりに、公共施設再配置の課題だが、「総論賛成、各論反対」は当たり前であり、先ずは総論(現状、今後の予測、基本的考え方等)について、ご理解をいただくよう粘り強く取り組んでいかなくてはならない。地域住民などの受益者だけではなく、市民全体の意見を反映させる研究を行い、より幅広い周知手法の研究をしていかなくてはならない。

 

今回の周南市における「再配置について」の取り組みは、市民対話を大切にした丁寧な事業展開が無ければ、決して成果に結びつけることの、ほど遠いことを学ぶことができました。三豊市が策定済みの「公共施設再配置計画」や、「公共施設等総合管理計画」など、市民にとって求められる公共施設のあり方を見つめ直さなくてはなりません。それはまさに、議員として既存の膨大な計画書などを再研究することの必要性を痛感する研修となりました。

 

 

総務常任委員会 行政視察研修報告(平成30年)・2

二件目の報告は、佐賀大学農学部内にある「(株)オプティム」での研修です。

今回の研修の目的は、日本の農業が抱える課題である、高齢化・担い手不足・技術伝承の難しさ、を解決するため、AI・IOT・ドローン・センサー等の最先端技術を駆使することによる、スマート農業の取り組み事例を学び、三豊市の農業の未来を探求することと併せ、多様な分野での最先端技術の活用の可能性について研究するためです。

 

(株)オプティムは、佐賀大学農学部出身である菅谷俊二氏が、在学中に「インターネットそのものを空気のように、まったく意識することなく使いこなせる存在に変えていくこと」をミッションに、2000年に起業したものだ。IT活用の可能性は、あらゆる分野に広がっている。農業・水産業・建設・医療・介護・小売・製造・鉄道・電力などがあげられる。

今回訪問した、(株)オプティムの佐賀本店は、佐賀大学農学部と佐賀県生産振興部との三者連携協定によって、[農業×IT]で ‟楽しく、かっこよく、稼げる農業” を佐賀から実現しようと取り組む研究・開発・実践の拠点だ。

ドローンを活用したIT農業の実証例を紹介する。現在、農業政策の事業に麦の『経営所得安定対策等交付金支払』制度がある。白石町(全国の自治体も同様の状況だと考えられる)では、これまで作付け確認を職員が現地へ出向いて行っていた。干拓地を含め大規模な圃場があり、現地確認等に多大な時間を要していた。そのため、交付金支払に遅れが発生することもあり、大きな課題となっていた。

対象範囲の約8,500haを、町全域にドローンを飛ばし空撮して、そのデータをオルソ画像化するとともに、空撮画像と水田台帳データの突合確認し、麦作付状況の確認(9,000筆)を行った。平成30年4月16日~5月20日の期間に作業を完了した(5月20日以降、麦の刈り取りが始まるため、期間厳守であった)。このような結果で、行政事務の負担軽減や、支払時期の早期化の効果が期待できることが分かった。

もう一つは、「スマートえだまめ」プロジェクトがあげられる。ドローンを活用し、圃場の隅から隅までを空撮し、AIを用いて害虫を検知。どのデータに基づき害虫めがけてピンポイントで農薬を散布することで、農薬使用量10分の1「スマートえだまめ」として製品化し、百貨店で高値で販売し完売した。

 

いくつかの農業分野の関する実証事例を学ぶことで、三豊市の抱える多様な分野の課題解決に生かせる可能性を大いに気付かせていただきました。ITを活用した事業展開は、私たちの日常生活の中でITが空気のようにまったく意識することなく使いこなせる存在にするということです。農業分野だけでなく、三豊市が直面する市立病院改築計画等の、医療・介護分野での在宅医療や遠隔診療、見守り等への利活用にも、大きな期待を感じることのできた研修でした。

総務常任委員会 行政視察研修報告(平成30年)・1

三豊市議会総務常任委員会の行政視察研修が、平成30年7月2日(月)から4日(水)の3日間の日程で実施されました。視察研修先は、山口県長門市の地域商社「ながと物産合同会社・センザキッチン」と、佐賀県佐賀市の佐賀大学農学部内にある「(株)オプティム佐賀本店」、山口県周南市における「周南市公共施設再配置について」の3件でした。

 

1件目の、地域商社「ながと物産合同会社・センザキッチン」のある長門市は、平成17年に長門市と3町が合併し、人口35,000人、面積357㎢の、新長門市として誕生している。山口県北西部に位置する日本海に面し、海岸線は浸食地形であることから、天然の良港となっている。古くから漁業の町として栄えてきた。魚介のアラ等を飼料として活用することで、養鶏業も盛んであり、全国的にも珍しい養鶏業専門の専門農協がある。

ながと物産合同会社は、市が掲げる「ながと成長戦略行動計画」の重点目標の一つである『ながとブランド』の大都市圏展開の使命を担い、2014年5月29日に設立された。合同会社設立には、長門大津農業協同組合、深川養鶏農業協同組合、山口県漁業協同組合及び長門市の4者が、200万円づつ出資し、地域商社として活動することとなった。

ながと物産は、農業、水産業といった枠組みを超えて『ながとブランド』を大都市圏に展開するための司令塔に位置付けられるため、よそ者視点が重要な要素であるとの考え、執行責任者(COO)は、全国からの公募とした。多くの応募者の中から山本桂司が選ばれ、2014年10月に着任し、活動を開始し3年半ほどが過ぎたところだ。

ながと物産は、生産者のための出荷調整から発送、販路開拓や商品企画を行う。●代わりに営業活動をし、これまでと違う販路を提供する ●買い手の要望を持ち帰る ●品質や数量・栽培内容に応じて価格が違うので、良いものは高く買い取る ●相場関係なく、シーズン通して一定の価格で継続的に契約する ●コスト計算やパッケージなどもコーディネートする このような営業方針で「代わりに売ってきます、ただし、しっかり作ってくださいね!」で実績を挙げながら生産者の心をつかんでいった。

研修場所である道の駅「センザキッチン」は、市が平成17年から総事業費14億円を投入し建設してきた。施設の営業内容と運営は、大きく3つに分かれる。 ①農林水産物等直売所とテナントは、今回の研修の講師である山本COOが経営する「ながと物産」 ②観光案内所は「長門市観光コンベンション協会」 ③長門市おもちゃ美術館は、NPO法人「人と木」 がそれぞれ指定管理者として運営している。

まがと物産は、市から指定管理料ゼロ。収益源はテナント料や販売手数料であり、「市からの赤字補填を受けない代わりに、収益を出せば社内で分配できる仕組み」で、働く人のやる気を引き出す経営形態している。経営の上で山本COOがやりたくないことが7つある。 ●道の駅同士のみの比較や連携 ●施設運営だけのビジネスモデル ●公共性に準じた万人受けする要素の展開 ●管理人と店子の関係性 ●指定管理料の投入 ●運営者の意思が反映されない施設整備 ●形骸化された情報発信機能  それに対して、こうありたいと願っていることは、「物産館でもない 直売著でもない モノやサービスを提供するだけでない センザキッチンは、お客様のライフスタイルを ほんのすこしでも豊かにしていきたい そんなことささいな思いを 達成する場所」

地域商社「ながと物産」の経営と、道の駅「センザキッチン」の施設運営を通して、山本COOの考える地域に必要な要素とは ◎設けた金で‟地域への再投資”を行う事業 ◎自治体の枠に固執せず経済圏や文化圏など広域で枠を捉える ◎組織外で‟属人的な動き”ができる集まり ◎関わる人たちが将来的に相互に利益供与が可能な仕組み このような考え方で地域商社「ながと物産」と「センザキッチン」を展開している。

 

三豊市には、道の駅「たからだの里」があります。すでに「センザキッチン」にあたる農林水産物等直売所が、実績を上げ定着しています。この施設を起点にし「ながと物産合同会社」にあたる「瀬戸内うどんカンパニー」との連携により、山本COOが展開してきた「ながと物産合同会社」とプロセスを逆にした、‟瀬戸内みとよブランド”の大都市圏に向けた販売戦略構築が、現実味を帯びてきたと実感しています。

やっぱり、よそ者・若者・ばか者の「振り切る勇気」を実行できる 【人】 なのです。三豊市には、山本COOに優るとも劣らない北川CUOがいます。私たちは見守り応援します。わが三豊市の誇る地域商社「瀬戸内うどんカンパニー」が企画運営する「うどんハウス」のオープン(H30年/7月)とともに、ますます大きな可能性を感じた研修でした。

 

 

議長に就任しました

3月に入り、めっきり春めいてきました。平成30年1月21日(日)~27日(土)の極寒の選挙戦の7日間と、28日(日)の投票日が、遠い昔のように感じてしまうような陽気となっています。

市民の皆さんには、三豊市議会議員選挙ではお世話になるとともに、大いにお騒がせもしました。おかげをもちました、2,000票を超える驚くような得票で当選することができました。遅くなりましたが、心より御礼申し上げます。

また、当選後初の臨時議会では、議員全員となる22票の満票(私も私に入れました)により、三豊市議会の議長に就任することとなりました。これも変わらず支援して下さった市民の皆さんのおかげであると、感謝の念でいっぱいです。

私が、今回三豊市議会議長に立候補するにあたっての所信を、皆さんにお伝えしたいと、ここに掲載します。平成30年度と31年度の2年間、しっかりと努めてまいりたいと決意を新たにしています。市民に開かれた議会とするべく、議会改革と活性化を推し進めるべく、全力で突き進んでまいります。

 

「議長立候補にあたっての所信表明」

 

 

「永康病院調査特別委員会」の調査・研究報告の根拠

前回、「永康病院調査特別委員会」の調査・研究報告をお伝えしました。その中の「ソフト面」と「ハード面」の提言の裏づけとなる、伊関友伸(ともとし)先生の講演会内容をまとめたものを、改めて掲載します。

本年2017年(平成29年)11月号の、三豊市『議会だより』に委員長である私が原稿を書いた19ページの「議会研修報告」をアップします。

三豊市議会「永康病院調査特別委員会」の調査・研究報告が、いかなる根拠に基づいて提案されたのかを、市民の皆さんと共有したいのです。決定の判断の良しあしを共に確認していただけることを願っています。